シトリックス、仮想サーバー上で動作するアプリケーションスイッチソフト「NetScaler VPX」


NetScaler VPXの特徴
シトリックス ビジネスディベロップメント シニアマネージャーの村上慎一氏
性能に応じた3モデルが用意される

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は9月28日、アプリケーションスイッチ「Citrix NetScaler」の仮想アプライアンス版「同 VPX」を同日より販売開始すると発表した。価格は33万円(税別)から。

 NetScalerは、負荷分散やTCP最適化、SSLアクセラレーション、圧縮、キャッシュなどの機能によって、Webアプリケーションへのアクセスを高速化するロードバランサー。従来は、ソフトウェアとハードウェアをあわせて提供する、ハードウェアアプライアンスの形態で提供されている。現世代の「NetScaler MPX」では、レイヤ4-7の最大スループットが500Mbpsのエントリー製品から、最大18Gbpsのハイエンド製品まで、7モデルがラインアップされている。

 今回提供されるNetScaler VPXは、NetScaler MPXの機能のうち、ソフトウェア部分だけを抜き出したもの。仮想サーバーソフトウェア「XenServer」向けのソフトウェアアプライアンスイメージとしてパッケージされており、XenServer上にインポートするだけで、簡単に導入できる。シトリックス ビジネスディベロップメント シニアマネージャーの村上慎一氏は、「NetScalerのうち、ハードウェアで提供していた低レイヤの機能を除く、主要な機能を100%サポート可能。仮想イメージとして提供されるため、同一ハードウェアにほかのアプリケーションと併存できるほか、ブレードサーバーの1ブレードで展開すれば、ラックスペース、消費電力の削減など行える」と特徴を説明した。

 最低限必要な動作環境は、XenServer 5 Update 3以降/5.5、1GBメモリ、20GBディスクで、CPUはデュアルコア以上、かつIntel VT/AMD-Vといった仮想化支援機能に対応している必要がある。処理能力はハードウェア性能にも依存するが、最上位の「VPX-1000」の場合、最大1Gbpsのレイヤ4-7スループット、最大500Mbpsのアプリケーションファイアウォール、最大500TPSのSSL処理、最大1GbpsのSSLスループットといった性能を発揮可能。ラインアップは、このほか、レイヤ4-7スループットが最大200Mbpsの「VPX-200」、最大10Mbpsの「VPX-10」を用意する。またNetScaler MPX同様、搭載する機能に応じて「Standard Edition」「Enterprise Edition」「Platinum Edition」の3つのエディションが提供されるのはハードウェアアプライアンスと同じ。さらに、評価用の無償版「Express Edition」も提供される。

 Standard Editionの価格は、VPX-10が33万円(税別)から、VPX-200が75万円(同)から、VPX-1000が225万円(同)から。

【10/8 訂正】
 初出時、VPX-10の価格を30万円(税別)としておりましたが、シトリックス側が33万円(税別)に訂正いたしましたので、記事中の記載も変更いたしました。

 シトリックスではNetScaler VPXの導入先として、オンデマンドな拡張が要求されるクラウドサービスを提供するデータセンターや、価格面から導入が難しかった中堅・中小企業などを想定。加えて、ISVが特定のアプリケーションに適した形でチューニングしたり、ソフトウェア開発やシステム検証で用いたり、といった用途も視野に入れて販売を進めるとしている。




(石井 一志)

2009/9/28 17:01