シマンテック、最新のOS・仮想化に対応した「Backup Exec System Recovery 2010」

初のLinux対応やゲストOS無制限の新ライセンスも

 株式会社シマンテックは11月4日、中堅・中小規模向けのバックアップ&リカバリーソリューション新版「Backup Exec System Recovery(以下、BESR) 2010」を発表した。Windows Server 2008 R2やWindows 7などマイクロソフトの新OSに対応したほか、BESRでは初となるLinuxをサポートしたのが特徴。Windows版は同日より、Linux版は12月より販売を開始する。

対応プラットフォーム拡充など図ったBESR 2010

プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャの浅野百絵果氏

 BESRは、単一のバックアップ&リカバリを実現するソフト。ユーザーの生産性を妨げることなく、システム全体あるいは個別のファイル・フォルダを自動でバックアップし、同機種・異機種のハードウェア、仮想マシン、遠隔地のマシンへ迅速にリカバリできる。リカバリCD自体に多くのデバイスドライバを収録することで、スペックの異なるマシンにリストア可能なのも特長だ。プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャの浅野百絵果氏は「このため、BESRはシステム移行ツールとしても効果的」とアピールしている。

 新版では、新たにWindows 7、Windows Server 2008 R2、Exchange Server 2010をサポート。浅野氏は「これによりシステムの新プラットフォームへの移行を容易にし、移行中でも継続して保護することが可能になった」と話す。12月にはBESRでは初となる「Linux Edition」をリリースすることで、さらにプラットフォーム拡充を図る予定だ。

 仮想化対応においては、VMware vSphere 4.0、Microsoft Hyper-V 2.0、Citrix XenServer 5を新たにサポートしたほか、新ライセンスとして「Virtual Edition」を用意した。Virtual Editionは、従来、ゲストOSごとにライセンスが必要だったところを、ホストOSごとに1本用意すれば、その上のゲストOSには無制限で利用可能にしたもの。「仮想化のメリットは簡単に仮想マシンを増やせるところ。その良さをつぶしてしまわないためのエディションだ」(浅野氏)と紹介している。

 機能面では、これまでオプション提供だった「Granular Recovery Option(GRO)」機能を標準搭載するとともに、同機能でExchange Server 2010をサポートした。同機能は、ファイルサーバー・PC・仮想サーバー・アプリケーションサーバーなどの全体バックアップを行うだけで、全体リストアだけでなく、個別のアイテム単位(個別のメールやファイルなど)でのリストアを可能にするもの。

 管理面では、Altiris製品をベースにした管理ツール「BESR Management Solution」を搭載。他製品と共通の集中型コンソールから、本拠地や遠隔地のバックアップ環境を一元管理することができる。同ツールもBESR 2010に標準搭載され、追加料金なしで利用が可能。チャネルパートナーは同機能により、顧客企業のバックアップ環境へのVPN接続による「リモート制御」「バックアップ業務」「ポリシー設定」「パッケージインストール・アップグレード」「クライアント設定の作成・編集・配布」「リモートリカバリ」を提供できる、といった恩恵を受けられる。

 価格は「Server Edition」が15万3800円/サーバー、「Basic Edition」が9万7200円/サーバー、「Small Business Server Edition」が9万7200円、「Desktop Edition」が1万2200円/デスクトップ、「Virtual Edition」(新製品)が43万7300円/ホストOS、「Linux Edition」(新製品)が未定。Server Edition/Basic Edition/Small Business Server Editionの3製品では、前バージョンから17%値下げとなっている。

BESR 2010の新機能。新OS・仮想化ソフトへの対応や管理ツールの標準搭載などGranular Recovery Optionを標準搭載Altirisベースの管理ツールも標準で提供

「パートナー戦略に力を入れる」加賀山社長

代表取締役社長の加賀山進氏

 発表会には代表取締役社長の加賀山進氏も登壇し、主にパートナー戦略について説明。「販売網の充実のため、当社と直接協業するパートナーを増やして市場カバレッジを拡大する」と基本方針を述べた。

 具体的にはまず、「Symantec Partner Program(SPP)」に加入するパートナーの拡充に努める。SPPには売上高のボリュームに応じて、上から「プラチナ」「ゴールド」「シルバーコーポレート」「シルバー」「レジスター」という段階がある。これらには無償のパートナーWebから必要な情報を提供しているのだが、実は最下位の「レジスター」にも届いていないリセラーが数千社もいて、彼らについては、シマンテックでも担当者が誰でどういう事業状況にあるか把握できていないという。「そこで、できるだけ多くレジスターに登録されるよう、当社としても支援活動を行っていく」(加賀山氏)とする。

 また現在、「プラチナ」「ゴールド」限定でシマンテックから専任担当者をアサインする施策を展開している。その数およそ85社だが、同施策を「シルバーコーポレート」「シルバー」にも広げることで、システム構築・販売をシマンテックと連携して行えるパートナーの数を、2010年3月までにプラス300社の385社に拡充する方針という。

 そのほか、売上高に応じたSPP以外に、特定の戦略パートナーとの協業も強化。すでにエンドポイント製品に特化した「Endpoint Management Specialization」というプログラムが動いているが、今回新たに「SMB Specialization」を設け、「2011年度中に、売上高はそれほどでなくとも特にSMB市場に強い企業など、100社との契約をめざす」(同氏)としている。

富士通、IAサーバ事業本部長の河部本章氏

 併せて今回は富士通との協業強化も発表された。両社はVeritas時代も含めると15年にもおよぶ協業関係にある。それをさらに強化し、富士通は「プラチナ」よりも上位となる「グローバルストラテジックパートナー」としてより密な協業を行っていく。国内では初の世界規模での協業となるが、手始めに富士通のIAサーバー「PRIMERGY」とシマンテック製品との共同検証を実施。「これまでシマンテック製品がリリースされてから各種検証を行っていたところを、今回のBESR 2010においてはリリース以前より共同検証を行っており、よりスピーディな対応が可能になった」(富士通、IAサーバ事業本部長の河部本章氏)という。

 これにより、富士通ではPRIMERGYとBESR 2010のワンストップサポートを提供。今後は他製品においても同様の協業を行うとしている。




(川島 弘之)

2009/11/4 17:33