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「消費電力削減は技術力の証明」、省電力をアピールするジュニパー


米Juniper Networks アジア太平洋地域CTOのマット・コロン氏

ジュニパーのサービスプロバイダ・マーケティングマネージャー、佐宗大介氏
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は9月13日、記者向けのセミナーを開催。米Juniper Networks アジア太平洋地域CTOのマット・コロン氏と、ジュニパーのサービスプロバイダ・マーケティングマネージャー、佐宗大介氏が、同社ネットワーク製品の電力効率における優位性について、説明を行った。

 最初に登壇したコロン氏は、ワールドワイドでトラフィックが増えている傾向に触れた後、「これに対応するため、サービスプロバイダやキャリアがより多くの機器を購入して、それらをつなげ、トラフィックに対応できるようにしている」と述べる。しかし、ネットワークが大きくなり、構成台数も増えれば、機器が消費する電力量が上がってしまうため、電力コストの増大に悩まされることになっているとの現状を紹介した。コロン氏が示したデータによれば、現在、データセンターのキャビネット運用費用のうち、実に44%を電力関連のコストが占めるほど。そうした現状を反映して、サービスプロバイダやキャリアからは、同社への厳しい要求になって帰ってきているとする。

 そこで同社でも、消費電力量を抑える取り組みを製品開発の上でさまざま行ってきた。コロン氏は、開発作業について、「当社の技術者に、『ルータを作る上で一番難しいこと』を聞いた時に、帰ってきた答えは『電力ならびに冷却』だった。特に、ルーティング、Ethernetまわりで大変な努力をしている」と話し、非常に意識して取り組んできたことを強調。さらに、「消費電力量を下げ、お客さまのコストを低く抑える手伝いをする。一方で、環境に優しいグリーンという取り組みがあり、地球温暖化の抑止に寄与している」とも述べた。

 続いて登壇した佐宗氏は、同社の実製品を取り上げて、消費電力1kWあたりのスループット(EER:Energy Efficiency Ratio)について、他社製品との比較を紹介した。例えば、ハーフラックの大きさで1.6Tbpsの処理性能を持つコアルータ「T1600」では、40~50%の電力削減が可能とのこと。また、このような大型機器ではなく、消費電力量の少ない「MXシリーズ」でも、Gigabit Ethernetあたりの電力効率は約半分を実現。2008年に初めて投入されたスイッチ「EXシリーズ」は、複数台のスイッチを仮想的に1台に見せかけるバーチャルスイッチ機能を効果的に活用することで、シャーシ型のスイッチよりも格段に電力効率を向上させられるという。

 実際のネットワークでも、こうした機器をコア、エッジ、アグリゲーションといった各階層へ配置することにより、電力消費を効率的に削減していけるとのことで、佐宗氏は例としてTier-1キャリア(世界規模の広帯域バックボーンを持つISPグループ)のHUBデザインを示し、消費電力削減やインターフェイスコストの削減などを実現できると説明している。「当社製品も、以前は確かに消費電力が高く、『ジュニパーの製品は性能が良くても消費電力が問題だ』といわれていたこともあった。しかし、競合の製品が電力効率が下がっているのに対し、当社ではニーズに基づいて、電力効率を向上させてきた。ハードウェアの電力効率を良くすることは難しいのだが、(それを実現させたことは)当社の技術力のなせる技だろう」(佐宗氏)。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://juniper.co.jp/


( 石井 一志 )
2008/09/16 18:47

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