アイ・オー、HDD4基搭載のRAID 6対応NAS-信頼性と性能を向上


HDL-XRシリーズ

 株式会社アイ・オー・データ機器(以下、アイ・オー)は、RAID 6対応のNAS「HDL-XRシリーズ」を9月17日に発売する。HDDを4基搭載しており、RAID 6構成時には2台のHDDが同時に故障してもデータが失われない、高い可用性を備えているという。価格は、物理容量2TBのモデルで9万5600円(税別)から。

 HDL-XRシリーズは、HDDを4基搭載する企業向けのNAS製品で、小型NASながらも、高い可用性を実現するRAID 6に対応する点が特徴。同社 第1開発本部 ネットワーク&ストレージ開発部 ネットワーク&ストレージ開発課 宇津原武氏は「現在(小型)NASで主流なのは、1つのHDDの故障までカバーできるRAID 5だが、リビルド終了までは冗長性が一切ない状態が続き、万一、リビルド中に故障した場合はデータが消失する可能性がある。RAID 6では、リビルド中の故障もカバー可能な点がメリットだ」とその価値を説明する。

 ただしRAID 6は、パリティを2つ取るその仕組み上、HDD搭載数が少ない場合はスピード面で性能が不足することが多く、一般的には多くのHDDを搭載するNASで利用される。そのためHDL-XRシリーズでも速度の低下を憂慮する声があったというが、同シリーズは1.2GHzの高速CPUを搭載するなど、ハードウェア性能を強化し、既存の「HDL-GTシリーズ」と比べて約2倍以上のデータ転送速度向上、設定画面のレスポンス向上を実現。高い可用性と性能を両立させているという。

RAID 6に対応する第1開発本部 ネットワーク&ストレージ開発部 ネットワーク&ストレージ開発課 宇津原武氏

 また、国内設計・生産の安定化電源や外部交換可能な冷却ファンの採用、出荷時のHDD全数エージングなどによって、さらなる信頼性の向上を図った。加えて、eSATA接続の外部HDDへのミラーリング、USB接続への履歴差分バックアップ、もう1台のHDL-XRシリーズへネットワーク経由でコピーするレプリケーションといった、3種類のバックアップにも対応。RAIDは、6以外にも0/5/5+ホットスペア、1m(三重のミラーリング)+ホットスペアに対応し、必要に応じて最適な方式を選択できる。

統合管理ツールや設定保存・復元ツールも用意される

 ツールも、設定データのコピーによって複数台導入する際の手間を削減する「LAN DISK Restore」、複数台のHDL-XRシリーズを統合管理する「LAN DISK Admin」、共有フォルダを監視し、ファイルの追加・更新・削除があった際に通知する「Sight On」などを提供。Active Directoryと連携したアクセス権限の設定もサポートした。

 主な用途としては、一般的なファイルサーバーとしての利用のほか、サーバーのD2D(Disk to Disk)バックアップなどを想定。日本IBMの「Tivoli Storage Manager FastBack」、シマンテックの「Symantec Backup Exec」、OBCの「BACKUP奉行」、ラネクシーの「Acronis True Image」といったバックアップソフトとの連携も可能だ。

 ネットワークインターフェイスは、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×2を備え、うち1ポートはWake On LANにも対応する。最大同時接続数も従来より強化され、32となった。

 ラインアップには、物理容量2TB、4TB、6TB、8TBの4製品を用意した。価格はそれぞれ、9万5600円(税別)、13万8000円(同)、17万円(同)、28万5000円(同)。8TBモデルのみ、受注生産となる。

 なおアイ・オーでは、NASに対するサポートの強化も図る考えで、その一環として、設置・保守のサービスに加え、遠隔監視や、HDD故障時のデータ復旧サービスも提供するとのことである。




(石井 一志)

2009/8/19 11:30