加Absolute、モバイルコンピュータの追跡・管理・保護サービスを日本市場で本格展開

日本語版サービスを提供開始、東京に国内オフィスも

Absolute グローバル・コーポレート デベロップメント担当バイスプレジデントのウィリアム・パウンド氏
Absolute カントリーセールスマネージャーの田北幸治氏

 加Absolute Software Corporation(以下、Absolute)は9月30日、国際的な事業展開を拡大し、モバイルコンピュータの追跡・管理・保護サービス「Computrace」の日本語版を同日より提供開始すると発表した。また、日本市場への本格参入にあわせて、東京に新たなリージョナルオフィスを開設し、アジア市場進出の拠点として事業展開していく。

 Computraceは、企業内で利用されているモバイルコンピュータを追跡、管理、保護することができるSaaS型サービス。主要メーカーのモバイルコンピュータのBIOSファームウェアに組み込まれているComputrace Agentを有効化することでサービスの利用が可能となる。これにより、モバイルコンピュータの利用状況を可視化し、1カ所ですべての資産を管理できるほか、遠隔地からのデータ消去や、万が一の盗難・紛失時には回収サービスも提供する。

 Absolute グローバル・コーポレート デベロップメント担当バイスプレジデントのウィリアム・パウンド氏は、日本市場への参入について、「現在、ワールドワイドでモバイルコンピュータの利用が拡大しているが、これにともないエンドポイントのデータ保護がさらに重要視されている。その中で、Computraceは、モバイルコンピュータを管理、保護するためのベストソリューションであり、2005年からBIOSファームウェアの組み込みを開始して以来、急速にビジネスが成長している。今回、この成長をさらに加速させるために、東京に拠点を開設し、日本市場でも本格的にサービス提供を開始する」と説明している。

 また、日本市場におけるサービス展開について、Absolute カントリーセールスマネージャーの田北幸治氏は、「現在、国内のディストリビュータやSIer、コンサルティング会社など複数社とComputraceのリセラー契約を進めている。すでに契約が決まっているリセラーもあり、サービス開始に向けて準備している段階。当面は、Absoluteの国内拠点が窓口となってサービス提供していくが、リセラーからのサービスが本格的に始まった後は、リセラー経由でのサービス提供が中心になるだろう」としている。

 具体的なサービスの仕組みは、モバイルコンピュータに組み込まれたComputrace Agentを有効化すると、モニタリングセンターとの通信がスタートし、Computrace Agentがユーザー情報、構成情報などを毎日自動送信する。管理者は、カストマーセンターにログインすることで、Webベースの画面からモバイルコンピュータの状況を一元管理し、各種サービスを利用することができる。なお、現在、Acer、ASUS、Dell、富士通、General Dynamics Itronix、HP、Lenovo、Motion Computing、パナソニック、東芝の各メーカーの製品にComputrace Agentが組み込まれているという。


Computrace 技術プラットフォームのアドバンテージサービスの流れ

 サービスの大きな特徴は、1)IT資産の管理、2)遠隔データ消去、3)遠隔PC遮断・ロック、4)回収サービス、の4点。

資産管理について
遠隔データ消去について
遠隔PC遮断・ロックについて
回収サービスについて

 IT資産の管理では、対象のモバイルコンピュータのハードウェア構成、ソフトウェア構成、周辺機器、ハードディスク容量などの情報を管理できるほか、変更情報やOSの更新情報、無許可のソフトウェア情報、ウイルス駆逐情報なども把握でき、これらのレポートを作成することも可能となっている。さらに、リース期限を管理することで、リース切れを防ぐこともできる。

 遠隔データ消去では、対象のモバイルコンピュータに対して、遠隔地からデータ消去の命令を出すことができる。全データを削除するだけでなく、OS以外の全データやフォルダ単位、ファイル単位、拡張子単位など、削除したいデータの単位を指定することもできる。また、消去を行った履歴や現在処理中のステータスの一覧をレポート表示できるほか、あらかじめポリシーを設定しておくことで、迅速にデータ消去を行うことが可能。

 遠隔PC遮断・ロックでは、対象のモバイルコンピュータに対して、Intel vProのAT(Anti-theft)機能を利用し、遮断・ロックの命令を出すことができる。また、Pision Pillと呼ばれる遮断指示をプロセッサに送り、プロセッサの機能によって遮断、電源オフを行うことも可能。さらに、管理者によって設定されたパスワード、もしくはAbsoluteによるワンタイムパスワードを、立ち上げ時に入力することで、再起動させることができる。

 回収サービスでは、モバイルコンピュータの盗難・紛失が発生したことを、管理者がカストマーセンターに報告すると、同社の回収チームが回収作業を開始。対象のモバイルコンピュータがインターネットに接続され、モニタリングセンターと通信を開始すると、さまざまなツールにより、モバイルコンピュータの位置情報や証拠情報を取得し、警察などの捜査機関に情報を提出する。

 なお、Computraceサービスでは、企業向けの総合ソリューション「Computrace One」を始め、データ保護ソリューション「Computrace Data Protection」、IT資産管理ソリューション「Absolute Track」、ハンドヘルドデバイス向けソリューション「Computrace Mobile」、ネットブック向けソリューション「Computrace for Netbooks」をラインアップしており、用途に合わせて各ソリューションを組み合わせて利用できる。



(唐沢 正和)

2009/9/30 17:30