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工事進行基準にゆれるSIerに救いの手? J-SYSが「J+Project会計」を発表

工事進ちょくに応じた月次計上を実現

J-SYS、営業本部 産業ソリューション営業部長の湯浅太一氏

システム概要。QCDに対応しながら工事進行基準が求める進行度に応じた損益計上を実現する
 日揮情報システム株式会社(以下、J-SYS)は7月17日、2009年4月1日から適用される「工事進行基準」に対応したプロジェクト管理ソリューション「J+Project会計」を発表した。現在開発を進めている段階で、11月初旬に限定的に出荷を開始し、ドキュメントなどの最終的な調整を行った上で、2009年1月初旬より正式出荷を開始する予定。

 工事進行基準とは、長期請負工事契約において工事期間が決算時期をまたがる場合などに、その時点での工事進ちょく度合いを見積もり、適正な工事収益率によって、収益の一部を計上するというもの。土木・建築、プラント建設、造船、一部機械装置の製造・設置などを対象に適用が義務づけられていたが、2007年に定められた会計基準にて、ソフトウェアの受注開発についても対象に含むようになった。

 ソフトウェアの受注開発では、一般的に、開発完了後に納品した段階で売り上げを計上する「工事完成基準」が採用されていた。しかし、開発が長期にわたる場合、納品まで原価(費用)ばかりが認識され、収益が認識されないため、適正な期間損益が得られず、企業活動の実態を表すことができないという問題が指摘されていた。こうした問題を解決できる方法として工事進行基準は有効なのだが、長年、工事完成基準で会計を行ってきたSIerやソフトウェア開発事業者にとっては、抜本的な商習慣の見直しさえ迫られることになりかねない。そうした背景も含め、現在、IT業界で注目が集まっている。

 J-SYSが今回発表したのは、この工事進行基準に対応するプロジェクト型事業支援ソリューションだ。同基準で求められる工事の進ちょく度から収益を計算する仕組みとともに、重要管理項目とされているQCD(品質・コスト・進ちょく)の管理までサポートするのが特長。J-SYSの親会社、日揮では、1960年代より大規模プラント建設分野におけるプロジェクトの管理支援を行い、長年にわたって工事進行基準に対するノウハウを培ってきた経緯がある。「これをSI業に適用したのが今回の新製品」(J-SYS、営業本部 産業ソリューション営業部長の湯浅太一氏)という。


 具体的には、引き合い、案件契約後にプロジェクトを登録。プロジェクト計画立案やQCD管理を行いながら、実行予算管理を実現する。ここでは、最初に立てた計画や常時管理されるQCDなどから、予算を作成し、実績や出来高を管理、終了原価予測までを支援してくれる。さらに、プロジェクト全体を細かい作業に分割した「WBS(Work Breakdown Structure)」単位での作業工数入力をサポート。1カ月単位での人件費計算を可能にする。こうした情報を基に、原価総額と進ちょく度から収益総額を計算し、工事進行基準が求める進ちょく度に応じた売上計上を実現するというわけだ。

 「途中で売り上げを計算するロジックを備えることで、売り上げの自動計算まで可能にしたのが、一般的にプロジェクト管理製品と呼ばれるものとの大きな違い」と湯浅氏は述べている。売上計上まで対応するため、当然、会計システムとの連携が必要となる。J+Project会計では、J-SYSの「J+統合会計」、NTTデータシステムズの「SCAW」との連携を標準でサポート。さらに「会計システムを入れ替えるのも容易ではないので、ユーザー既存の会計システムとの連携も(別途、開発が必要だが)対応可能にしている」(同氏)という。


製品特長 J+Project会計を導入した際のフロー詳細図 会計システムなどとの連携

NTTデータイントラマート、取締役マーケティング本部長の和田誠氏
 なお、J+Project会計はNTTデータイントラマートの統合フレームワーク「intra-mart」を基盤として採用している。このため発表会には、同社、取締役マーケティング本部長の和田誠氏も登壇。「intra-martと連携する製品はすでに40以上あるが、工事進行基準に対応した製品は初めて。そういった意味でも今後、普及が見込まれるのでは」とコメントを寄せた。

 販売は、NTTデータシステムズとの協業により行っていく。同社はintra-martの取り扱いも行っており、今後は、3社共同でJ+Project会計に関わり、拡販に努めていく形となる。価格は、J+Project会計コンポーネントの最小構成ライセンス費用が200万円(税別)から。そのほか必要な教育やデータ投入などを含めると1500万円(同)くらいからとなる見込み。湯浅氏は「150本の出荷をめざす」と目標を語った。



URL
  日揮情報システム株式会社
  http://www.jsys.co.jp/
  株式会社NTTデータイントラマート
  http://www.intra-mart.jp/
  株式会社NTTデータシステムズ
  http://www.nttdsys.com/
  プレスリリース
  http://www.jsys.co.jp/news/080717.html

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( 川島 弘之 )
2008/07/17 15:55

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