LANDesk、Windows 7やマルチ言語対応を強化した統合管理ソフト
米Avocentは11月9日(米国時間)、PC環境向けの統合管理ソフトウェア「LANDesk Management Suite 9」と、統合セキュリティソフトウェア「LANDesk Security Suite 9」を発表した。日本でも、子会社のLANDesk Software株式会社を通じて、12月より提供を開始する。
LANDesk ワールドワイドセールス担当シニア・バイス・プレジデントのマイク・ホール氏(左)と、日本法人の代表取締役社長、今井幹夫氏 |
Windows 7にも全面的に対応している |
LANDesk Management Suiteは、企業内のPC環境を統合管理するためのソフトウェア。ノートPCを含めたPCの運用管理、リモートコントロール、ソフトウェアの自動配布、OSの移行といった、PCのライフサイクル全般をカバーできる点が特徴で、管理コストの削減に寄与できるという。
一方のLANDesk Security Suiteは、さまざまなセキュリティ対策機能を統合して提供するソフトウェア製品。Windows OSの設定管理といった機能を備えているほか、パッチ管理の機能により、Windows、Linux、Mac OSといったOSや、Adobe Reader、Flash、Java runtime environmentなどのパッチ適用をコントロールすることもできる。ウイルス対策ソフトウェアの管理も可能で、自ら搭載するカスペルスキーのエンジンや、シマンテック、マカフィー、トレンドマイクロ、ソフォスといった製品の管理を行える。
新版での機能強化は、まず、LANDesk Management SuiteのクライアントOSとして、Windows 7と最新Mac OSであるSnow Leopardをサポート。従来のOSに対して提供されてきた機能は、仮想化機能の「Windows XP Mode」を含めて、すべてWindows 7で利用できるという。また、OSの移行についても、LANDesk Management SuiteのOS導入機能によって、Windows 7への移行が行えるようになった。この機能については、移行作業を自動化でき、そのPCに応じたデバイスドライバも自動でインストールできる特徴が評価されているが、これがWindows 7に対応したことで、最新環境への移行についても、負担なく行えるようになったという。
LANDesk ワールドワイドセールス担当シニア・バイス・プレジデントのマイク・ホール氏は、「Windows 7はVistaに比べて評判がよく、能力的にも“速さ”も良好だ。まだ出たばかりの段階であるから、すぐに大規模な移行を行うことは少ないだろうが、社内のPCがWindows 7へ移行できる能力を持っているかどうかも、LANDesk Management Suiteで調査可能だ」とした。
同一画面内に、複数の言語を表示できる |
LANDesk Security Suite 9では、HIPSの追加など、セキュリティ機能の強化が行われた |
2つ目としては、大規模環境への対応が大きな強化点。大規模環境では管理サーバーを複数構築して処理を分散させることになるが、そのサーバー間での同期を自動で行う機能を搭載し、管理者の負荷を軽減する。さらに、インベントリのエンジンを書き直し、1つのサーバーでより多くのユーザー数に対応できるようにしたほか、1つの画面内に複数の言語を表示可能にした。
このマルチ言語対応について、日本法人の代表取締役社長、今井幹夫氏は、「当社の製品は、特に、大きなお客さまで利用されることが多いため、グローバル対応の強化については要望が多い。そうした企業では、ドライバ1つ取っても、いくつもの言語が混在している状況がよくあり、これまでは言語ごとにサーバーが必要だった。しかし今回よりユニコードをサポートし、1つの画面の中に複数の言語を表示できるようになっている」と背景を説明している。
一方のLANDesk Security Suite 9では、こちらもWindows 7へ対応したほか、ホスト型IPS(HIPS)やパーソナルファイアウォール、Microsoft Exchange向けのウイルス対策機能などが新たに搭載された。LANDesk Security Suiteでは、LANDesk Management Suiteとのシングルコンソールの管理が可能で、セキュリティ管理の負荷軽減が可能な点を売りにしているが、今回の強化によって、そうした特徴はそのままに、セキュリティ機能面の拡充を図っている。
なお、以前からのLANDesk Security Suiteの特徴として「パッチ管理」機能があるが、ホール氏は、新機能とともにこのメリットについても強調する。この機能では、単にファイルのプッシュ配信機能を使ってパッチを送るのではなく、脆弱性診断、パッチデータベースを用いてパッチの必要性を自動検出し、自動的に更新することが可能で、新規パッチリリース時には、パッチ間の依存性の確認までを行ってくれる。「当社のお客さまである中国建設銀行は25万台のPCを導入されているが、こうした環境でも、ポリシーにしたがって、必要なパッチを自動で配信できる。これは、他社でも類を見ない機能だ」とした。
このほか、今後のターゲット市場としてホール氏は「提供する国をどんどん広げたい。中国、東欧、ラテンアメリカなどの市場が急速に立ち上がっているし、もちろん日本に対しても投資をどんどんしていく」とコメント。また、「投資ではなく月額のサービス費用として見ていけるので、MSP(マネージドサービスプロバイダ)も、日本において有望だろう。当社が直接サービスを提供することはないが、パートナーシップで提供する可能性はある」と述べ、サービスビジネスへの取り組み強化もあり得るとした。
加えて、Windows以外のプラットフォームへの対応も強化する姿勢を見せる。例えば、建設、出版といった特定の業界ではMacへの要望が高いことから、「現在、Windows環境では、ゲートウェイアプライアンスを通じてインターネット経由でパッチをあてたり、インベントリを取得したり、といったことができるが、これをMacでもできるようにする計画がある」(今井氏)とのこと。実際に、顧客企業からもこうした機能は要望されており、この提供を見据えて導入が決まった例もあるという。セキュリティや管理を徹底させるためには、企業内では例外は許されないことから、LANDeskでは、スマートフォンなどへの拡大も見据えて、機能を強化する意向だ。
2009/11/24 11:30