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シックス・アパート平田氏「オープンコミュニティであるブログによって、Webが変わり始めた」


 今回は、ブログビジネスのパイオニアであるシックス・アパート株式会社 技術担当執行役員で、一部で“ブログの神”としても知られる平田大治氏をお招きしました。ブログがWeb 2.0という新しい環境をもたらし、Webの構造化を加速させる最大の要因の一つであることに異論はないと思いますが、シックス・アパートはその中でも重要なけん引役であるといっても過言ではないでしょう。


ブログのビジネス利用は日本が先行

シックス・アパート株式会社 技術担当執行役員 平田大治氏
─本題に入る前に、簡単に自己紹介をお願いします。

平田氏
 大学を卒業後、某通信会社にエンジニアとして入社したのがキャリアの始まりです。その後、紆余(うよ)曲折してIT企業専門の投資会社(VC)であるネオテニーの伊藤穣一社長に誘われて移り、主に投資先の技術を見極める仕事をしていました。

 そんな折りに、たまたまブログに出会いました。初めは簡単なホームページを作るためのソフトだと思っていましたが、やってみると面白い。そこで、個人的にMovable Typeの日本語訳を手伝ったり、周辺技術、例えばモブログ(携帯電話などからブログを更新すること)の仕組みなど作りだしたのが、ブログとの付き合いの始まりです。

 そして気がつけば本業でもブログというか、まだ創業間もないころのシックス・アパートに投資することになっていました。2003年4月のことです。


─日本での事業化はいつごろから始めたのでしょう?

平田氏
 投資したからには、支援することがVCの役目です。日本のシックス・アパートのプレゼンスアップを図ろうといろいろやっているうちに、ニフティが2003年12月にブログホスティングサービスである「TypePad」を採用して「ココログ」というブログサービスをに立ち上げることになりました。その後、NTTコミュニケーションズ(OCN)が同じくTypePadを使った「ブログ人」を始めることになり、気がつけば、私もシックス・アパートに籍を置くことになっていました(笑)。


─シックス・アパートでの平田さんの役割を教えてください。

平田氏
 私の、というより日本のシックス・アパートは、Movable TypeとTypePadの日本語化、そして日本で生まれた技術やサービスを、世界に提供するという役割を担ってます。


─米国本社と日本法人の事業の大きな違いは何ですか?

平田氏
 米Six Apartでは、Movable Typeの販売とTypePadの提供と、日本と大きく変わるわけではありませんが、どちらかというと個人へのホスティングが中心です。最近買収した「LiveJournal」という、TypePadと比べると簡易的なブログ機能のホスティングサービスも提供しています。

 対して日本のシックス・アパートでは、Movable Typeの販売は同じですが、より法人向けのサービスに方向を定めていますし、TypePadも個人に直接提供しているものの、どちらかというと企業向けにライセンス供与することに重点を置いています。


─なるほど。米国に比べて日本の方が、より“ビジネスブログ”的な市場といえるわけですね。

平田氏
 そういえると思いますが、日本ではブログに限らず「新しいコミュニケーションツールを使いましょう」というときに、どうしても会社ぐるみでの行動になりがちで、反対に米国は社員が自発的に使うことが多いです。こうした社会性や国民性の違いも、ブログの普及の形に何らかの相違が現れている要因だと思います。


─では、ブログの活用方法にも違いが見られますか?

平田氏
 個人ブロガーの使い方は変わらないと思います。あっても多少でしょう。例えば、先進的ユーザーを見ると、米国はジャーナリスト的、日本はコミュニケーション寄りといった違いはあります。

 ビジネス利用においては、日本がかなり進んでいると思います。日本ではマーケティング利用のビジネスブログが数多くありますし、最近ではシックス・アパートが社内ブログシステムの構築においてオラクルと協業しましたが、これは日本発の動きです。

 全社でブログを使うとき、ちゃんと動くシステムでなければならないし、会社の中で使うデータベースとの連携が必要です。そこで、オラクルと連携すれば大規模ユーザーにも使っていただけます。一方、小規模な企業なら今までのMovable Typeで十分です。


“ブログの神”が見るWeb 2.0とは

─では、そろそろ本題に入ります。ブログやSNS、AmazonやGoogleなどによるWebサービスの普及によってWebの構造が変質し、セマンティックWebに近い形になりつつある。それがWeb 2.0である、というのが私の考えなのですが、平田さんが考えるWeb 2.0とは何でしょう?

平田氏
 正直にいって、シックス・アパートとしてWeb 2.0という言葉によって左右されるようなことは無いといえます。個人的にも、Web 2.0は「現状認識」だと思っています。ブログによってWebが変わってきて、その方向性が分かる人には分かっています。それをTim O'Reilly氏がWeb 2.0という言葉で分かりやすくしたわけです。このWebの変化によってビジネス環境の変化も速くなってきました。シックス・アパートとしても、そういう流れに乗ってスピードに負けないようにしたい、と思っています。


─具体的に、その方向性とは何でしょう?

平田氏
 多くの人がWebという世界に参加するようになり、さまざまな変化を生みだすということです。ブログの登場とその影響はやはり大きいと思います。例えば2002年以前では、個人がWebサイトを作るという行為は、基本的に手でHTMLを書くということでした。一方、大企業は、CMS(Contents Management System)のようなツールを使ってサーバー上でHTMLを生成することで高度なWebサイトを作っていました。

 それが、今ではMovable Typeのようなブログ作成ツールを使えば、同じようなWebサイトを簡単に作ることができるようになりました。つまり、Web上に情報をアップするためのコストがブログによって大きく下がったわけです。そのために、個人であっても容易にWeb上でのビジネスや情報発信が行えるようになり、その結果大きな好循環といいますか、スパイラルが成立しました。ブログがそのための障壁を低くし、個人がどんどんWebを活用するという方向に世界を動かしたのだと思います。


─Web 2.0が現在Web上で起きている事象についての現状認識であるという意見に賛成しますが、あえてお聞きします。Web 2.0を誰かに技術的に説明するとすればどうしますか?

平田氏
 これまでと比べて、より構造化が進んだWebといえるでしょう。個人的には構造化されすぎていないことがWebの魅力のようにも思いますが(笑)。

 SGML(Standard Generalized Mark-up Language:文書の論理構造、意味構造を記述する言語)ベースといいますか、これまでのHTMLによるWebはデータベースとしてはボロボロで、至るところでリンクが切れてしまってました。だからといって、セマンティックWebの理想通りにRDFやXMLベースの世界を作ろうと思っても、それがすぐに成立することは難しい。

 それでも、多少中途半端であっても、少しずつWebの構造化を進めるために、RSSをはじめとする小さなフォーマットの普及を目指す人たちがいます。そういう努力を続ける人たちに対していろいろいいたがる人もいるし、批判はありますが、結局多くの人の努力と尽力によって、シンプルなWebサービスであるRSSなどのフォーマットが普及し、構造化の方向に進んでいます。

 ブログにしても、内容自体は決して構造的ではありませんが、ブログというツールを使っている以上、全体的にある程度フォーマット化されています。完璧ではなく、ある程度。かなりルーズなことは否めませんが、Web上のさまざまな情報が徐々に決まったフォーマットに沿って記述されつつあります。どこまで進めるかがチャレンジであり、ユーザーが作ったコンテンツが、どんどんWeb上に流れ込んでいることをよしとする。その上でビジネス化を考えていけばいいと思います。


─そういった方向性の中で、ブログ専業企業として多角化を考えたりすることはありませんか?

平田氏
 ありませんね。ブログだけでも、すべてのお客様のご要望にお応えできていないというのが現状で、足りないものがある以上、そこに集中したいと考えています。


─最近ではテクノラティやPubSubを中心に「MicroFormats」や「Structured Blogging」といった新しい動きが見られますが、これらについてはどうでしょう?

平田氏
 MicroFormatsやStructured Bloggingは、先ほど述べたような、構造化を押し進めていくために、少しでもWeb上のデータのフォーマット化を進めようとする努力の現れでしょう。ブログで投稿する際に、その内容をできるだけ簡単なフォーマットで記述して行こうという動きです。

 新しいサービスを生む土壌となるフォーマットだと思いますし、Webサービスの新しい利用方法を喚起するものだと考えています。例えば、検索エンジンを作ろうと思っても簡単なことではありません。しかし、逆に検索エンジンに簡単に探し出してもらうために、データを検索エンジンフレンドリーなフォーマットで書くことは、さほど難しくありません。現時点でシックス・アパートは、こうした動きに対して公式に立場を表明してませんが、肯定されるべき動きであると思います。


シックス・アパートやブログと競合するのは?

─話が変わりますが、シックス・アパートと競合する企業はどんなところになりますか?

平田氏
 難しい質問ですね。米国では、Googleの傘下となった「Bloggers.com」をはじめ、「Xanga.com」などのブログホスティング企業が競合といえばそうなります。あるいは「Wordpress」も無視できない存在です。

 シックス・アパートの製品戦略としては、Movable Typeはハイエンドデベロッパーに近いお客様に利用していただきたいと思っていますし、外部APIの塊のようにしたいです。ユーザーとしても、Movable Typeの拡張やプラグインツールを作るなど、機能追加をすることを楽しむ人が多いです。

 一方TypePadは、お金を払ってでも質のいいブログを使いたい、というユーザーのためのサービスです。だから、ほかのブログホスティングサービスよりも、常に高機能を提供することがミッションになります。日本では、ニフティやOCNをはじめとするISP20社近くにTypePadを提供していますが、基本は有料サービスです。


─日本では無料のブログサービスが大きなトラフィックを集めていますね。

平田氏
 シックス・アパートも成長したとはいえ、グローバルで100人、日本では20数名の、まだまだ小さなベンチャーです。だから当面は技術開発に専念していきたいと考えています。無料のブログサービスをやるタイミングではありません。


─日本のブログサービスとは戦わないということですか?

平田氏
 ビジネス上の競合はあまり考えてません。技術上の競合といいますか、機能上では常に優位にいたいと考えています。例えばトラックバックはMovable Typeから生まれたことはよく知られてますが、これからもブログサービスにおけるイノベーションを起こしていきたいと思ってます。


─しつこいようですが、日本のベンチャーで意識するところはありませんか?

平田氏
 あえていえば「はてな」でしょうか。ビジネスモデル的にはあまり重なるところはありませんが、技術開発の速度において比べられるかもしれません。


─SNSはどうでしょう? Web 2.0における構成要素の一つと思いますが。

平田氏
 Webアプリケーションとしては、ブログと違うものだと思います。実は、私はmixiにもGREEにも入っていないので断言できませんが(笑)。Orkutは少し使っています。

 SNSもブログも、コミュニケーションツールには違いないと思いますが、知っている人とのコミュニケーションを密にするのがSNSで、そうでないのがブログといえる気がします。ブログは、クローズドにもできますが、基本的にはオープンなものです。オープンにすることによって新しい出会いも作れるわけで、友達でなくても興味があればコンタクトしてください、というおおらかさがブログの特徴です。SNSはクローズドな環境で終始しますね。


─オープンであることとクローズドであることの違いは何ですか?

平田氏
 情報の出し入れが違います。Web 2.0的といえる現在は、情報の価値が世の中的に変わってきていると思います。それは何かというと、昔は人が知らないことを知っていること、キャプチャーすることが価値だったわけで、必要に応じて情報を出力するのがお金になる時代がありました。

 ところが、インターネットの出現によって変わりました。検索し、フィルタリングし、サマライズして、自分の情報とすることが簡単になりました。だから、情報をためるのではなく、出すことが価値になります。

 あの人、あるいはあのサービスは、いい情報をたくさん持っているから、行けば常にいい情報をもらえる、ということになれば、多くの人(トラフィック)が集まります。そういう評判がたつと、今度はどんどん新しい情報も集まってきます。つまり、非常にいい感じの情報の流れといいますか、輪ができてくるのです。そう考えると、価値を出力する立場にならないと、その輪に入っていけないわけです。


─なるほど。「参加のアーキテクチャー」ですね。

平田氏
 そうです。そして、それにはブログのほうがマッチすると思います。まず人数のリミットがない。言語の壁などはあるでしょうが、オープンなコミュニティですから、興味のある人が集まる加速度が違います。ですから、SNSとブログの競合が起きるという恐れはないわけです。シックス・アパートは、オープンなコミュニケーションを支援する会社として、これからもブログにコミットしていきたいと思います。


─いまや世界のネット事業のすべてに影響を与える存在となったGoogleについてはいかがでしょう?

平田氏
 検索エンジンの登場によって、混沌(こんとん)としていたWebでの情報へのリーチが改善されました。Webが普及して、結果的には情報の数が増えたのに、リーチするコストが下がったわけです。この流れは変わりません。

 Googleは、Webの中からほしい情報を入手する手伝いをしてくれます。そこには次のステージもあることをみんなが予想するわけで、その期待感が強い株価を支えています。しかし、ブログはすごいスピードで増殖しており、その結果、検索エンジンの開発速度やカバーできる範囲の広がりが追いつかない、ということも起きています。

 そのために新しいテクノロジーが出るわけで、例えばテクノラティのようなブログ検索やフィード検索サービスが生まれてきています。del.icio.usのように、ユーザー参加型のサービスもあります。また、インターネット上のコンテンツは今でもテキスト中心ですが、今後ポッドキャストのようなマルチメディア化が進むことはいうまでもありません。

 音楽ビジネスも物流から情報流通によるモデルに変わってきています。環境はどんどん変化しており、その変化に則した企業が勝つことになるでしょう。だから、Googleが必ず勝つとは必ずしもいえないと思います。


日本発のイノベーションが起きる可能性

─Web 2.0的企業にはビジネスモデルが無いという批評がありますが、どう思いますか?

平田氏
 VC的な視点で見ると、いまは投資フェーズだといえます。つまり、きっちりとしたビジネスモデルというか、事業を生むためにかけたコストを回収することを考える段階にまだ到達してないということです。

 現在は、数年後のWebを一変させてしまうかもしれないようなイノベーションが起きているフェーズです。そんなときは技術も粗っぽいし進化も速い。そこで回収モデルを考えても、前提条件が変わってしまう可能性もあります。ですから、あまり深く考えても仕方ないということもあります。仮説があってもやってみないと分からないわけですから。


─ブログにしても、わずか2年前には事業性があるかどうか分かりませんでしたね。

平田氏
 そのとおりです。シックス・アパートは、ブログがビジネスになると実証できた点でラッキーでした。オープンソースのおかげで、ローコストで新しいイノベーションを起こせるようになりました。だから、今は技術的なイノベーションを起こせそうな企業であれば評価するべきだと思います。


─Web 2.0に限らず、基本的にイノベーションの源泉はアメリカにあるという印象を受けますね。

平田氏
 日本にも技術面でいいものがあると考えます。例えば、企業向けのブログの使い方がそうですし、こんなにモバイル、ケータイが進化している国はほかにありません。これから日本発のイノベーティブなサービスやアプリケーションが生まれる余地は十分にあります。


─そうあってほしいものですね。最後に2006年の予想、あるいは目標を聞かせていただけますか。

平田氏
 ブログはもう一般化したと思います。(単なる流行と本格的な普及の間の)キャズムは超えたと思いますし、コモディティ化したといってもいいかもしれません。しかし、ブログの使われ方は多岐にわたり、非常に進化が速い分野なだけに、次々と新しい機能や使われ方が生まれてくることも考えられます。

 つまり、コモデティ化と次なる進化のバランスをどうとるか、というところが難しいと思いますし、今後の我々の目標になっていくでしょう。


ブログの後追いでWeb 2.0という言葉が生まれた

 シックス・アパート、というよりもブログビジネスを営む企業にとってWeb 2.0は、ある意味後追いで出てきた言葉です。したがって、ブログがWebを変えたという自負とともに、改めてブログ普及後のWebを、ことさらWeb 2.0と呼ぶ必要性を感じていないような感があります。

 しかし、平田さんが考えるブログとWebのあり方は、多くの識者が語るWeb 2.0の世界観とほぼ同一であると感じます。




小川 浩(おがわ ひろし)
フィードパス株式会社 COO。1996年、デル、ゲートウェイの代理店としてマレーシアにて日系企業および在住邦人向けのPC通販ベンチャーを創業。1999年9月にアジアと日本をまたがるSNSを開始。その後日立製作所にてコラボレーションウェア「BOXER」を立ち上げたのち、ネットビジネス・プロデューサーとしてサイボウズにジョイン。ブロガーとして「Web2.0 BOOK」「ビジネスブログ」シリーズなどの著作がある。

2006/01/06 08:59

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