ネットアップ、最新OS「Data ONTAP 8」をクラウドのプラットフォーム基盤に


代表取締役社長のタイ・マッコーニー氏
ネットアップの考えるクラウドのカテゴリ

 ネットアップ株式会社は9月1日、米国本社で8月25日に発表された最新のクラウド・コンピューティング戦略について国内向けに記者説明会を開催した。説明会では、同社のクラウド・コンピューティングへの取り組みを解説するとともに、ストレージ専用OSの新バージョン「Data ONTAP 8」など、今後提供予定の新ソリューションを紹介した。

 ネットアップでは、クラウド・コンピューティングについて「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」の2種類に大きくカテゴリ分けし、さらに「プライベートクラウド」ではインターナルとエクスターナル、「パブリッククラウド」ではトラディショナルITとノンITにそれぞれ細分化してクラウド・コンピューティング戦略を展開している。

 代表取締役社長のタイ・マッコーニー氏は、クラウド・コンピューティング戦略を推進する背景について、「クラウド・コンピューティングは、ユーザー企業のビジネスおよびITシステムにおいてさまざまなメリットをもたらす。ビジネス面では、設備投資を削減して運用コストにシフトできるほか、ビジネス環境の変化に即応し、迅速にアプリケーションを構築、運用することができる。一方、ITシステムでは、柔軟な拡張性を実現しながら一元的な運用・管理が可能となる。特に、昨今の厳しい経済環境の中で、中小企業にとっては、独自にITインフラを構築するよりもクラウド・コンピューティングを活用するメリットはさらに大きくなっている」と指摘。

 そして、クラウド・コンピューティング市場におけるネットアップの優位性について、「当社は、エンタープライズクラスのクラウド実現のための“最適なテクノロジー・パートナー”になることを目指している。これに向けて、シングルアーキテクチャを採用し、マルチプロトコルに対応したストレージ専用OSのData ONTAP、および同OSを搭載したユニファイドストレージを提供しており、これによって単一のOS、ハードウェア、アプリケーション、管理手法によるクラウド環境の構築が可能となる」と述べた。

 同社では、これからのクラウド時代に求められるキーテクノロジーとして、「マルチテナント」、「データ移行」、「サービス自動化と管理」、「ストレージ効率化と拡張性」、「データ保護機能」の5つを掲げており、「今回発表した『Data ONTAP 8』をクラウドのプラットフォーム基盤として位置付け、これら5つのキーテクノロジーをカバーする最新のクラウドソリューションを提案していく。そして、これを機に、クラウド・コンピューティング市場におけるさらなる躍進を目指す」と、今後のクラウド・コンピューティング戦略の方向性を示した。

ユニファイドストレージによる優位性ネットアップの競合優位性クラウド環境の構築に向けたネットアップのキーテクノロジ
マーケティング部 部長の阿部恵史氏

 続いて、マーケティング部 部長の阿部恵史氏が、2009年第4四半期にリリース予定の「Data ONTAP 8」について説明。「『Data ONTAP 8』は、クラウド時代に求められる新たな要件、要望に応えられる全く新しいストレージ専用OSとして開発したもの。従来バージョンのData ONTAP 7GおよびHPC向けのData ONTAP GXをソースコードレベルで統合し、それぞれの機能を網羅するだけでなく、64ビット対応のアグリゲート機能、データモビリティを実現するNetApp Data Motion機能の提供など、さらなる機能拡張を行っている」と、その特徴をアピールした。

 中でも、「NetApp Data Motion」は、ダウンタイムゼロのデータモビリティを可能にする新機能で、ストレージシステム間でシステムを止めずにデータの移行を行うことができる。アプリケーションを稼働させた状態でもデータ移行が可能で、物理/仮想環境のどちらにも対応している。「これにより、ストレージ機器メンテナンス時などの計画的なダウンタイムが不要になるとともに、ストレージシステム間での負荷分散を図ることができる。さらに、以前から提供しているマルチテナント機能であるMultiStoreおよびFlexShareと組み合わせることで、マルチテナント環境を拡充し、限られた物理ソースを状況に応じて最大限に活用することが可能となる。また、オリジナルストレージで管理している仮想ストレージパーティションを、丸ごと別のストレージに移行することも容易に行えるようになる」という。同機能は、2010年第1四半期に提供開始する予定。

クラウドのプラットフォーム基盤「Data ONTAP 8」NetApp Data Motionの概要マルチテナント環境の構築

 このほか、「Data ONTAP 8」のリリースに先立ち、10月にはクラウド・コンピューティングの導入ソリューションとして、「NetApp Dynamic Data Center」を新たに提供する。このソリューションは、NetAppの技術とベストプラクティス、およびプロセスを組み合わせてクラウドのインフラ環境構築を支援するもの。企業のビジネスニーズの評価、プロジェクトの策定、実装プランの策定を2~4日で実施するコンサルティングワークショップ「NetApp Fast-Start Customer Workshop」によって提供する。

NetApp Dynamic Data Centerの概要ネットアップのクラウドポートフォリオ





(唐沢 正和)

2009/9/1 18:27