ノベル、Solarisコンテナへの環境移行に対応した「PlateSpin Migrate」新版


PlateSpin Migrateの概要

 ノベル株式会社は8月28日、環境移行ツールの新版「PlateSpin Migrate 8.1」を発表した。新版では、GUIやマニュアルが日本語化したほか、対応するハイパーバイザーや変換対象サーバーが拡大されている。出荷開始は同日より。

 PlateSpin Migrateは、OSやアプリケーション、データを含むソフトウェア環境(ワークロード)の変換と移行を行うための製品。物理マシン、仮想マシン、イメージアーカイブ間で自由に移行ができるため、P2V(物理マシンから仮想マシン)、P2P(物理マシンから物理マシン)をはじめさまざまな組み合わせでの環境移行を、容易に実現できるという特徴を持つ。加えて、移行の対象となるOSはWindows、Linux、Solaris、ハイパーバイザーはVMware、Hyper-V、Xenと、自社製品に限定せず広く対応する点もメリットだ。

 また、移行設定はウィザードで簡単に行え、アナライザツールによる事前検証機能も搭載する。これらの機能によって、「移行ができるかできないか、どの部分がハードルになっているかなどを事前に検証可能。またワークロード変換時に障害が発生しても、その原因を簡単にトレースできる仕組みを持っているので、(移行プロジェクトの)失敗率を下げられるメリットがある」(アカウント営業統括部 データセンターソリューション テクノロジースペシャリストの鈴木広紀氏)という。さらに、ほかの移行ツールにない特徴として、鈴木氏は「テスト移行後の本番運用時には、変更された差分のみを移行することが可能。これにより、移行工数を劇的に削減する効果がある」という点を強調する。

 新版では、こうした特徴を受け継ぎつつ、移行対象プラットフォームが大きく拡大された。具体的には、Solarisコンテナ(Zone)を業界で初めてサポートし、Solarisユーザーに対してもワークロード移行の利便性と自動化を提供できるようになったという。また、SUSE Linux Enterprise 11やWindows Server 2008/Vista環境にも対応している。さらにハイパーバイザーとして、最新のvSphere 4.0をサポートした。

 価格は、サーバー移行単位の場合、サーバー移行ライセンス(1~149)+1年間プライオリティメンテナンスで2万7600円(税別)。ワークロード単位の場合、サーバー移行ライセンス(1~149)+1年間プライオリティメンテナンスで4万3320円(税別)。

変換ジョブ実行画面のイメージ。ステップごとに状況を確認できるため、エラーがあっても簡単に原因をトレースできるというアカウント営業統括部 データセンターソリューション テクノロジースペシャリストの鈴木広紀氏
代表取締役社長の徳永信二氏

 ノベルでは、PlateSpin製品や運用ツール「Orchestrate」のようなマルチベンダーの仮想化環境を取り扱えるツールを持っていることから、「自らを、仮想化を下支えする企業として位置付けていきたい」(代表取締役社長の徳永信二氏)考え。具体的なソリューションとしては、仮想化でのサーバー統合、仮想サーバーでのバックアップ、クラウドサービス基盤といった仮想化/クラウド領域でのビジネス拡大を目指して、SIerなどのパートナーと協力し、これらのツールやXen、SUSE Linux Enterprise Serverを展開したいとしている。

 なお徳永社長はノベル全体の施策として、パートナーとの協業強化やOEMビジネスの拡大を目指すと説明。前者では、11月からの1年間で25社の新規パートナー獲得を目標としてかかげる。また後者では、「国産ベンダーとのOEMビジネスにはまだてこ入れの余地がある」(徳永社長)としたほか、ID管理の分野でもOEM提供を積極的に行うと述べている。このほか、コンサルティングサービスの分野では、すでに実績のあるID管理のみならず、仮想化やLinux関連のサービスについても、強化・拡大を目指す意向だ。




(石井 一志)

2009/8/28 14:48