「企業内クラウド構築を支援」、富士通がインフラ製品・支援サービスを強化


プラットフォームソフトウェア事業本部長の堀洋一氏
BMC BladeLogic Operations Managerの位置づけ

 富士通株式会社は10月27日、企業内クラウド環境を構築するインフラ製品として、サーバー運用自動化ソフト「BMC BladeLogic Operations Manager」を提供すると発表した。同社の仮想・物理サーバーの管理ソフト「ServerView Resource Coordinator VE」と組み合わせることで、サーバー環境の構成や設定管理が自動化できるとしている。

 BMC BladeLogic Operations Managerは、米BMC Softwareが開発したサーバー運用自動化ソフト。OS・ミドルウェア・アプリケーションのインストールを自動化できるほか、OSインストールの定義情報やミドルウェア・アプリケーションの設定情報をパッケージ化して自動化することができる。また、サーバーの構成情報を収集し、修正プログラムの適用状況を検出することも可能。これを利用することで、修正プログラム未適用のサーバーに対して、自動的に修正プログラムを配布するといった使い方が可能となっている。

 同社プラットフォームソフトウェア事業本部長の堀洋一氏は、BMC BladeLogic Operations Managerを採用した理由について、「マルチベンダー・マルチプラットフォーム環境に対応できる点を大きく評価した」と説明。BMC BladeLogic Operations ManagerとServerView Resource Coordinator VEを組み合わせて使うことで、富士通製のサーバーだけでなく他社製サーバーも含めて管理可能になる利点を強調した。


OS・ミドルウェア・アプリケーションのインストールを自動化。ServerView Resource Coordinator VEと組み合わせることで、システムイメージの高速配布も可能サーバーの情報収集から未適用パッチ検出、パッチ適用までを自動化サーバー復旧作業の自動化にも対応

 今回の製品は、同社が進める企業内クラウド環境を構築するインフラ製品群のひとつとして提供されるもの。「企業内ITインフラの運用上の課題として、低いサーバー稼働率、さまざまなサーバー利用による管理コストの負担、プラットフォームごとの異なる操作、セキュリティパッチなど日々のメンテナンス、ハード・ソフトの環境構築にかかる時間、などを抱えている。これらは、仮想化や自動化といったクラウド技術で克服することが可能」(堀氏)と、企業内クラウド環境を構築することで、企業が抱える運用上の課題を解決できるとしている。

 同社は、WindowsやLinux、SolarisなどさまざまなOSに対応するハードウェアや、各種ストレージ製品を用意しており、顧客が抱える各種資産に応じた最適なプラットフォームを提供できる強みがあると紹介。ServerView Resource Coordinator VEなどの管理ソフトと組み合わせることで、企業内クラウドで求められる仮想化・自動化を実現するとしている。

 また、企業内クラウド構築を支援する体制を強化することも発表。「クラウド専任プリセールス体制を強化するほか、ITインフラ最適化を実現するためのクラウドインフラセンターを開設する。また、マルチベンダー・マルチプラットフォーム環境のインフラ最適化を支援する各種サービスを提供。そのほか、クラウド技術導入イメージを体感できるよう、セミナーやデモ、検証環境も用意する」(堀氏)と、クラウドに関するさまざまな支援を行うとした。

執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長の山本正己氏

 同社執行役員常務 システムプロダクトビジネスグループ長の山本正己氏は、「各種調査に基づいて試算したところ、2015年にはクラウドサービスを利用する企業が20%に達するという結果が出た。しかし、残り8割は自社内になんらかの形でITシステムを保有するということ。実際に商談している顧客の声を聞くと、3割の企業が自社ITシステムへのクラウド適用を期待している」と、パブリッククラウドよりも企業内クラウドへの関心が高まっていると指摘。「今回発表した製品は、クラウド技術を企業内ITインフラに適用範囲を拡大するもの。支援サービスを含め、企業内クラウド構築を支援していく」と述べた。





(福浦 一広)

2009/10/27 13:40