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「統合ID管理によってインフラの信頼性を全力で守る」、米Infoblox CEO


社長兼CEOのロバート・トーマス氏(左)と、創設者兼CTOのスチュアート・ベイリー氏(右)。トーマスCEOは、米NetScreenでCEOを務めていたこともある人物だ
 米Infobloxは、「ID管理プロトコルをネットワークインフラとして統合管理することで、セキュリティリスクや管理上のオーバーヘッドをなくそう」という主張のもと、DNSやRADIUS、LDAPなどのサーバーとして働くアプライアンスを提供しているベンダだ。今回は、同社の社長兼CEOであるロバート・トーマス氏と、創設者兼CTOのスチュアート・ベイリー氏に話を聞いた。

 トーマスCEOによれば、同社はNII(Network Identity Infrastructure)という概念を提唱しているという。この主要な構成要素としては、「インターネットの電話帳に相当するDNS、IPアドレスの割り当てを行うDHCP、ユーザーのアクセスや利用権限を制御するLDAP、ユーザー認証のためのRADIUSの4つが存在する」とした同CEOは、「今日、ID管理の装置・技術は広く使われているが、各プロトコルは別々のデータベースによって動き、別々に管理されている状態だ。これでは煩雑だし、セキュリティ上のリスクもある。そこで当社では、IDに関する情報を包括的に扱う論理データベースを基本とした、一元的にこれらを管理できる製品を提供している」と述べる。

 さらに提供形態について、「これまでIDプロトコルは、大きなサーバー上でソフトウェアによって管理されてきたが、当社では各要素をアプライアンスへ移行させるアプローチを取っている。これがNIIの第一段階で、過去にルータやファイアウォールが、より強固なセキュリティを求めて採用したアプローチと同じだ」と語り、アプライアンスでの提供がベストであることを強調した。

 しかし、DNS、DHCPをはじめどの要素も、今の企業にとってさほど珍しいものではない。特に入れ替えの時期でもなければ、新たに導入してもらうのは困難に思えるが、トーマスCEOはまず、「また当社が調べたところ、たとえば、インターネット上に公開されているDNSサーバーは実に700万台あり、イントラネット向けのものはその数倍存在するだろう」と述べ、同社がターゲットにできる潜在市場が大きい点を説明。

 そして、「DNSは現在、複数のベンダ・技術が混在する環境の上で動いているが、OSをはじめとするソフトが持つセキュリティリスクを個別に改善しようとすると、工数がとてもかかる。アプライアンスなら当社が一元的に提供できるのでTCOの削減が可能だし、同時展開も容易になる」と述べ、管理コスト削減効果が見込めるため、置き換えでも十分なメリットがあるとする。

 日本法人のマーケティング・システムエンジニアリングマネージャ、露木正樹氏はさらに、「Linuxと(フリーのDNSサーバーソフトである)BINDで構築されているDNSサーバーは多いが、こうした環境では、Linuxにパッチがリリースされた場合、どんな部分を修正するパッチが提供されたのか、それを適用するべきなのか、といったことを管理者自身が判断しなくてはいけない。こうした時間は、非常に負担になる」と、サーバー+ソフトで構築する場合のデメリットをあげ、これを補足していた。


VoIPなどのアプリケーションの普及が、インフラの高信頼化を加速する

Infobloxが提供する製品の1つ、「Infoblox-1000」アプライアンス
 またトーマスCEOは、「さらに最近では、VoIPや携帯電話向けのIP電話サービスが各要素の重要性を高めている」とも指摘する。現在は、IP電話を利用する企業が増え始めているが、それに伴ってIPアドレス割り当て・管理の重要性が格段に増しているというのである。「電話は、落としてはいけないシステムだ。100%の可用性が保証されなくてはいけないが、既存のDHCPサーバーは必ず働くわけではない。そこで、より堅牢なアプライアンス型の製品に対するニーズが高まっている」。

 加えて、同CEOは「ITエンジニアがいない遠隔地などに、リモートアプリケーションを配置しなくてはいけない企業からの引き合いが増えている。例えば、飛行機内でインターネットを提供しようとしても、その中にITの専門家を乗せるわけにはいかない。こうしたところでは、アプライアンスが力を発揮できる」という事例を紹介。アプリケーションの重要性が増す中で、そのベースとなるインフラの重要性も大きくなっているということを指摘し、今後もニーズが着実に増えていくとした。

 トーマスCEOは最後に、「広い意味で言えばマイクロソフトやシスコなどが競合になるだろうが、当社は広いネットワークの中の特化した部分に全力を注入しているので、ほかのどの企業も対抗できないインフラを提供できる。コモディティ化されていないことが強みだ」と述べ、これからもID管理プロトコルにおける信頼性確保に全力を尽くしていく姿勢を示した。



URL
  米Infoblox
  http://www.infoblox.com/

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( 石井 一志 )
2005/07/29 10:37

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