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日本オラクルがPLM事業基盤を強化、「Outside Inの発想で顧客を支援する」


常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏

企業内最適化を中心に、外からの情報を効率的に取り入れるOutside Inのアプローチで、顧客のビジネスを支援するという
 日本オラクル株式会社は12月18日、PLM(製品ライフサイクル管理)事業基盤を強化すると発表した。米Oracleが5月に買収したAgile Software(以下、Agile)の「Agile Product Lifecycle Management」(以下、Agile PLM)を中核に、国内での販売体制を拡充して積極的に展開するとしている。

 常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏は、「従来は企業内統合による効率化がIT導入の主目的だったが、企業の課題に対してはそれだけでは応えきれなくなっている。ステークホルダーとのやりとりがいかにスムーズに行えるか、製品やサービスを最適化するか、という点の考慮が必須だ」と主張。そのためにOutside Inというコンセプトのもとで、SCMやCRMといったソリューションを提供し、「企業内を最適化する仕組みを中心に、そこへ外からの情報を効率的に取り入れ、差別化戦略につなげられるようにしている」と説明する。

 今回強化されるPLMも、Outside Inを実現するための重要な構成要素。製品統括本部 アプリケーションビジネス推進本部 シニアディレクターの岡田行秀氏は、「製造業の売り上げの4~5割が発売後3カ月以内の新製品であり、また利益では5~6割が新製品からのもの。企業が成長するためには新製品投入が必須であり、市場導入の加速化がより大きな意味を持つ」と指摘し、製造業にとってのPLMの重要さを訴える。市場の将来性も見込まれており、「確かにERPと比べると大きな市場ではないが、米AMR Researchの調査によれば伸び率は13.3%と、(主要ビジネスアプリケーションの中では)5年のCAGR(年平均成長率)が最高。国内でも同様になると考えており、だからこそ、当社がここでリーダーシップを取りたい」(岡田氏)という。

 そうした戦略の中で、日本オラクルのPLMソリューションの中核となる旧Agile製品については、「当社はそれぞれの分野のベストブリードを標ぼうし、実証される製品を買収してきた」(岡田氏)と述べ、1300社への導入実績を持つ強い製品であることをアピール。また、日本オラクル製品とAgile製品をともに利用している顧客が多い点にも触れ、1つの組織からソリューションを提供することに違和感はないとした。


製品統括本部 アプリケーションビジネス推進本部 シニアディレクターの岡田行秀氏
 Agile製品でサポートする分野は非常に広く、「主に7つのモジュールから構成され、市場が要求する機能はすべて実装している」(岡田氏)Agile PLMでは、ハイテクやライフサイエンス、自動車、航空産業、一般消費財(Discrete)、小売りなどをカバー。また特にCPGと小売り向けには、Agileが買収していた旧Prodika製品をベースとする、Agile PLM for Processを用意している。さらに、CAD図面をPLM製品から透過的に見るためのビューワーツール「AutoVue」の提供も行う。

 販売については、従来通りフォーカスしているハイテク、電気、自動車、CPGなどへアプローチを図るが、単品だけでなく、ほかの日本オラクル製品と組み合わせた展開も行いたい意向で、大手企業についてはOracle EBS、中堅企業についてはJD Edwards EnterpriseOneとの組み合わせで顧客へアピールする。またインテグレーションでは、旧Agileが持っていたインテグレーションパックによって、主要な電子CAD、メカニカルCAD、ERP製品とのアダプタを提供し、オープン性に配慮する一方で、「連携システム基盤『Application Integration Architecture(AIA)』のプロセス統合パックを順次提供し、当社のアプリケーションが一気通貫でプロセス連携できる環境を用意する」(岡田氏)とのことだ。

 日本オラクルではPLMの本格展開にあたりAgileの日本法人をすでに吸収しており、今後は自社の営業リソースをフルに活用して、販売を進める考え。パートナーについても、既存のEBSパートナーを中心にさらに拡大を図るという。あわせて技術要員についても増員し、十分なサポート体制を整えるとしている。

 なお、Agile製品の国内での導入実績は累計30社ほど。現状では単体製品での売上高はさほど多くないというが、日本オラクルではOutside Inの構想を推進し、その中の1コンポーネントとしてPLMを展開することで、「200億円といわれる日本のPLM市場のうち、1~2年のうちに1/3のシェアを取りたい」(三澤氏)との目標を掲げている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1826


( 石井 一志 )
2007/12/18 17:59

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