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富士通、製造業務の各部門で成果物を共有する「GLOVIA smart」新製品

設計・調達・製造部門の意思疎通を潤滑に

中堅ソリューション事業本部 GLOVIA smartビジネス推進部 担当部長の大澤尚氏
 富士通株式会社は2月19日、図面・文書などの成果物活用ソリューション「GLOVIA smart 製造 ECM(以下、製造 ECM)」を発表した。同日から販売開始する。

 製造 ECMは、中堅製造業向けの成果物活用ソリューション。図面や見積書、注文書、設計書、工程表などの文書成果物を、製造業務に関連する全部門で共有可能にする。

 中堅製造業にも課題は多いが、中堅ソリューション事業本部 GLOVIA smartビジネス推進部 担当部長の大澤尚氏は「中でも各部門間で生じている“人間系業務の摩擦”が厄介だ」と指摘。モノ作りには、設計部門、生産技術部門、調達部門、製造部門、営業部門と多くの担当者がかかわる。その意思疎通の多くは、データベース化されていない非構造化データ(図面やオフィス文書、メール、郵送物、紙帳票など)による人間系のすきま業務で行われており、結果、多くの摩擦が生じているというのだ。

 「例えば設計部門は、各部門からの図面要求の対応に時間を取られるほか、調達手配の進ちょくが見えないため、設計変更時に在庫を無視した変更を断行してしまう。その変更情報も製造部門や調達部門にリアルタイムに伝わっていかないので、例えば、製造部門では旧図で製造してしまって不良在庫を生み出してしまう。調達部門にしてみても、誤手配や手配漏れの原因となるし、設計部品表から調達用に製造部品表へ転記する作業も大変な手間となってのしかかることになる。こうした摩擦のせいで、各部門は意外と不仲なことが多い」(大澤氏)。

 製造 ECMは、基幹システムを補完し、人間系のすきま業務の潤滑油となることで、この摩擦を少なくする製品だ。問題は、各部門における業務のアップデートが迅速に他部門に伝わっていかない点である。同製品では、各部門にまたがった成果物の共有というアプローチで、この課題を解決する。


製造 ECMとは 製造 ECMによる業務スタイルの改革

 具体的な利用方法を見てみよう。設計の際、まず作成されるのは図面目録。ある製品を作るために、どのような図面が必要で、どのように関連しているのかを示したものだ。「従来、Excelなどで作られることが多いが、ExcelならCSVとして、製造 ECMに取り込むことが可能」(大澤氏)。そして実際に図面が出来上がってきたら、図面や図面同士の関連性、図面ごとの部品表などを、この目録にひも付けて構成情報として管理することができる。「これが同製品のミソだ」(同氏)。

 構成情報は「GLOVIA smart 製造 PRONES(以下、製造 PRONES)」などの生産管理ソフトと連携させて管理可能。製造 ECMからボタンをクリックするだけで情報の転送・共有が行える。製造部門は生産管理ソフトから最新の図面情報を常に確認しながら安心して製造できるし、逆に設計部門は製造部門からの最新情報リクエストに煩わされることがなくなるので、効率化が図られる。

 また調達部門では、構成情報の中から詳細な部品情報まで確認して発注できるので、誤手配や手配漏れを減らすことが可能。逆に設計部門には、手配進ちょくが明らかになるので、設計変更を行う場合もコストを見据えた合理的な変更が行える。

 すなわち、「設計工程と生産工程の双方向の意思疎通を実現する」(同氏)というわけだ。

 このほか、一括印刷機能なども搭載。必要な時は図面をまとめて出力することで、図面の配布工数が削減できる。逆に共有化により出力の必要がなければ、紙の消費や通信・郵送コストを抑え、二酸化炭素排出量の削減も可能。このため富士通では、同製品を「環境貢献ソリューション」認定製品として訴求する方針。


活用例1-図面および技術情報の共有 活用例2-図面共有および出図・配布管理 活用例3-生産管理連携

中堅ソリューション事業本部 GLOVIA smartビジネス推進部 統括部長の鈴木俊久氏
 中堅ソリューション事業本部 GLOVIA smartビジネス推進部 統括部長の鈴木俊久氏は、「2008年は激動の年だった。特に製造業への影響は大きく、投資に慎重になっている。が、食品をはじめとする流通業など、元気なところは元気。そういうところへ訴求するほか、内部統制に対応すべき企業などにもプロモーションしていく。ターゲットとなるのは、年商30~300億円くらいの中堅企業だ。新製品は、即導入とコスト抑制により経営に貢献できる製品だとの自負がある。現在、製造 PRONESのユーザーが1000社ほどいるので、新製品の製造 ECMもまずは今後3年間で1000本の販売をめざしていく」と方針を語った。

 価格は、10クライアントライセンス付きのパッケージ価格が140万円(税別)。追加10クライアントライセンスが84万円(同)。ハードウェアやOracle Database 10g、標準導入支援サービスなどを含めたシステム価格が466万8000円(同)から。



URL
  ニュースリリース
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2009/02/19.html

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( 川島 弘之 )
2009/02/19 15:11

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