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米HPハードCEO、自社のITシステム改善例を紹介-IT部門の8割を革新技術に

Oracle OpenWorld基調講演

 米サンフランシスコで10月22~26日の5日間にわたり、Oracle OpenWorldが開催されている。24日の午前中には、HPのCEO兼社長のマーク・ハード氏と、OracleのFusion Middleware担当シニアバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏の基調講演が行われた。


メンテナンス費用を削減して革新に振り向ける

基調講演を行うHPのCEO兼社長、マーク・ハード氏

HPのIT部門が掲げた4つの“シンプルな”目標
 HPのCEO兼社長のマーク・ハード氏は、HPにとってITがいかに重要かについて、HPがIT企業だということだけではなく、大企業としてのHPにとってのITの重要性について語った。これはつまり、ユーザー企業にも同じように当てはまる問題にHP自身が直面しており、それに対して実行した改善経験を、いずれユーザー企業に対してソリューションとして提供していくことができる、ということを意味している。

 HPが自社のITシステムに関する改善点として挙げたのは、「簡素化」「グローバル化」「スケーラブル化」の3点だ。HPでは、長年にわたって拡張を重ねた結果、複雑で分散化したITシステムができてしまっていたという。そのせいもあってIT予算の中に占める人件費の比率が高くなっていた。IT予算の多くが人件費に割かれてしまい、革新のために使える分が少なくなっていた点が問題で、IT投資をビジネスを成長させるために使いたいと考えたという。同氏が紹介した最新のデータによると、全世界でIT関連の人件費が増加傾向にあり、その分ITシステムの資産価値が低下しているという。これはつまり、ITインフラの老朽化が進む中で、人件費負担が重すぎるためにITインフラの更新に振り向ける予算が確保できなくなっていることを意味するのだという。

 こうした状況を踏まえ、HPがITシステムの改革に関して掲げた目標は、

  • 予算削減(Reduce Cost)
  • よりよい情報提供を実現(Better Information)
  • リスク軽減(Lower Risk)
  • HPが顧客に提案していることを、自社内でも運用する(All with HP Technology)
の4点だ。また、具体的な改革内容としては、

  • 30カ国に分散した85のデータセンターを、冗長化された3カ所に集約する
  • 5000種類のアプリケーションを、1500種類に統合
  • 2万2000台のサーバを、1万4000台に統合。演算能力は80%増、エネルギー消費は50%削減
などを行うという。従来、IT部門の50%の人員がメンテナンス、50%が革新に従事していたが、今後2年間でこの比率を20%対80%に変える計画だ。

 また、Oracleとのパートナーシップの一環として、“Application Modernization Initiative”についても言及した。これは、HP、Intel、Oracleが共同で取り組むイニシアティブで、ユーザー企業のレガシーアプリケーション(メインフレーム)を近代化するためのソリューション提供を行うもの。HP、Intel、Oracleの技術をベースとした、事前定義され、検証済みのリファレンスアーキテクチャを使用することで、メインフレーム・アプリケーションを迅速にオープンシステムに移行し、メインフレーム級のサービス、最高レベルのパフォーマンスを低コストで実現できるようにするという。

 同氏によれば、これもユーザー企業のITシステムのメンテナンスコスト削減につながるソリューションであり、こうして削減できたIT予算を新しいITサービス実現に振り向けることで事業の競争力を高めることが可能になるとしている。


Fusion Middlewareの新機能を紹介

OracleのFusion Middleware担当シニアバイスプレジデント、トーマス・クリアン氏
 続いて登壇した、OracleのFusion Middleware担当シニアバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏は、Fusion Middlewareを「Oracleの、標準ベースのSOAインフラ」と位置づけた上で、Fusion Middlewareを使用することでどのような環境が実現するかを、テーマごとに細かくデモンストレーションを挟みながら紹介していった。

 取り上げられたテーマは、「Service-Oriented Development」(サービス指向開発)、「Business Process Management」(ビジネスプロセス管理)、「Business Intelligence」(ビジネスインテリジェンス)、「User Interaction(WebCenter)」(ユーザーインタラクション)、「Identity Management」(アイデンティティ管理)、などだ。なかでも、“Business Intelligence”と“User Interaction(WebCenter)”は、新製品に関するデモとなった。いずれも24日付けで発表されたもので、「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition 10g Release 3」(ビジネスインテリジェンス)と「Oracle WebCenter Suite」(ユーザーインタラクション)に対応する。また、基盤技術となる「Oracle SOA Suite 10g Release 3」のリリースが23日付けで発表されており、エンタープライズサービスバス(ESB)の強化やSOAの展開/インストールに関する強化が行われている。

 WebCenter Suiteは、いわば企業内ユーザーの標準インターフェイスを作成するための環境で、ビジネスアプリケーション、構造化/非構造化コンテンツ、ビジネスインテリジェンス、エンタープライズ検索、ビジネスプロセス、コミュニケーション/コラボレーションツールなど、各種要素・サービスにアクセスするための統一環境を構築できる。いわゆる“Web 2.0サービス”を構造化アプリケーションに統合する能力を備え、「Enterprise Mashup」(エンタープライズ・マッシュアップ)が可能になるという。



URL
  Oracle OpenWorld
  http://www.oracle.com/openworld/

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( 渡邉 利和 )
2006/10/25 12:05

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