受信メールの31%がスパム-シマンテックがスパムメール対策調査結果を公開

メールセキュリティ製品新版も発表

 株式会社シマンテックは4月21日、今年3月に実施した国内企業におけるスパムメール対策調査の結果について記者説明会を開催した。また、調査結果とあわせて、スパム対策機能を強化した企業向けメールセキュリティ製品の最新バージョン「Symantec Brightmail Gateway 8.0」を発表した。

 この調査は、国内企業におけるスパム対策の動向を知るために、同社が毎年実施しているもの。過去に5回行われており、これまでは企業内ユーザーも対象にしていたが、今回からは管理者のみに対象を絞っている。調査期間は3月5日~15日で、459件の有効回答数を得た。

 調査によると、まず1社あたりの平日1日平均の電子メール受信数は11万1450通となり、電子メールに関する各種ソリューションの導入率では、「スパム対策」が前年比で最も高い伸び率を示した。これについて、ソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティング マネージャの金野隆氏は、「ウイルス対策の導入率は92.6%に達し、すでにほとんどの企業に導入されているのが現状。一方、スパム対策は、年々、右肩上がりで導入が進んでいる状況で、昨年の63.3%から今年は71.2%まで導入率が上昇した。また、昨今のメール保存やストレージコスト削減の流れを受け、とくにEnterprise層でメールデータのアーカイブ/管理の導入率が高まっている」と分析した。


ソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティング マネージャの金野隆氏電子メール・ソリューションの現在導入率(時系列比較)

 受信メール全体に占めるスパム比率は、全体平均で31%。企業規模別で見てもSmall層が平均26%、Mid層およびEnterprise層が平均33%となり、規模に関わらず、受信メールの3通に1通がスパムとなっている。「スパム比率は、昨年から大きく変わっていないが、今後はさらに増えていく傾向にある」(金野氏)という。こうした状況の中、スパム対策の必要性については、「すでに充分なスパム対策がされている」と認識している情報システム部門が全体の53%を占める一方で、「スパム対策導入の必要性は感じない」という回答はわずか3.9%にとどまり、スパム対策への課題意識は高いことがわかった。


スパムの受信状況スパム対策の必要性認識状況

 実際のスパム対策の導入状況は、「サーバー用スパム対策ソフトウェア」の利用率が年々増加傾向にあり、とくにEnterprise層を中心に導入が進んでいる。このほか、スパム対策アプライアンスおよびISP/ASPのスパム対策サービスも、今後さらに利用率が高まっていくと見ている。なお、今回から新たに調査に加えた「仮想化対応したスパム対策ソフト」は3.1%の利用率にとどまったが、スパム対策の導入予定では、Enterprise層の20%が「導入を予定/検討している」と回答していることから、「現在はまだ利用率が低い状況だが、今後の動向に注目される」(金野氏)としている。


スパム対策の導入状況(時系列推移)スパム対策の導入状況(規模別)

 

現スパム対策導入時の重視点(規模別)

 現在のスパム対策導入時に重視したポイントについては、企業規模によって重視点が異なり、Small層では「導入・保守コスト」がトップ。一方、Enterprise層とMid層では「スパム検知率が高い」が最も多く、企業規模が大きくなるほど、検知率や誤検知への重視度が高くなった。現在利用しているスパム対策の満足度は、全体の66%が満足(とても満足+まあ満足)と回答した。不満な点としては、「業務メールを誤検知する」がトップで21.1%、続いて「スパム検知率が低い」「導入・保守コストが高い」の順だった。

 さらに、スパム対策ツールの選択・導入や、今後期待する機能に関する自由回答を分析した結果、「これからのスパム対策ツールに求められる機能は、より速く、正確に、検知すること。そして、そのツールを、より安く、手軽に、評価・導入・利用できるようにする必要がある」(金野氏)とし、仮想化対応やホスティング対応/SaaS化が今後のキーワードになると指摘した。


現スパム対策の満足度現スパム対策の不満点スパム対策の導入予定(規模別)

 

新しいMTAを採用したSymantec Brightmail Gateway 8.0

 このスパム対策調査結果とあわせて発表された「Symantec Brightmail Gateway 8.0」は、企業向けメールセキュリティ製品の新バージョンで、既存ユーザー向けにはすでに3月から提供を開始している。大きな特徴は、1)新しいMTAを採用、2)アンチスパムのさらなる強化、3)パフォーマンスの向上、4)管理面の強化、の4点。とくに、アンチスパムの強化では、バウンスアタック保護機能を搭載しており、送信メールに独自タグを記述し、メール受信の際にチェックすることで不正なバウンスを防御する。また、適応性のあるレピュテーション管理機能を備えており、数千万IPによるグローバルおよびローカルレピュテーションを活用し、メールトラフィックをシェーピングすることで、コネクションレベルで最大95%のスパムメールをブロックすることが可能となる。

 パフォーマンスの向上では、FastPassメッセージ処理アプローチを活用し、既知の安全な送信者からの電子メールをスパムスキャン全般から迂回させ、スキャンの拡張性とスループットの向上を実現。管理面の強化としては、監査機能を強化したほか、情報漏えい防止ソリューションとの連携も可能としている。


バウンス攻撃の防止機能を搭載トラフィックシェーピングによるパフォーマンスの向上管理面の強化(送信メール検査の構成例)



(唐沢 正和)

2009/4/21 18:32