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Blue Coatの米本社CEOが来日、Packeteer統合後の製品戦略などを説明

PacketShaperは継続、一部機能を取り込みProxySGも強化

Blue Coatの社長兼CEO、ブライアン・ネスミス氏

ProxySGとPacketShaperによる価値
 ブルーコートシステムズ株式会社(以下、ブルーコート)は7月17日、記者説明会を開催。米Blue Coat Systems(以下、Blue Coat)による米Packeteer買収後、国内初となるこの会見では、米本社の社長兼CEO、ブライアン・ネスミス氏と、6月にブルーコートの新社長に就任した金城盛弘氏より、今後の方向性について説明が行われた。

 Blue Coatでは創業当初、キャッシュによる高速化などをコアコンピタンスとしてWebプロキシアプライアンスを提供してきたが、2002年よりセキュリティ面の強化に注力し、プロキシアプライアンスを「セキュアWebゲートウェイ」に位置付けて事業を進めてきた。さらに2006年には、「MACH 5」技術によってWAN最適化市場へ参入。アプライアンス製品「ProxySG」という1つのプラットフォームで、セキュアWebゲートウェイとWAN最適化という2つのソリューションを展開している。

 こうした背景の中で、Packeteerを買収したのはなぜか。ネスミスCEOはその答えを「あらゆる市場でリーダー的存在になりたいから」と説明する。すでに、セキュアWebゲートウェイでは70%のシェアを持ち、明らかにリーダーとして認知されているというが、WAN最適化市場のシェアは20%前後で、Cisco、Riverbedといった競合ベンダーとトップ争いを繰り広げている状況だった。しかし、Packeteerの買収でシェアを30%近辺まで伸ばし、これらの企業を大幅に上回ることができたとする。

 また、技術面での強調材料もあるという。ネスミスCEOが「Packeteerは明らかにモニタリングとアプリケーション分類ではリーダー。QoSでもリーダーシップを発揮している」と述べたように、Packeteerが持っていたアプリケーションを識別して制御する技術は、一般的にも評価が高い。同CEOはこれらの技術をProxySGへ取り込み、統合された1つのソリューションとして提供していく考えを示し、そのためにも、より多くの研究開発投資を行うほか、販売チャネルの拡大も図るとした。


ProxySGの最上位製品「ProxySG 8100」

ブルーコートの金城盛弘社長。ブルーコートの社長就任前には、買収された側のパケッティア日本法人で社長を務めていた
 もちろん、主力製品である帯域制御装置「PacketShaper」の開発・販売は継続する。「何よりも企業が苦労していたのは、ネットワーク上で何が動いているのがなかなか見えないこと」としたネスミスCEOは、こうした際に、600以上のアプリケーション識別能力と制御能力を持つPacketShaperが有用だったことを強調。「何千というアプリケーションを分類可能にし、WANのトラフィックであればPacketShaperでその性格をとらえられるようにしたい」と述べ、PacketShaperも引き続き強化していくことをコミットした。さらには、ProxySGとの連携機能も取り入れる予定で、「PacketShaperでは圧縮されたアプリケーションに対しての可視化はできなかったが、ProxySGで圧縮をかけた場合、それをPacketShaperに伝える機能などを提供する」と、例を挙げて説明している。

 一方で、投資や製品展開の最適化を図るため、製品ラインのスリム化も行う。具体的には、旧PacketeerのWAN最適化製品群、つまりiShaper、iShared、SkyXの各製品ラインを終息させ、それらが持っていた機能は、ProxySGアプライアンスと、Blue CoatのWAN最適化クライアントソフトウェア「Blue Coat ProxyClient」に順次追加していく計画という。ただしネスミスCEOによれば、「SkyXが持っていた機能はProxySGでも2つを除いてすでに備えていたし、iSharedが持つ機能はほとんどの機能をProxySGで備えていた」とのことで、あまり影響はないだろうとの考え方を示した。管理製品については、Blue Coat側の「Director」を旧Packeteer側の「IntelligenceCenter」へ統合し、一元管理を行えるようにするとのこと。1つのめどとして、「2009年の終わりまでに移行を完了する」と述べた。

 なお、既存の顧客への対応については、金城社長が「顧客の不利益にならないよう、終息する製品のサポートも継続するが、1つのパスとして機能が統合されたProxySGなどのブルーコート製品も提案する。そのための移行・下取りプランも準備中だ」と話す。Blue Coat ProxyClientは、クライアントソフトウェアを有償で提供している多くのベンダーと異なり、すでに無償提供へ移行しているため、クライアント数の多い企業ほどコストメリットがあるとのこと。また、外出先でも有効なWebフィルタリング機能も備えているので、WAN最適化だけでなく、セキュリティ統制の上でも効果的に使えるという。金城社長は、こうしたメリットもあわせて顧客に価値を訴求していきたいとした。



URL
  ブルーコートシステムズ株式会社
  http://www.bluecoat.co.jp/

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( 石井 一志 )
2008/07/17 17:29

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