シマンテック、データ重複排除の効果を検証する無償プログラム


プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャの石井明氏

 株式会社シマンテックは6月17日、データ重複排除に関する記者発表会を開催した。ストレージ容量増加を抑制する手段として4ステップの方法論を紹介するとともに、そのシナリオを効率よく達成するための無償アセスメントサービスを発表した。

 データセンターでは日々ストレージ容量が増加し、コスト削減に向けては、その抑制が避けられない課題となっている。プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャの石井明氏によれば、「データは50%増加率で増えている一方、多くのストレージは35%ほどしか使用されていない。この使用効率を上げるだけでも、無駄なハードウェアコストをだいぶ抑えられる。さらにデータの中には重複が多く含まれており、これをうまく排除することが、ストレージの効率を飛躍させる有効な手段だ」(同氏)という。

 そこで同社が提唱するのが、「未使用領域の特定と再利用」「ストレージの仮想化」「バックアップデータの重複排除」「アーカイブによる最適化」の4つのステップで挑む、「コスト削減に即効性のあるストレージ戦略」(石井氏)だ。

 ステップ1では、「Veritas CommandCentral Storage」でストレージリソースの使用状況を可視化する。同製品は、異種ストレージ混在環境における可視化と管理の集中化を図るもので、「リソースの35%しか使われていないという現状を目に見える形にすることで、今後の不要なストレージ購入をなくすことができる」(同氏)。

 ステップ2では、「Veritas Storage Foundation」でストレージを仮想化する。同製品は、各ストレージを論理的に統合するもので、「複数のボリュームが単一空間にプールされ、そこから必要に応じて割り当てることが可能となるため、ストレージ効率を最大化することができる」(同氏)。

 ステップ3では、「Veritas NetBackup PureDisk」でバックアップデータの重複を排除する。ここが今回の肝だ。石井氏によれば、「重複データは50~60%の増加率で増えている」。これをうまく減らすことで、「ストレージ容量を最大98%節約することが可能だ」。また、ネットワークを通じて中央のバックアップサーバーにデータを集約するPureDiskでは転送前に重複を排除するため、トラフィックも削減でき、「その帯域を最大99.8%節約することもできる」という。

 ステップ4では、「Symantec Enterprise Vault」で非構造化データをアーカイブする。「基本的にデータは時間が経つほどにその価値が薄れていく。古いデータをプライマリのストレージからのけることで、ストレージコストのさらなる削減が可能となる」(同氏)。

ストレージの問題点。重複データが急増する一方、ストレージ使用率は低く、無駄なハードウェアコストを招いているステップ1。異種ストレージ混在環境におけるリソース使用状況を可視化するステップ2。ストレージを仮想化して効率を最大化する

ステップ3。重複データを排除するステップ4。古い非構造化データをアーカイブする
PureDiskによるストレージ容量削減の実績。24.5TBを3.7TBに削減できた事例もある
3種類のアセスメントサービス一覧

 これにより「ストレージをもっと働かせよう」(同氏)と打ち出すのが、今回の戦略となる。その推進のために、PureDiskを導入することでどれだけの効果が得られるのかを検証する無償アセスメントサービスを発表。「一部のパートナー向けにはすでにパイロット版として提供していたが、それが好評だったために、一般サービス化するのだ」(同氏)と述べた。

 特長は、「簡易アセスメント」「仮想アプライアンスアセスメント」「物理サーバーアセスメント」の3種類のサービスメニューをそろえたこと。「アセスメント自体がユーザーの負荷とならないように、手間や現実性に応じた3種類を用意し、任意に選べるようにした」(同氏)。

 簡易アセスメントでは、OSの標準スタックによりデータ増分がどれだけあるのかを明らかにする。具体的には「日々のデータ更新量をWindowsのDirコマンドなどを活用して数値化する。総合的な重複排除効果は、データの更新量が鍵となる。PureDiskエンジンは関与しないため、数値化した結果から効果を推測するだけとなるが、その分、顧客の環境に何もインストールしないで済むのがメリットだ。検証の段階で本番機に何かしらをインストールするなどもってのほかというユーザーも多い。そうしたユーザーに最適なメニューである」(同氏)。

 仮想アプライアンスアセスメントでは、仮想環境上にPureDiskを仮想アプライアンスとして稼働させることで、より現実的な検証を行う。仮想アプライアンスは業界標準のOVFフォーマットとして提供するため、OSのインストールなど面倒な手間もなく、また実環境に影響を与えることなく、具体的な検証が可能となる。仮想マシン用のサーバーもシマンテックが貸し出しを行う、小規模環境などに最適なメニューだ。

 最後の物理サーバーアセスメントでは、本番機の物理マシンへ実際にPureDiskを導入して検証を行う。「仮想アプライアンスアセスメントでは現状、最大でも1TBまでという容量制限があるが、この方式では制限なしなので、さらに現実に即した検証が可能となる」(同氏)。

 なお、仮想アプライアンスと物理サーバーによるアセスメントでは、データ削減の実測比率のみならず、バックアップ速度やバックアップ量の推移など、さまざまな要因まで検証できるのがメリット。「ほかにも同様のアセスメントサービスを提供するところがあるが、こうした深いところまで検証できないことが多い」(同氏)という。

簡易アセスメント。OS標準スタックにより、データの更新量を数値化する仮想アプライアンスアセスメント。仮想アプライアンスのインポートウィザードからOVFファイルを選択するだけで、仮想マシン上にPureDiskが展開される検証結果としてはグラフィカルなレポートが提供される





(川島 弘之)

2009/6/17 17:27