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国産ソフトの連携めざすMIJS、相互運用性の検証センターを開設

“SaaSポータルサイト”化の意向も表明

副理事長 マーケティング部会長の内野弘幸氏

MIJSのめざす3つの連携-全体概略図
 国産アプリケーションの相互接続を推進するメイド・イン・ジャパン・コンソーシアム(以下、MIJS)は11月19日、2006年8月より取り組んできた技術連携の具体策の1つとして、相互運用性を検証するための施設「MIJSバーチャル検証センター」を開設したと発表した。

 MIJSは、日本のソフトウェアベンダ各社の製品を相互連携させるために組織された団体。13社で設立されたMIJSも順調にその企業数を増やし、現状では24社が参加するに至っている。目的は、各社の国産ソフトが技術的に連携できるMIJS標準規格を策定すること。

 具体的には、各ソフトウェアにおける1)トランザクションデータ連携、2)マスタデータ連携、3)共通インフラ機能連携、の3つの連携をめざす。さらに副理事長 マーケティング部会長の内野弘幸氏は、次のようにも述べている。

 「日本は米国と比べてパッケージソフトの数が少なく、圧倒的な輸入超過の状態。国産ソフトも1つ1つの品質は良いのだが、カバーするセグメントが狭く、製品同氏の横のつながりも弱い。さらに現在はさまざまな分野の製品を1社がすべて取りそろえる“Suite”として展開するのが主流だが、ニーズの多様化などにより、1社ですべてをまかなうのには無理が出てきている。そこで、3つの連携を実現すると、エンドユーザーは“ベストオブブリード(適材適所)”で、複数製品を効率よく使いこなすことができるようになる。それを実現するのがMIJSの目標」。

 このためにはインターフェイスの統一が必要不可欠。最終的には、複数製品を同一の画面で操作できるような環境をめざしつつ、現状は、トランザクションデータ、マスタデータの接続に関する標準規格を定めている段階だ。すでに、トランザクションデータでは「仕訳」「製造依頼・実績」、マスタデータでは「社員」「部門」に関する接続性がほぼ完成されており、2007年末以降には、接続性を実現するアダプタも実際に提供開始できるのではないか、としている。


MIJS技術部会長の梅田弘之氏

MIJSバーチャル検証センター
 一方で、接続性を実現するためには十分な検証が必要である。そこで今回、発表されたのが相互接続の検証を行うためのMIJSバーチャル検証センターだ。各社ソフトの相互運用性に関する検証を、インターネット越しにできるのが特長。また、MIJS標準規格に準拠したアプリケーションに対しては、参加しているしていないにかかわらず運用環境を開放し、検証用のインフラを提供する予定。将来的には、一般ユーザーに対しても公開し、誰もが利用できる運用も視野に検討中とのこと。

 さらに当日の発表会では、今後の方針も説明された。MIJS技術部会長の梅田弘之氏によると、製品連携を発展させて「SaaSポータルサイト」の構築も検討しているという。これはパッケージベンダ自身が製品販売とサービス提供の両方を提供する方向性で、ベンダー連合として幅広いSaaSをユーザーが自由選択できるポータルサイトを構築しようという計画だ。「ソフト連携という話がそのままSaaSのモデル最適化につながることに気が付き、最近になって活発的に議論されはじめた」(梅田氏)という。

 MIJSバーチャル検証センターは、同ポータルサイトがサービスインした後のサポートセンターとして利用することも目的の1つとしている。設置場所はクオリティ東京本社内。MIJS内での相互運用性の検証、インターネットを介しての検証用インフラ公開といった役割のほか、プレゼンテーションルームも完備しており、まさに今後のMIJSの本拠となる施設だ。

 なお、11月29日には「第2回 MIJSカンファレンス・Japan」の開催も決定。今回説明された内容や実際にMIJS標準製品の連携デモも公開する予定とのこと。



URL
  メイド・イン・ソフトウェア・コンソーシアム
  http://www.mijs.jp/
  第2回 MIJSカンファレンス・Japan
  https://mijs.smartseminar.jp/public/seminar/view/3


( 川島 弘之 )
2007/11/19 17:31

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