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「買収は一段落、いまは既存テーマを強化すべき時」-米EMCトゥッチCEO


米EMC、会長兼社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏
 EMCジャパン株式会社は10月30日、米EMC、会長兼社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏の来日に伴い記者会見を開催。2007年第3四半期(Q3)業績や今後の戦略などを説明した。

 2007年Q3の連結売上高は33億ドル(前年同期比117%)で、GAAPによる同期の純利益は4億9290万ドル(同174%)となった。同純利益額には、米Cisco SystemsへのVMware株式600万株の売却純益1億1520万ドルが含まれ、この項目を除いた純利益は3億7780万ドル。

 ビジネス別にみた売上高は、システム分野で14億ドル(前年同期比109%)、ソフト分野で13億ドル(同125%)、サービス分野で5億4000万ドル(同125%)。そのうちEMCの主要4ビジネス部門に着目すると、主力の情報ストレージで26億ドル(同108%)、コンテンツ管理・アーカイブで1億8900万ドル(同127%)、セキュリティで1億3300万ドル(同122%)、VMware仮想インフラで3億5400万ドル(同188%)の売上高を達成した。

 トゥッチ氏は、「2002年には、54億ドル売り上げながらも1億1900万ドルの減益だった」と過去を振り返りつつ、「それ以降はコンスタントに成長を持続し、2007年度には売り上げ127億ドル超、14.4億ドルの利益が予想される」と、ここ数年の好調さをアピール。それに伴いEMC株価も、2006年10月29日の終値12.42ドルから、2007年10月29日の終値25.37ドルにまで上昇している点に触れ、「利益を上げながらもなかなか株価の上がらなかった2006年以前と比べ、今年度に入ってから投資家の期待も確実に高まっている」とした。


主要4ビジネス部門における2007年Q4売上高 売上高・純利益ともにコンスタントに成長 2006年10月~2007年10月のEMC株価推移

EMC戦略。Information Infrastractureというコンセプトを中核に、8つの製品・ソリューションを構成
 その期待に応えるためEMCは今後の戦略をどのように描くのか。

 トゥッチ氏は、「“CIOがいま投資したい分野”は、仮想化、ストレージ、セキュリティ、VoIP、エンタープライズ 2.0/SOA、SaaS、データセンターの省エネ化などである。当社はこれらのニーズと完全に合致した、アーカイブ、セキュリティ、ストレージ、可用性、リソース管理、仮想化、ECM(Enterprise Contents Management)、IIM(Intelligent Information Management)と、8つの包括的な製品・ソリューションを持っているのが強み。この8テーマによって“Information Infrastracture”という中核コンセプトを実現することが、当社の今後の戦略である」と述べた。

 Information Infrastractureとは、「多彩にある情報の格納方法すべてをカバーし、2010年には988EB(エクサバイト)にも届くといわれる膨大な情報を、セキュリティ・コンプライアンス要件を確保した上で保護するという考え」(同氏)とのこと。

 なお一連の買収戦略は、現状一段落ついたようだ。2006年のRSA Security買収により、セキュリティを加え現状8つとなったソリューションテーマ。トゥッチ氏「今のところ9つ目を足す気はない。今は既存の8テーマを強化すべき時」とした。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/


( 川島 弘之 )
2007/10/30 15:39

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