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ロジテック、NAS全製品をWSS 2003 R2ベースに統一

RAID 5対応のミッドレンジNAS「竹」を発売

 マイクロソフト株式会社とエレコムグループのロジテック株式会社は6月11日、中堅規模以下の企業やSOHOを対象としたストレージソリューション提供で協業すると発表した。これに伴いロジテックでは、NASのOSをマイクロソフトのWindows Storage Server(WSS) 2003 R2に統一する。

 販売される価格面だけを見た場合、LinuxベースのNASはWSSベースのNASと比べて安価なことが多い。しかしロジテックでは、「運用コストをトータルに見た場合、かえってWindowsベースの方が安いのではないか」(エレコムの法人営業部 法人営業チーム、山田真也氏)と指摘する。安価なLinuxベースのNAS製品の場合、ウイルス対策ソフトやバックアップソフトを利用しようと思っても、直接インストールすることができず、管理用のPCを別途用意する必要がある点、またネットワークを介してスキャンしたり、管理PCを経由してバックアップを行ったりする必要があるため、ネットワークに負荷がかかる点などがその理由。ロジテックの開発部 AVC課マネージャー、中田潤氏も、「Linuxベースの場合、そもそもウイルス対策ソフトを利用していないケースも多いようだが、企業で導入する場合には適切ではない」としたほか、「ハードウェア自体の性能が低く、RAIDの負荷に耐えられないという問題もある」と話す。

 そしてロジテックでは、十分なリソースを持たせたIAベースのハードウェアにWSS 2003 R2を搭載すれば、直接ウイルス対策、バックアップといった用途のソフトウェアを導入でき、こうした課題を解決可能だと主張する。さらに、クライアントPCの大半を占めるWindowsとの親和性が高い点も、メリットとして強調できると説明。中田氏は、「最近のNASは外付けUSB HDDにバックアップできるものが増えているが、NASが壊れると、フォーマットが異なるためWindows PCからアクセスできなくなってしまう。WSSであればNTFSなので問題はない」としたほか、Active Directoryで統合管理できる点も、Windows Server 2003ベースであるWSSのメリットだとアピールした。


ミッドレンジNASの「竹」

前面の扉を開いたところ。なお、HDDホットスワップには対応しない
 製品面では、現在提供している1ベイモデルと4ベイ(RAID 6)モデルに加えて、4ベイ(RAID 5)モデル「竹」を投入。“松・竹・梅”の3シリーズ構成で展開する。竹はVIAの1GHz CPUを搭載する中位モデルで、4基搭載するHDDはソフトウェアRAID 5構成に固定される。また、前面に液晶パネルを搭載。IPアドレスの確認もそこから行えるため、基本設定であれば、購入後すぐに使用することも可能という。ネットワークインターフェイスは、Gigabit Ethernetに対応している。

 管理機能は、WSS 2003 R2の標準機能に加えて独自の拡張が施されており、「もともとWSS 2003 R2は優れたインターフェイスを持っているが、さらにユーザーにやさしくなった」(中田氏)。具体的には、HDDの残容量や温度情報、電源・RAIDのエラーなどを管理者へメール通知する「お知らせメール」、RAID設定を簡単に再構築する「RAIDビルダー」、フォルダ単位で使用容量を知らせる「フォルダアナライザ」といった機能を搭載。ユニークなところでは、管理中のNASの液晶画面に表示を出したり、ブザーを鳴らしたりする「ナスコール」機能を備え、複数のNASを管理する場合に、どのNASを実際にさわっているのかを簡単に識別できるようにした。

 価格は、物理容量1TBモデルが15万8000円、2TBモデルが19万8000円、3TBモデルが29万8000円、4TBモデルが42万8000円。Linuxベースの他社製品と比べると割高感があるものの、「トータルの管理コストを考えると必ずメリットが出る」(山田氏)ことを訴え、拡販を図るとした。なおロジテックとマイクロソフトではマーケティング活動でも協業を行っていく方針で、WSS 2003 R2の価値や、一般のWindows Serverと異なりCALが不要である点などを、ユーザーへ訴求していくとのこと。

 「Linuxベースの安価な製品については、販売している中で、アクセス負荷や相性などメーカー側で解決しなくてはならない問題がいくつもあったし、実際、顧客から要望されて販売店が販売したにもかかわらず、購入後にトラブルになってしまったというケースをよく聞いた。WSSベースでは、企業にとってもメリットのあるソリューションとしての提供ができるので、マイクロソフトと共同でWindows NASを提案し、販売店に売り上げを作っていきたい」(山田氏)。

 なおマイクロソフトでも、ロジテックに対する技術支援や共同マーケティングなど行うとのことで、こうした取り組みを通じて、ローエンドNAS市場でのWSSのシェアを2010年までに倍増させたい考え。これについて、同社 サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 マネージャ、林憲一氏は「爆発的にデータが増える中で、それを作るWindows Vista/XPといったクライアントと、データをためておくNASとを、責任を持って提供して行かなくてはいけないと考えている。信頼性のあるデータ保存環境を提供できるように、WSSを広めていきたい」とコメントしている。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  ロジテック株式会社
  http://www.logitec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.logitec.co.jp/press/2008/0611_03.html


( 石井 一志 )
2008/06/11 13:45

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