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SAPジャパン、世界で2番目となる共同研究施設「COIL Tokyo」開設


SAP COIL Tokyoの概要

SAPジャパン 代表取締役社長兼CEOの八剱洋一郎氏

SAP AG グローバルエコシステム&パートナーグループ エグゼクティブ・バイスプレジデントのジア・ユスフ氏
 SAPジャパン株式会社は7月16日、日本市場に最適なソリューションを提供するための共同研究施設「SAP Co-Innovation Lab Tokyo(COIL Tokyo)」を、東京・千代田区に開設したと発表した。

 COIL Tokyoは、2007年6月に米カリフォルニア州パロアルトに開設した、SAP初のイノベーションラボに続く、グローバルで2番目となる施設。ハードウェア、ソフトウェア、サービスベンダーなど、さまざまなパートナー企業や顧客企業と協業し、日本独自の要求や業界特有の要件に適したソリューションを始め、エンタープライズSOAやグリーンIT、仮想化などの最新技術を提供するための研究開発に取り組んでいくという。

 SAPジャパン 代表取締役社長兼CEOの八剱洋一郎氏は、「オートメーション化の進展にともない、人手の作業を必要とせず、アプリケーション間の会話によって動作する業務システムは、今後さらに重要度が高まってくるだろう。しかし、こうしたシステムを開発することは簡単ではなく、顧客企業は、さまざまなハードウェア、ソフトウェア、各種ノウハウを準備する必要がある。当社では、これら異機種混在環境をトータルに準備・提供できるコアとなる拠点としてCOILを設立した。日本は、世界で2番目の設立となるが、それだけ大きな市場性があると見込んでいる」と、COIL設立の背景を説明した。

 SAP AG グローバルエコシステム&パートナーグループ エグゼクティブ・バイスプレジデントのジア・ユスフ氏は、日本市場について、「当社は顧客にフォーカスしたエコシステムを展開しているが、日本でも230を超えるパートナーを持ち、パートナー主導の売り上げにおいて2けた成長を実現している。また、SAP認定コンサルタント数も年々増加しており、SAP全体として、日本のパートナーとの関係をさらに強化し、エコシステムを活性化していく取り組みが重要になる。今回のCOIL Tokyoにより、パートナーおよび顧客企業に向けて共同イノベーションのための場所を提供することで、今後、さまざまなプロジェクトがスタートするものと期待している」と述べた。

 COIL Tokyoでは、参加パートナー各社から提供されるハードウェア製品やソフトウェア製品およびアプリケーションを含め、統合された異機種環境を提供し、実際に顧客のシステムをシミュレートすることができる。これにより、COIL Tokyoを利用する企業は、異機種混在のテスト環境を自社で用意することなく、ソリューションの研究開発を行うことが可能となる。

 また、最先端のエンタープライズSOA技術を利用して、パートナー企業および顧客とともにプロトタイプやソリューションを構築することができるほか、エキスパートによる支援だけでなく、プレリリース版などをベースにした最新のシステム環境を提供する。さらに、ビデオ会議を含むネットワーク環境を活用することにより、SAPの開発部門やほかのCOILとのオンラインコラボレーションも容易に行うことができる。


SAP COILのビジョンと役割 SAPが展開するエコシステム

SAP AG グローバルエコシステム&パートナーグループ ソリューション・コ・イノベーション バイスプレジデントのアクセル・ザーレック氏
 SAP AG グローバルエコシステム&パートナーグループ ソリューション・コ・イノベーション バイスプレジデントのアクセル・ザーレック氏は、「当社は、1997年にテクノロジーコンピテンスセンターを、2006年にはエンタープライズSOAコンピテンスセンターを日本に開設してきたが、今回のCOIL Tokyoによって、プロジェクトベースでのメンバーシップが可能となり、さらに進んだコラボレーションを実現できるようになった。高度なスキルと経験を持ったチームにより、テクノロジーからアプリケーションまで、幅広い共同イノベーションを推進していく」としている。

 SAPジャパンは、COIL Tokyoの開設にともない、まずインテルと協業し、実際のエンタープライズのアプリケーションを使って、どのくらいのエネルギー削減効果が期待できるかに着目した検証を実施。2世代前のシングルコアCPU搭載サーバーの代わりに、最新のクアッドコアXeon搭載サーバーを使うことで、SAP ERPを使用する際のエネルギー消費量は50%以上削減できたという。

 また、ヴイエムウェアと、マルチコアのインテルCPU搭載サーバーを使用し、ERPのアップグレードプロジェクトにおける仮想化技術の採用について共同検証を実施した。この検証では、現存の物理サーバーをアップグレードしながら仮想環境に一元化することが可能であるとともに、本番のアップグレード前にVMwareを利用してテスト実行することで、本番アップグレードがスムーズに実行できることを検証している。

 なお、COIL Tokyoに参加するパートナー企業は、アビームコンサルティング、インテル、F5ネットワークスジャパン、サン・マイクロシステムズ、テクノスジャパン、デル、東洋ビジネスエンジニアリング、日本IBM、IBMビジネスコンサルティングサービス、NEC、ネットアップ、日立製作所、ヴイエムウェア、富士通、マイクロソフト、三菱電機インフォメーションシステムズ、リアルテックジャパンの各社である。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/japan/


( 唐沢 正和 )
2008/07/16 17:03

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