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日立、NGN時代に向けた事業方針を発表-グループ関連事業で2010年度に5000億円目指す


NGNに向けた日立の事業方針

情報・通信グループ副グループ長兼CTOの高橋直也執行役常務
 株式会社日立製作所は9月21日、次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)時代に向けた同社の事業方針を発表した。重点事業として、1)キャリア向けネットワーク事業、2)企業ネットワーク事業/ネットワーク型新事業、3)トータルソリューション事業、の3つを掲げ、日立グループの通信・ネットワーク関連事業において2010年度に5000億円の売り上げを目指す考えを明らかにした。

 情報・通信グループ副グループ長兼CTOの高橋直也執行役常務は、「日立グループでは、NGNを次の大きな成長機会としてとらえており、今後、キャリア向けネットワーク事業、企業ネットワーク事業/ネットワーク型新事業、トータルソリューション事業の大きく3つのドメインに分けて事業拡大に取り組んでいく。これによって、日立グループの通信・ネットワーク関連事業の売り上げを、2005年度の3400億円から2010年度には5000億円まで拡大したい」と述べた。

 これに向けた社内体制としては、「基本的には、ネットワークソリューション事業部が中核となってNGN事業を推進していくが、製品面では、キャリア向けと企業向けのネットワーク製品事業を日立コミュニケーションテクノロジーに集結させ、NGN関連製品の事業体制を強化した。また、10月1日付で合併新会社の日立情報通信エンジニアリングを立ち上げ、ここにハードウェアやソフトウェアの開発能力を集約させることで、NGN関連製品およびソリューションを支えるエンジニアリング事業を強化していく」と説明。「現在、日立グループ全体でネットワーク事業に関わっているスタッフは約1万人になるが、この力を結集して2010年度5000億円の目標達成を目指す」と意欲を見せた。

 各重点ドメインでの具体的な取り組みとしては、「キャリア向けネットワーク事業」では、最先端技術を活用したハイエンドルータや光アクセス、光トランスポート、映像配信ソリューションなどのNGN関連製品およびソリューションを提供することで顧客のNGN事業を支援していく。


NGN事業拡大に向けた体制強化 日立の取り組む事業ドメイン

情報・通信グループの竹村哲夫COO

「Videonet.tv/Lite」の概要
 情報・通信グループの竹村哲夫COOは、「とくに日立の強みを生かした製品・ソリューションを重点化し、事業拡大を図る」としており、キャリアへの豊富な納入実績やキーデバイスを含む組込系のモノ作り力、ミッションクリティカルな高信頼設計技術、さらには1200人体制での先端研究による新技術創出などを同社の強みとして挙げた。

 重点展開する製品としては、光アクセスでは「GPON/GEPON」、無線アクセスでは「CDMA 1xEV-DO(Revision A)基地局」、IPトランスポートでは「アラクサラネットワークスのハイエンドルータ」、光トランスポートでは「WDM光電送製品」、サービスプラットフォームでは「映像配信ソリューション」に注力していく。

 このうち、映像配信ソリューションについては、同日付でネットTV端末向け高性能映像配信サーバーシステム「Videonet.tv/Lite」を発表している。新製品は、ネットTV端末への国内接続仕様であるデジタルテレビ情報化研究会仕様に業界で初めて対応した映像配信サーバーシステムで、業界最高水準の1500Mbpsの配信性能を実現しているのが特徴。これによって、高精細・高品質なハイビジョンコンテンツに対応した高性能なオンデマンド配信システムを容易に構築することが可能となる。9月25日から販売を開始し、提供時期は10月3日以降を予定している。価格は650万円から。

 2つ目の重点ドメインである「企業ネットワーク事業/ネットワーク型新事業」への取り組みとしては、NGNサービスを活用することにより真のユビキタス企業活動を実現し、顧客に向けて柔軟な経営支援基盤の構築や生産性の向上、さらにはASPサービスなどのネットワーク型新事業の創出を支援していく。「現在、当社では企業向けネットワークソリューションとして『CommuniMax』を展開しているが、今後このソリューションとNGNのサービス連携を進めていく。具体的には、ネットワーク製品でのNGN UINのサポート、企業内サービス・アプリケーションとNGNサービスとの連携機能の実現、NGN対応の統合管理アプリケーションの開発などを行うことで、柔軟な経営資源基盤の構築を目指す」(竹村COO)という。

 「トータルソリューション事業」のドメインでは、RF-IDや検索エンジン、データセンタといったIT技術とNGNを組み合わせ、日立の総合力を生かした垂直統合型のトータルソリューションを提供することで、ビジネス、ライフ、コミュニティの各分野において革新的価値(uVALUE)を創造していく。説明会では、放送通信融合ソリューションへの事業展開を例に挙げ、今年7月のテレピポータルサービス設立への参画、放送通信融合時代の映像サービスプラットフォームソリューションの提供、放送通信融合時代の生活サービスプラットフォームソリューションの提供といった同社の取り組みを紹介した。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/09/0921.html


( 唐沢 正和 )
2006/09/21 17:00

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