「企業間コラボの障壁をなくした」-シスコが計61製品のUCポートフォリオを紹介


コラボレーションポートフォリオ
社長兼CEOのエザード・オーバービーク氏

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は11月19日、記者向け説明会を開催。11月8日に米国カリフォルニアで開催された「Collaboration Summit」にて、米Ciscoが明らかにした新コラボレーションポートフォリオについて紹介した。同社のUC関連製品は一挙に61製品に拡充されたという。

 まず紹介されたのは、UCプラットフォームの新版「Cisco Unified Communications System 8.0」。これにより「統合された音声、ビデオ、プレゼンス、IM、Webなどを利用して、企業の枠を越えた次世代のコラボレーションを実現できる」(社長兼CEOのエザード・オーバービーク氏)としている。

 ここで実現されたのは、“企業間コミュニケーション”だ。IPネットワークを利用して企業間通信を実現する「Cisco Intercompany Media Engine」や、企業間の会議スケジューリングを簡素化する「Cisco TelePresence Directory」を投入したことで、「メディアやデバイスに関係なく、個人間および企業間の自然なコラボレーションを実現する」(同氏)という。

 一方、コミュニケーションデバイスでは、新たにビデオ機能を搭載した「Cisco Unified IP Phone 9900/8900シリーズ」を投入。大画面カラーディスプレイで柔軟なコミュニケーションが可能になっている。ツールとしては、新デバイス上の電話帳をPC・ケータイのWebブラウザで共有可能にする「PhoneAppli」や、UC環境にiPhoneやBlackBerryなどのスマートフォンを組み入れる「Cisco Unified Mobile Communication」を投入。スマートフォンを利用する際には、キャリアのケータイ内線サービスを活用して内線電話化する「Dial via Office(オフィス経由のダイヤル)」機能も実現している。

Cisco Unified IP Phone 9900/8900シリーズの概要PhoneAppliの概要Cisco Unified Mobile Communicationの概要

 IMツール「Cisco WebEX Connect」でも同様にUC環境へ統合。チャット機能に電話機能を追加するプラグイン「Cisco UC Integration for Cisco WebEX Connect」を用意した。説明会で行われたデモでは、Cisco WebEX Connectのチャットから、Cisco Unified IP Phone 9900/8900シリーズにビデオ会議を実施し、そこへiPhoneで手軽に参加する様子が実現された。

CollaboPlaceの概要

 このほか、ビデオ会議を容易に導入可能とする「CollaboPlace」も紹介。既存のオフィススペースに、枠組みを組んだスケルトン仕様の会議スペースをポンと導入できるソリューションで、会議室の改修なしで必要な場所ですぐにビデオ会議環境を整えられるというものだ。

 11月9日(米国時間)には、ホステッド型メールサービス「Cisco WebEX Mail」や、企業内のビデオを共有する「Cisco Show and Share」など、未踏のメール分野、企業ソーシャルサービス分野への進出も発表しているCisco。データセンター関連の施策やサーバー市場への参入を矢継ぎ早に明らかにし、業界を揺るがし続けているが、存在感を一挙に高めるというその路線は、UC市場においても同様のようだ。説明会では、このほかコミュニケーションの基盤にかかわる新製品なども紹介されたが、とにかく「新製品の膨大さ」に意気込みの強さが伝わってくる内容だった。

 しかし、これだけラインアップやコミュニケーションを実現する手段が増えると、顧客が迷ってしまわないか心配になってしまう。これに対しては「当社にはプロダクトセールスエキスパートと呼ばれる部隊がいる。こうした部隊が、徹底的に顧客のニーズを拾い上げ、状況に応じた最適なソリューションを提供できるよう尽力したい」(アーキテクチャ&テクノロジ事業統括 専務執行役員の石本龍太郎氏)と、きめ細やかな一面も披露している。




(川島 弘之)

2009/11/19 18:02