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日本HP、構成管理を効率化するUCMDB新版-他製品との連携強化

「ITIL v3の現実的実装が可能に」とアピール

HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューションズ事業本部 ソフトウェア・ソリューション技術本部 技術第二部の田所忠晴氏

新製品のイメージ図。トータルな構成管理を実現する
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月4日、ITIL v3に基づき、構成情報の一元管理を効率化する新製品、およびユーザー視点でシステムのパフォーマンスを管理する新製品を発表した。

 新たに投入するのは、構成管理データベースの新版「HP Universal CMDB(以下、HP UCMDB) 8.0」、その専用モジュールとして提供される構成情報収集ツール「HP Discovery&Dependency Mapping(以下、HP DDM) 8.0」、ならびにユーザー視点でサービスレベルを監視する「HP Business Availability Center(以下、HP BAC) 8.0」など。いずれも同日から販売開始する。

 HP UCMDBは、ITをビジネスの視点で最適化する「BTOポートフォリオ」の中核となるITIL v3対応の構成情報管理ソフト。専用モジュールのHP DDMを利用することによって、エージェントレスで対象機器の構成情報、属性値、構成要素間の依存関係などを収集することができる。収集可能な対象も、サーバーやルータなどの「ハードウェア」、そのCPUやメモリなどの「システムリソース」、SAPやOracleなどの「アプリケーション」、J2EEや.NETなどの「アプリケーションサーバー」、「データベースコンポーネント」、ソフトウェアやパッチなどの「資産情報」と幅広く、新版ではクラスタ環境や仮想化環境にも対応。これらの情報をWebコンソールから可視化し、レポーティングや分析を行える。

 また「特に連携性を大きく強化したのも新版の特長」(HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューションズ事業本部 ソフトウェア・ソリューション技術本部 技術第二部の田所忠晴氏)。

 ITIL v3では、システムとビジネスサービスの情報をひもづけて管理する「サービスライフサイクル指向」が提唱されているが、そのためにはさまざまな管理製品を分散された環境のまま統合できなければならないという。この「CMS(Configuration Management System)」の考え方を実現するため、HP UCMDB新版では「統合できる対象を大幅に拡張した」と田所氏は語る。

 具体的には、プロジェクトへの投資優先度などを管理する「Project and Portfolio Management software」や、ネットワークの監視を行う「Network Node Manager」、ITサービスの運用を管理する「Service Manager software」など、BTOポートフォリオに含まれるさまざまな日本HP製管理ツール(以下、各BTO製品)と連携し、データの同期やダイナミックなフェデレーションが可能になっている。それ以外にもAPIを使って他社製品などに管理されたデータまで、HP UCMDB 8.0に格納することが可能だ。

 これによりHP UCMDB 8.0は、各BTO製品の管理情報を構成アイテムとして活用したり、構成アイテムの情報を各BTO製品で活用したりできるほか、BTO製品間でのデータ連携を実現するハブとしての役割も果たしてくれる。


HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューションズ事業本部 マーケティング部の長谷修氏
 例えばHP UCMDB 8.0とHP DDM 8.0を組み合わせることで、ネットワーク構成などのインフラ情報とビジネスサービス情報のマッピングが実現する。さらに各BTO製品との連携により、例えば、「ビジネスサービスの状況を包括的に把握し、ビジネスサービスに発生した障害の原因となる変更情報の調査や、構成変更がビジネスサービスに与える影響の分析を行うことが可能。またビジネスサービスが影響を受ける前にネットワークの劣化インパクトを予測し、その情報を基にネットワークやサーバーを自動的に変更することまでが可能になる」(HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 ビジネス・テクノロジー・ソリューションズ事業本部 マーケティング部の長谷修氏)とのこと。

 価格は、HP UCMDB 8.0が1008万円から、HP DDM 8.0が対象機器のCPUコアあたり1万6800円から。


HP UCMDB 8.0の特長 各BTO製品との連携性を強化

HP BAC 8.0の特長
 併せて、ユーザー視点でサービスレベルを監視するHP BAC 8.0なども提供する。ITサービスへアクセスする実際のユーザーが体感するレスポンスを計測する「Real User Monitor」や、仮想ユーザーによってレスポンスを定期的に計測する「Business Process Monitor」などのコンポーネントで構成され、HP UCMDBなどによるシステム視点での構成管理に加えて、ユーザー視点でのパフォーマンス監視を実現する。

 新版では、メインフレームのレスポンスを計測する「Transaction Vision」コンポーネントが追加された。Webサーバー/アプリケーションサーバー/データベースサーバーの3階層システムにおいては、既存のコンポーネントでフロント側のパフォーマンスが監視できた。ところが、その背後に実はメインフレームが稼働しているケースもあり、フロント側が正常でもメインフレームで問題が生じているケースもあるという。そうした深いレベルのパフォーマンス監視を可能になるとのこと。

 HP BAC 8.0の価格は58万6950円から。

 長谷氏は「今回の新版で、ITIL v3を現実的に実装する準備が整った」とアピール。今後の国内展開については、「分散したサービス情報の統合や経営視点でのサービス情報管理など、構成管理市場の開拓を進める方針。ターゲットは構成アイテムを多く抱える大企業や、ITILで運用管理を行いたい企業。すでにBTO製品の独立して導入されているユーザーには、よりトータルなソリューションとしてHP UCMDBを提案し、アップセルを目指す。そのために事例紹介などで導入効果を訴求するほか、パートナーとの連携強化や日本HP内でのソリューションメニュー化などを進めて、支援できるように図りたい」とした。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-049.html

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( 川島 弘之 )
2009/02/04 15:59

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