NTTデータなど6社、次世代ERP「Biz ∫」の事業会社を設立

国産パッケージの結集で「ユーザー中心型ERP」実現へ

NTTデータイントラマート 代表取締役社長の中山義人氏
NTTデータ 取締役常務執行役員の荒田和之氏

 株式会社NTTデータ、株式会社NTTデータイントラマート、株式会社NTTデータシステムズ、アイテックス株式会社、ウイングアークテクノロジーズ株式会社(以下、ウイングアーク)、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(以下、b-en-g)の6社は6月1日、次世代型ERPソリューション「Biz ∫(インテグラル)」を開発し、その事業会社として株式会社NTTデータ・ビズインテグラルを設立したと発表した。

 Biz ∫は、NTTデータグループと国内パッケージベンダーが共同で開発した次世代型ERPソリューション。NTTデータイントラマートのフレームワーク「intra-mart」を基盤に、NTTデータシステムズの財務管理パッケージ「SCAW」、b-en-gの生産管理パッケージ「MCFrame」、アイテックスの人事管理パッケージ「ePro_St@ff」、ウイングアークの帳票パッケージ「Dr.SumEA」などのアプリケーションを提供する。

 こうした各社のパッケージノウハウを結集したERP領域に、ポータル・グループウェア・BIなどのフロント領域や情報系領域なども含めて、「全社員が全業務メニューを日常業務で自然と使えるERPを提供する」(NTTデータイントラマート 代表取締役社長の中山義人氏)ほか、「上流から導入・活用まで包括した支援サービスも提供する」(NTTデータ 取締役常務執行役員の荒田和之氏)のが特長。

 詳細としては、intra-martやそのBPM(Business Process Management)基盤をベースに、全面的にSOAを採用。BPMフローで業務プロセスを可視化できるとともに、SOAによりユーザーが求める機能だけを選択できるのがメリットで、「ユーザー中心型のERPとして、必要な機能を簡単に付け外しできる高い拡張性を実現した」(中山氏)という。さらにSaaS/クラウドにも対応するため、「まずは一社で導入した後、フレキシブルにSaaS/クラウドに展開し、将来的に全社採用するといったスモールスタートも容易になっている」(同氏)。

 荒田氏は、「SaaS/クラウドなどの新たな環境が整い始め、ユーザーはパッケージ単体ではなく、導入後のサービスも含めたトータルソリューションを望むようになっている。そうしたトレンドや期待にNTTグループとしてどう応えるか、その解がこの新事業であり、新会社の設立である」と説明。その上で「支援サービスとしては、導入後の継続的な効果測定の仕組みを提供するほか、パートナー向けのコンサルメソッドやシステム開発メソッドも提供する」とし、単なるパッケージの提供ではなく、サービスも含めたトータルソリューションである点を強調した。

Biz ∫のコンセプト。パッケージベンダーのノウハウを結集ユーザー中心型ERPを実現するBiz ∫の概念図。Intra-martのサービスバスを軸に各種アプリケーションが提供される。SOAを採用するため、既存システムや外部接続なども容易に可能という

 新会社のNTTデータ・ビズインテグラルは、4億5000万円の資本金(NTTデータが74.5%、NTTデータイントラマート・NTTデータシステムズが各11.1%、アイテックス・b-en-g・ウイングアークが各1.1%の比率)で、5月27日に設立。中山氏を代表取締役社長に据えて、6月1日より営業を開始する。

 当初は20名ほどの人員でスタートするが、70~80名ほどに順次拡大し、営業・コンサル・開発体制を整備。開発の面では、6社も共同開発・OEM供給の形で協力し、販売は新会社に加え、NTTデータイントラマートやNTTデータシステムズをはじめとするNTTデータグループ各社がパートナーとなって行うほか、ERPまわりのトータルソリューションに強みを持つSIerなどを募っていく方針。

 サービスロードマップとしては、2009年度上半期に、販売管理とBIに関するコンポーネントを提供。2010年度にかけて順次、人事管理や財務管理、生産管理などのメニューを増やしていくほか、広くパッケージベンダーの参画も募り、徐々にメニューを増やしていくとのこと。

 販売目標としては「3年後に200社、50億円を目指す」(中山氏)としている。

 なお「国産パッケージを結集して相互運用性を実現する」という点では、同じような活動を行うメイド・イン・ジャパン・コンソーシアム(MIJS)が存在し、実はb-en-g、ウイングアーク、NTTデータイントラマートはそちらでも重要な役割を担っている。両者の関連性については、MIJS副理事長を務めるウイングアーク 代表取締役社長の内野弘幸氏が、「競合するものではなく、あくまで共存するもの。今回の新事業自体が、MIJSでの活動成果であると取っていただきたい」と説明し、今後も並行して活動を行っていくとした。

新会社を中心としたビジネススキームビジネスロードマップ。販売管理とBIから人事管理、財務管理、生産管理と順次メニューを増やす左からNTTデータシステムズ取締役の島田晃氏、荒田氏、中山氏、アイテックス代表取締役社長の林孝男氏、内野氏、b-en-g取締役社長の石田寿典氏





(川島 弘之)

2009/6/1 14:55