SAPジャパン、経営管理を支援するソリューションの新版-構成製品の統合化を実現

SAP NetWeaverを含めたデータ連携が可能に

ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 GRC/EPM事業開発部 部長の中西正氏
SAP BusinessObjects EPM7.5の概要

 SAPジャパン株式会社は10月7日、企業パフォーマンス管理を支援するソリューションの新バージョン「SAP BusinessObjects Enterprise Performance Management(EPM) 7.5」を発表した。同日より順次提供を開始する。

 SAP BusinessObjects EPM7.5は、「Profitability&Cost Management」(収益性とコスト管理)、「Financial Consolidation」(財務連結)、「Intercompany」(内部取引照合)、「Strategy Management」(戦略管理)、「Financial Information Management」(財務情報管理)、「Planning&Consolidation」(計画立案と収益予測)の6製品で構成される。今回の新版では、各製品において機能強化を図るとともに、製品群の統合化を実現。EPMとGRCのソリューション横断型シナリオも実現可能となった。また、SAP NetWeaverとのさらなる統合も行っている。

 ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 GRC/EPM事業開発部 部長の中西正氏は、「当社は、2008年1月にBusinessObjectsを買収したことを機に、EPMソリューションの製品戦略の見直しと機能強化に力を注いできた。今回の新バージョンは、その成果を具現化したもので、各製品群のデータ連携を実現し、初めて統合ソリューションとして提供するバージョンとなる。これにより、厳しい経済環境の中で、新たなビジネスモデルを模索している企業に向けて、ビジネスネットワークの再編を支援し、洞察から実行までのクローズドループを実現することで、ビジネスの効率性、効果の向上を推進していく」と、製品投入の背景とその狙いを説明した。

 あわせて、SAP BusinessObjects EPMの製品ロードマップとして、次期バージョンの「SAP BusinessObjects EPM 8.0」を2011年をめどに投入する計画を明らかにした。次期バージョンでは、統合されたユーザーエクスペリエンスを次世代の生産性で実現するほか、計画から連結、収益管理、戦略管理までをまたがったクローズドループをリスク管理、プロセス管理で統合する予定。

SAP BusinessObjects EPM7.5から実現したERP・BW・EPMのデータ連携SAP BusinessObjects EPM製品のロードマップ概要

 今回の新版における各製品の特徴と主な強化ポイントは、以下の通り。

Profitability&Cost Managementの製品機能概要
Intercompanyの製品機能概要

 Profitability&Cost Managementは、高度なコストアロケーションの機能と多次元での“What if”分析の機能を活用し、組織の収益構造を可視化する製品。新版では、SAP NetWeaver BWとのデータ連携、およびSAP BusinessObjects Voyager/OLAP Universeとの連携を実現した。

 Financial Consolidationは、企業の会計システムから連結に必要な情報を収集し、連結システム内で制度連結および管理連結を行う製品。新版では、マニュアル修正仕訳機能の向上、トレースレポート機能・精度の拡張、Xcelsiusベースのダッシュボードの搭載、SAP NetWeaver BWキューブのデプロイメントなどの機能強化を行っている。

 Intercompanyは、決算処理の高速化のために、部署間で直接コミュニケーションを行い、残高を照合することで、全社レベルおよび部署レベルでの遅延を解消する製品。新版では、SAP BusinessObjects Financial Consolidationのマスタデータを直接インポート可能にするとともに、レポーティングの出力レイアウトを向上した。

 Strategy Managementは、ビジネスゴールの設定から戦略の立案、またハイレベルの目的から業務メトリクスのレベルまで、パフォーマンスを監視、管理する製品。新バージョンでは、Planning&Consolidation, version for the Microsoftとのデータ統合を実現したほか、ホームページ・スコアカード・コンテキストなどの拡張を図っている。

 Financial Information Managementは、ビジネスユーザー向けの優れた接続性、マッピング、およびロードに関する機能を提供する製品。これにより、元データから公開用まで幅広い情報を、コンプライアンスに対応した、信頼性の高い、使いやすい形で提供可能となる。新バージョンでは、SAP ERPを抽出ソースとして、Financial ConsolidationおよびProfitability&Cost Managementへのデータインポートを可能にしている。

 Planning&Consolidationは、企業のあらゆる職務レベルにおいて、より適切な計画を策定するとともに、計画サイクルを短縮し、関連コストを削減する製品。version for the Microsoftの新版では、SAP BusinessObjects BIツールとの統合、Financial Information Managementとの統合を実施したほか、Business Process Flowsの機能拡張、ユーザビリティ拡張を行っている。また、version for the SAP NetWeaverの新バージョンでは、SAP BusinessObjects BIツールとの統合に加え、SAP NetWeaver Explorerレポートへの対応、スクリプトロジックおよび連結機能の拡張、SAP NetWeaverおよびERPとの統合強化などを図っている。

ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長の桐井健之氏

 これら製品の統合ソリューションで実現するデータ連携としては、例えば、Financial Consolidationで連結処理されたデータを分析する場合、同製品のWebレポートを使用することも、SAP NetWeaver BWのレポートを使用することもできる。また、SAP NetWeaver BWの分析レポートから、データフロー定義に従って、SAP ERPの詳細情報にドリルバックすることも可能となる。

 ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長の桐井健之氏は、販売戦略について、「SAP Business Suiteを利用している企業および導入検討中の企業に向けて、新バージョンで実現した垂直統合の機能メリットを訴求していく。また、既存のSAPユーザーだけでなく、経営のグローバル化、経営管理利基盤の効率化・強化が課題となっている企業に対して、水平統合された新バージョンの強みを提案していく」としている。さらに、パートナー戦略に関しては、「EPM領域で実績豊富な協業パートナーと啓発活動からの連携を進めるとともに、活用ノウハウをもつ専業パートナーとの連携を強化する。導入・開発だけでなく、その後の継続的な業務サポートスキームも開発していく」考えを述べた。

 各製品の提供時期は、Profitability&Cost Management、Financial Consolidation、Intercompany、Strategy Managementの4製品が10月7日、Financial Information Managementが11月27日、Planning&Consolidationは2010年第2四半期を予定している。


(唐沢 正和)

2009/10/7 17:10