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米Brocade、データセンターの革新を支える新戦略を発表

FCoEをサポートする統合型スイッチの開発も表明

米Brocadeのダン・クレインCTO
 米Brocade Communications Systems(以下、Brocade)は10月23日(米国時間)、データセンターの効率や信頼性などを高めるための「Brocade Data Center Fabricアーキテクチャ」(以下、DCF)を発表。10月23日(日本時間)には、それを説明するプレス向けの説明会を開催し、Brocadeのダン・クレインCTOが概略を解説した。

 DCFでは、仮想化技術を利用してサーバーを統合する一方、SANアイランドのような独立した小規模SANを廃して大規模SANへの統合を図るなど、データセンターの単純化を支援していく。こうしたデータセンター統合は、処理速度や柔軟性の向上、運用コスト削減といった効果を狙って多くの顧客で取り組まれているが、Brocadeでは同社がこれまで培ってきた経験・技術を最大限に生かし、その最適化が可能なソリューションを提供するという。クレインCTOは、「SANの世界で80%のシェア(インストールベース)を持ち、データセンターを熟知する当社こそが、重要データ管理のための専門性を提供できる」と話す。

 しかし「オープンという点には常に配慮している」(クレインCTO)とも話すように、他社を排除する意図はなく、多くのパートナー企業と連携し、互換性と選択肢を顧客へ提供できるようにすることも忘れないという。

 製品面では、すでに提供されている多くのBrocade製品がDCFを支える構成要素として重要な役割を果たすが、この構想をさらに推進するための新製品提供も進める意向。こうした製品面の強化により、Brocade DMMを利用したデータ移行、CDP(Continuous Data Protection:継続的なデータ保護)、レプリケーション、暗号化、圧縮、データの重複排除といったソリューションを、単独、もしくはパートナーと共同で実現する。


 またBrocadeでは、DCF実現のために欠かせない新製品として、「DCXバックボーン(DCX)」と呼ばれるスイッチ製品の投入も予定する。DCXは、FC(ファイバチャネル)やiSCSI、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)といったプロトコルをサポートする製品で、旧McDATA製品を含む、Brocadeのダイレクタと総合接続性を持つ。提供時期は2008年上半期を予定しているという。

 なおDCXがサポートするFCoEは、次世代のFCとして複数のベンダーが標準化を行っているもの。Ethernet上でSANを実現するという点ではiSCSIと同じだが、ロスの大きなTCP/IPに依存しない独自技術を用いる点が異なる。また通常のEthernetではなく、「より低遅延のLossless Ethernet上での利用を前提に考えられており、実用化は2008年以降になる見込み」(クレインTCO)という。

 このFCoEの長所は、Ethernetを利用することにより、サーバー間のインターリンクとストレージの接続に同じインフラを用いられることだ。Lossless Ethernetの利用が前提となるため、「まだ生産数の少ない登場時には、FCと比べて割高になるかもしれない」(クレインCTO)というが、サーバーベンダーもこの標準化に参画しており、サーバーへ標準搭載される計画もあるとのことで、普及が進めば、量産効果によりコスト面での優位性も見込める。

 速度の面では、FCはすでに8Gbpsをサポートすることが10月15日にBrocadeから発表されており、今後のさらなる高速化も予想されるので、10Gigabit Ethernetを利用するであろうFCoEにアドバンテージがあるかどうかはわからない。それでも、サーバー間のインターリンクとストレージ接続で同じインフラが使える点をユーザーが魅力的と考えれば、導入が進むだろう。登場当初はFCと比べて割高と予想されるこのソリューションがどこまでその魅力を訴求できるか。数年後の状況に注目したい。



URL
  米Brocade Communications Systems
  http://www.brocade.com/
  ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
  http://www.brocadejapan.com/
  プレスリリース(日本語抄訳)
  http://www.brocadejapan.com/news/index_press_text.php?key=20071022133548


( 石井 一志 )
2007/10/24 12:35

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