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ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・最終回

ボリュームライセンスは本当にお得か?

 企業にとっては、どのくらいの金額でOSやOffice、サーバー製品などが導入できるかが非常に気になる部分だろう。販売店での実売ベースでは、ライセンスだけを購入するよりも、SAを同時購入するL&SAの場合は割引率が高くなることが多いようだ。さらに、全社のPCでマイクロソフト製品を使用する「全社契約オプション」、期間限定の使用権だけを購入する「サブスクリプション」などは、さらにお安くなってくる。

 ここでは、「インプレスR&Dストア」で販売されている価格(1月23日現在)を目安にして説明していく。価格に関しては、一応の目安と思ってほしい。時期によって、キャンペーンなどによって割引率が異なったり、新しいボリュームライセンスによって価格が変わってくることがあるためだ。また、販売店によっても値付けが異なるために、細かく価格は変わってくる。


ボリュームライセンスはどこで買えるのか?

 ボリュームライセンスのうち、Enterprise AgreementやSelect Licenseは、このあたりは明確に企業向けの大規模ライセンスであるため、一般のパソコンショップではなく、マイクロソフト認定のラージアカウントリセラー(Large Account Reseller:LAR)で購入するのが通常だ。例えば、NTTデータや伊藤忠テクノソリューションズなど、大手のシステムインテグレータが対象となっている。

 一方でOpen BusinessやOpen Valueは、初回5ライセンスという条件さえクリアすれば、小規模企業でも(Open Businessは個人でも)購入することができるが、一般のパソコンショップでは購入できないため、どこで買えるのかなどわからないことが多い。しかし実は、さまざまな企業で扱っており、さほど難しい手続きを踏まなくても購入することが可能だ。

 例えば、インプレスR&Dストアなどでは、オンライン販売を行っている。また、ビックカメラやラオックスなどの大型量販店では、店頭に法人向けのコーナーを設けているところがあり、購入が可能なところも多くなっている。


実際にどのくらいの価格になるのか?

 さて、多くの人が気になるのが、実際にボリュームライセンスでマイクロソフト製品を購入すると安いのか?ということだろう。実際、計算してみると、バージョンアップを期待してL&SAを購入すると、パッケージ版を購入した方が安くなる場合もある。また、これも何年目にバージョンアップが行えるかによっても、どのタイプがお得なのかが異なる。

 今回は、条件をシンプルにして、パッケージ版、Open Business(Lのみ)、Open Business(L&SA)、Open Value(L&SA)の4つのパターンで比較してみた(次期バージョンの価格は正確にはわからないので、現行製品と同じであると仮定した)。また、費用に関しては、年分割ではなく、一括して支払うことにした。さらに、比較する製品としては、OSはいろいろな条件があるため、パッケージ版もボリュームライセンスでも発売されているOffice 2007 Standard(Word、Excel、Outlook、PowerPoint、IME)で行っている。なお、Open BusinessやOpen Valueでは、初期購入時に最低5ライセンスが必要となっているが、比較しやすいように、1ライセンスごとに価格を比べている。


パッケージの方がお得な場合もある

 掲載した表では、2/3/5年目にバージョンアップした場合にいくらかかるかを、初期費用と追加費用、合計費用のそれぞれについて示した。

 Open BusinessとOpen ValueのL&SAについては、契約期間満了時にSAを再度購入して、契約期間を更新。パッケージ版に関しては、次バージョンがリリースされた時にバージョンアップ版を購入、また、Open Business(Lのみ)を初期購入した例では、次バージョン提供時に再度Open Business(Lのみ)を購入することにした。なお後者では、前バージョンのライセンス(L)が引き続き有効となるため、使い続けることは可能だが、煩雑になるため、それは考慮しないで話を進める。

 初期購入費用だけを考えると、比較した中では、Open Business(Lのみ)が最も安い。パッケージ版(4万8000円)と比較しても、Open Business(Lのみ)は8745円も安くなっており、シンプルにお得さがわかる。難しいのは、アップグレードを含めた場合だ。

 このように表にしてみると判るのが、意外だったのは、パッケージ版を購入した方が安い場合があることだ。2年目にバージョンアップしたときは、購入時のSAがまだ有効であるOpen Business(L&SA)が最も安くなるが、3/5年目にアップグレードした場合では、パッケージ版のほうが安くなる。

Office Standard 2007を購入する場合の価格比較例
(赤字が最高値、太字が最安値)

2年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
4万8000円
2万5333円
7万3333円
Open Business(Lのみ)
3万9255円
3万9255円
7万8510円
Open Business(L&SA)
6万1883円
0円
6万1883円
Open Value(L&SA)
7万7485円
0円
7万7485円

3年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
4万8000円
2万5333円
7万3333円
Open Business(Lのみ)
3万9255円
3万9255円
7万8510円
Open Business(L&SA)
6万1883円
2万2717円
8万4600円
Open Value(L&SA)
7万7485円
0円
7万7485円

5年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
4万8000円
2万5333円
7万3333円
Open Business(Lのみ)
3万9255円
3万9255円
7万8510円
Open Business(L&SA)
6万1883円
4万5434円
10万7317円
Open Value(L&SA)
7万7485円
3万6048円
11万3533円


 一方、サーバー関連製品に関しては、パッケージにアップグレード版というものが存在しないため、事情が異なる。アップグレードのタイミングによってはSAの再購入が必要になるため、Open Businessが得なのか、Open Valueが得なのかが分かれるが、パッケージよりもボリュームライセンスでの購入がお得になっているのだ。また、バージョンアップを行う年月が長くなれば、SAを購入しないOpen Business(Lのみ)の方が安くなっている。

Windows Server 2003(5CAL付)を購入する場合の価格比較例

2年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
10万9333円
10万9333円
21万8666円
Open Business(Lのみ)
9万4522円
9万4522円
18万9044円
Open Business(L&SA)
14万2203円
0円
14万2203円
Open Value(L&SA)
17万3071円
0円
17万3071円

3年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
10万9333円
10万9333円
21万8666円
Open Business(Lのみ)
9万4522円
9万4522円
18万9044円
Open Business(L&SA)
14万2203円
4万7403円
18万9606円
Open Value(L&SA)
17万3071円
0円
17万3071円

5年目にバージョンアップした場合
製品名
初期購入費用
追加費用
合計費用
パッケージ版
10万9333円
10万9333円
21万8666円
Open Business(Lのみ)
9万4522円
9万4522円
18万9044円
Open Business(L&SA)
14万2203円
9万4806円
23万7009円
Open Value(L&SA)
17万3071円
7万4066円
24万7137円


 このように、価格面を見た場合は、どの購入法が一番お得かは異なってくる。バージョンアップを考慮して購入を検討する際は、この特集の1回目で触れたように、マイクロソフトのロードマップと、自社のアップグレードのスケジュールを考慮しながら、パッケージがいいのか、ライセンスがいいのか、またSAを含めるのか、といった、最適な買い方をシミュレーションしてみると効果的なのではないだろうか。


ライセンスならではのメリットは?

 上記の比較表を見ると、特にOfficeでは、コスト面からはSAのメリットがあまりないように見える。しかしマイクロソフトでは、SAのメリットはアップグレード権だけではないと主張している。例えば、社員利用のソフト購入時の割り引き(全社購入オプションの契約時に利用可能)、Eラーニングなど、さまざまな特典が用意されているし、サーバーに関しては、コールドバックアップ(トラブル時に自動的に切り替わるのではなく、バックアップマシンに電源を入れて動作させる)が、追加費用なく利用できるようになっている。

 またSA以外にも、ボリュームライセンスならではの特徴は存在する。まず、管理がパッケージ製品と比べて容易であることが、メリットとして挙げられる。数本単位ならばともかく、数十本、数百本単位でパッケージを管理するのは非常に手間がかかるため、ある程度規模が大きな環境では、管理のしやすさがメリットになるだろう。

 中小規模環境に対してもメリットは存在する。Oepn Valueでは、前回で触れたように、年額均等支払い、サブスクリプションなどの契約形態を選択できるが、これを利用すると、初期投資費用をそれほどかけずに、最新のOS、Office環境を整えられるのである。

 例えば、Oepn Value(L&SA)のOffice Professional Plusは9万8901円(SAの有効期間は3年)で購入可能だが、3年間の年額均等支払いでは、3万2967円/年で購入することが可能。同じ製品が、全社契約オプションでは、個別契約オプションよりも1ライセンスあたり9879円安い、8万9022円で購入することができる。3年間の年額均等支払いでは2万9674円/年だ。

 さらに、契約期間中のみソフトを利用できるサブスクリプション契約(3年契約)では、Office Professional Plusが2万114円/年で導入できる。全社契約オプションと、その一部であるサブスクリプション契約では、1年ごとに会社に導入したPCの数を報告し、増えた場合は、増えたPC分のライセンスを購入しなければならないといった制約はあるが、うまく使えば、非常に効果的だ。

 さらに、Office Standardの価格比較で見たように、初期費用はOpen Business(Lのみ)はパッケージよりも安いことが多い。次バージョンへのアップグレードを考慮せずにアプリケーションを購入する場合は、この買い方も選択肢の1つになるだろう。Officeやビジネス向けOSでは、メインストリームサポートが5年、延長サポート期間が5年というサポート期間が設けられており、十分に使っていける。


いろいろなキャンペーンが用意されているボリュームライセンス

 またマイクロソフトでは、ボリュームライセンスへの移行を狙って、さまざまなキャンペーンを行っているため、キャンペーンに合わせて購入するというのも有効だ。Open BusinessやOpen Valueは、最低5ライセンスからとなっており、最初のハードルを多少高く感じるものの、キャンペーンを利用することで、購入のハードルを下げることも可能になっている。

 開発支援ツールのVisual Studio Professional With MSDNの場合、2007年3月31日までに購入すれば、特別割引価格でL&SAを購入できる。例えば、Visual Studio 2005 Professional Edition with MSDN Professional Subscriptionは、パッケージ版の15万3142円(MSDNの有効期間1年)に対して、Open Business(L&SA)では12万2699円(有効期間2年)と、ボリュームライセンスの方が断然お得だ。しかもMSDNは、初期購入時に最低5ライセンス必要、というルールの例外となり、1ライセンス単位で購入が可能となっているため、利用に際してのハードルは低くなっている。個人であっても、ボリュームライセンスでの購入を真剣に検討する必要があるのではないか。

 一方他社データベース製品からSQL Server 2005への移行キャンペーン(2007年6月30日まで)なら、L&SAの価格が最大50%引きになる。サーバー製品のプロセッサライセンスも、MSDNと同じく初期購入ルールの例外となり、最小1ライセンスから購入することができる。

 Windows Vistaでも、SAの特典のみでの提供となるWindows Vista Enterpriseへのアップグレードを促進するため、2007年1月1日〜3月31日まで、SAが33%引きとなるキャンペーンを行うと発表されている。こうしたキャンペーンはいつも行われているわけではないが、うまく使えば非常に効果的だ。


 今回まで3回にわたってボリュームライセンスを見てきたが、これがお得かどうかということは、やはりケースバイケースであるようだ。アップグレードの面を中心にSAを見ると、Officeの場合はさほど効果的ではなく、Windows Serverでは逆に効果が高いという結果になったように、製品によっても変わってくる。一方で、Open Valueで提供されている、年額均等払いやサブスクリプションに魅力を感じたり、SAのアップグレード権以外を効果的に利用できたりする場合もあるだろう。

 このように、ボリュームライセンスはいろいろと難しいが、マイクロソフト製品を購入する際の選択肢の1つとして効果的であるのは間違いない。複雑すぎて分からないときは、とにかくボリュームライセンスを扱っている販売店などに、相談するのが一番だ。そうすれば、自分たちがどのボリュームライセンスを使えばいいのか、どうすれば安くなるのか、効果的なのかを、コンサルティングしてくれるだろう。



URL
  Microsoft Volume Licensing
  http://www.microsoft.com/japan/licensing/default.mspx
  インプレスR&Dストア
  http://direct.ips.co.jp/pc/ihtml/license/default.cfm

関連記事
  ・ ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・第一回(2007/01/22)
  ・ ボリュームライセンスを知るとマイクロソフト製品が安くなる?・第二回(2007/01/23)


( 山本 雅史 )
2007/01/24 00:00

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