Enterprise Watch
最新ニュース

米Juniper、不況下でのコスト削減を支援するソリューションをアピール

サービスプロバイダ/エンタープライズ市場向け戦略を解説

 米Juniper Networks(以下、Juniper)は2月24日(米国時間)、金融アナリスト向けの事業説明会「Financial Analyst Meeting」を米San Mateoで開催。インフラストラクチャ製品グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのキム・バーディキュー氏がサービスプロバイダ向けビジネス戦略を、イーサネットプラットフォームビジネスグループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのヒテシュ・シェス氏がエンタープライズ向けビジネス戦略を、それぞれ解説した。


インフラストラクチャ製品グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのキム・バーディキュー氏

サービスプロバイダ向け事業において、2009年に注力する5つのソリューション
 サービスプロバイダビジネスは、Juniperにとっての柱になるビジネスであり、市場の中でも高いシェアを持つ分野だ。2008年もこの市場に対しては継続的な強化を実施しており、サービスルータ「MXシリーズ」や大型セキュリティ製品「SRXシリーズ」などが好調に推移したほか、インテリジェントなサービスエッジを構築するためのソリューションも提供可能な体制を整えている。

 コアルータでも、「T640」や「T1600」といった単一製品に加え、T1600を連結して高性能ルータを作り出す「TX Matrix Plus」、制御プレーンをルータから外部へ分離独立させた「JCS 1200」などによって、ルータの仮想化を実現。サービスプロバイダ市場におけるポートフォリオの強化を図った。

 バーディキュー氏によれば、こうした製品の強化によって、実際のビジネスも伸長したという。具体的には、トップ100社のサービスプロバイダのうち、2007年時点では65社に導入されていたが、2008年には100社すべてへの導入を実現した。またトップ5社における戦略的プロジェクトへの参加数も、75から115へ増加し、約54%もアップ。加えて、新興市場では売り上げが165%伸び、日本、ブラジル、韓国、スペインといった国でシェアナンバーワンを獲得する、といった成果があったという。サービスプロバイダ市場でのトータルの売り上げを、前年比27%向上したとのことで、この結果についてパーディキュー氏は、「この市場では、幅も奥行きも強化ができている。2008年は数字の上でも飛躍があった年だ」と述べた。

 一方2009年は、厳しい経済環境をふまえた、5つのソリューションに注力していくという。そのうちの1つは、HDビデオ会議のソリューション。ビデオ会議、特に、臨場感のあるHDの高画質ビデオ会議は出張費用の削減などに効果が高いため、今のような不況下でもニーズの高いものだが、実は、「HDビデオ会議10件のうち、1件だけがエンドトゥエンドでHDになっている」状況で、せっかく投資をしたのに、効果的に利用されているとはいいがたいのだという。

 パーディキュー氏によれば、この原因は「ネットワーク全体におけるポリシー管理の欠如だ」とのこと。「非常にシンプルに、かつ動的に帯域の割り当てをして、コールのプロビジョニングができるのは当社だけ。ビデオの世界でもイノベーションが提供できる」とも述べた同氏は、「ビデオ会議はたくさんの帯域を消費し、利益率が高いソリューション。当社のソリューションによって、売り上げの向上とTCOの削減が見込めるだろう」と述べ、効果的なサービスとして顧客がエンドユーザーに提供できる体制を支援するとした。


 また別の注力ソリューションとしては、パーディキュー氏はマネージドサービスを挙げた。マネージドサービス、つまりASP/SaaSとして提供されるサービスは、運用コストを下げるための手段として企業から注目されているが、これを提供するための基盤にも、Juniperの製品が使えるというのだ。例えば、高い性能・スケーラビリティや管理性を持ったSRXシリーズは、セキュリティサービスの提供基盤としてはうってつけのソリューションといえる。同社では、こうした製品・ソリューションによってキャリア/サービスプロバイダのマネージドサービス提供を支援し、「エンタープライズビジネスに入っていくお手伝いがしたい」(パーディキュー氏)と述べた。

 「サービスプロバイダのオペレーションコストは、ネットワーク運用にかなりの部分が費やされている。当社では、アーキテクチャ上の利点をさまざまな製品ですでに発揮しており、その価値をお客さまへ提案したい。経済状況は厳しいが、この状況において力を持つ会社と持たない会社との差が著しく出てくると思っている」(バーディキュー氏)。


イーサネットプラットフォームビジネスグループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのヒテシュ・シェス氏
 一方エンタープライズ市場でも、一元化され、迅速にサービスやアプリケーションを提供できる「ハイパフォーマンスネットワーキング(HPN)」のビジョンによって、シンプルなネットワークを構成できるというメッセージを伝えていくという。ネットワークがシンプルになれば、それだけ管理もシンプルになり、TCOの削減につながっていく。ITコスト削減が叫ばれる不況の中では、それが強いメッセージとして働くというのだ。

 例えばEXシリーズのスイッチでは、「キャリアクラスの信頼を持ちながら、シンプルなオペレーションが可能で、性能でもほかのベンダーでは、これに匹敵する製品を持たない」(セス氏)としたほか、SRXシリーズの高いパフォーマンスを利用すると、3つの階層構造だったネットワークを簡素化し、1つの階層に圧縮することもできる。このような各製品の特徴が評価され、ここ最近では、1つではなく包括的なソリューションとして、複数の製品を購入する顧客が増加。2008年のエンタープライズ分野では、22%売り上げが増加したという。

 こうした同社のエンタープライズ事業を支えるラインアップも順調に増加しており、初のシャーシ型スイッチ「EX8208」をすでにリリース。2009年第2四半期には、さらに大型のシャーシ型スイッチ「EX8216」や、24ポートのボックス型スイッチ「EX2500」を、セキュリティ分野では2009年第1四半期にSRXシリーズにおける小型機「SRX3000」シリーズを提供することを明らかにした。

 「当社では目的を持ってR&Dに投資しているが、その成果をうまく活用し、迅速にリリースができている。これらの製品は、お客さまに何が提供できるかで価値が決まる。SRXシリーズやルーティング製品とスイッチを組み合わせて、即戦力で包括的なソリューションを提供できるだろう」(セス氏)。



URL
  米Juniper Networks
  http:/www.juniper.net/
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://juniper.co.jp/

関連記事
  ・ ジュニパー、JUNOS搭載のハイエンドセキュリティ製品-FW性能は最大120Gbps(2008/09/16)
  ・ ジュニパー、最大25Tbpsの巨大コアルータを構築可能なプラットフォーム(2009/02/03)
  ・ 「革新のために不況下でも開発投資は継続する」-米JuniperジョンソンCEO(2009/02/25)


( 石井 一志 )
2009/02/27 11:36

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.