クラウドセキュリティ基盤と協調する新版「ウイルスバスターCorp.10」

Smart Protection Networkの技術を初搭載

代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏

 トレンドマイクロ株式会社は7月27日、企業向け「ウイルスバスター コーポレートエディション 10(以下、ウイルスバスターCorp.10)」を発表した。9月10日より受注開始する。

 ウイルスバスターCorpは、企業向けの統合エンドポイントセキュリティ製品。新版では、同社のクラウド型セキュリティ基盤「Smart Protection Network」のファイルレピュテーション技術を用いた新機能「スマートスキャン」を初搭載した。

 同機能では、必要最低限のパターンファイルだけをクライアントPC/サーバーに配信し、大半をクラウドへ移行。スキャン時には、まずクライアントPC/サーバーに配信されたパターンを使って検索し、疑わしいファイルを検出した場合のみ、クラウド上の「スマートスキャンパターン」を使用する。なお、クライアントPC/サーバーに配信されるデータは、10KB未満に抑えられているという。

 代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、「こうした機能が必要となったのは、従来のクライアント側でのパターンマッチングが限界を迎えたことにある。1時間に約1500個の未知のマルウェアが発生し、毎年約67%のエンドポイントが感染。これに伴い、パターンファイルの更新頻度は増加し、サイズも肥大化し続けている。いま、エンドポイントは本当に安全なのか。スマートスキャンでは、クライアントPC/サーバー側ですべてのパターンファイルを管理・更新する手間が不要となり、使用するメモリ量も削減することが可能となる。また、疑わしいWebサイトへのアクセスをブロックするWebレピュテーションも備え、2つの技術の協調動作が可能」と、同機能の背景やメリットを語る。

 構成としては、トレンドマイクロが用意するクラウド環境へパターン情報を問い合わせすることも、企業内に「ローカルスキャンサーバ」を構築し、そこへ問い合わせることも可能。後者の場合は、ローカルスキャンサーバへリアルタイムに最新脅威情報のバッチアップデートがかけられる。

 クラウドの信頼性に関しては、「複数のデータセンターによりダウンに対応。万が一ダウンしたとしても、当社でローカルキャッシュを取っているので、継続して更新・配信することが可能」(チェン氏)としている。

従来のパターンファイルでは限界ファイルレピュテーションを用いた「スマートスキャン」を搭載。加えてWebレピュテーションも備え、Smart Protection Networkの特徴である両評価技術の協調も実現しているクラウドセキュリティ基盤を用いるメリット
スマートスキャンとそれ以外の新機能

 このほか新機能として、新たな「デバイスコントロール」を搭載。エンドポイントにおけるUSBメモリ、ディスク、FD、ネットワークの4種類のアクセスをコンソールから制御するもので、例えば「USBメモリ接続時のファイル自動実行を抑止するほか、ユーザーごとにUSBメモリの書き込み/読み出しのそれぞれについて可否を設定できる」(同氏)。

 プラグイン製品も順次開発中で、ウイルスバスターCorp.10では「侵入防御機能」が実装済み。喫緊には、Windows 7やWindows Server 2008 R2、およびMac OSへ対応させるプラグイン製品も投入を予定している。

 新版の価格は、クライアントPC向けの「ウイルスバスターCorp.10 Client」が1900円(税別)、クライアントPC/サーバー向けの「Client/Server Suite」が2230円(同)、さらに管理ツールやWebセキュリティを付加するオプション製品「Web Security Service」を含んだ「Client/Server Suite Premium」が3300円(同)。トレンドマイクロでは、今後1年間で180億円の売り上げをめざす。




(川島 弘之)

2009/7/27 13:46