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インフォテリア、ボトムアップ型のマスタデータ管理ソリューション「MDM One」


エンタープライズ事業部 製品戦略マネージャ、山崎将良氏

ASTERIA MDM Oneでは、ボトムアップ型の統合アプローチを採用しており、インターフェイスは既存のものを流用する

統合マスタを利用したい場合でも、リポジトリにたまったデータを活用して容易にシステムを構築できるという
 インフォテリア株式会社は12月4日、マスタデータ管理(MDM)ソリューション群「ASTERIA MDM One」を発表した。2008年2月中旬より順次提供を開始する。

 MDMとは、企業内に散在する顧客マスタや製品マスタといった同一分野のデータを整理統合するためのソリューション。インフォテリアの執行役員 エンタープライズ事業部長、油野達也氏は「価格の安さや導入の容易さなどから、大量のパッケージが企業に導入されているが、開発工数を減らすためにパッケージを入れれば入れるほど、パッケージの連携に工数がかかる」という状況を指摘。パッケージごとに複数のマスタデータが存在することにより、多重入力やビジネスチャンスの喪失、内部統制対応時の不備などが生まれてしまっているため、MDMによるマスタデータの管理が必要とした。

 インフォテリアでは、このような状況の顧客に対してASTERIA MDM Oneを提供。ボトムアップ型のアプローチを採用し、段階的なマスタデータ管理を実現するという。具体的には、管理項目と管理データを蓄積するリポジトリを構築し、Master Hubを介して各システムへ最新のデータが反映されるようにする。統合に際しては必要な部分から順次統合していける点がポイントで、追加したシステムに対しても、マスタデータのリポジトリにたまっているデータを渡すことで柔軟に連携していける。またこの段階では、入力インターフェイスは既存システムのものをそのまま用いているので、導入時のシステム見直しなどを不要にしているという。

 もちろん、さまざまなマスタの連携環境を用意することも可能。この場合、「マスタごとに連携基盤が異なると、その管理が煩雑になる。同じプラットフォームを通じて違うカテゴリに対応する必要がある」(エンタープライズ事業部 製品戦略マネージャ、山崎将良氏)ため、ASTERIA MDM Oneでは1つのリポジトリ内に顧客マスタ、製品マスタなど異なるカテゴリの管理項目とデータを蓄積できるようにした。またマスタカテゴリごとに異なる連携方式を採用でき、例えば、製品マスタと顧客マスタでは、異なるシステムからデータを入力したりメンテナンスしたりすることも可能になっている。

 加えて、統合マスタを用いて一元化されたメンテナンスを行いたいというニーズにも対応できる。インフォテリアのやり方では、MDMを導入後マスタの連携環境を運用しているうちに、リポジトリの中へやりとりされているデータや、それぞれのシステムで使っているマスタのデータが蓄積されていく。このため、「すでに運用環境に使われているマスタの情報を統合マスタの情報に流用できるため、自然に統合マスタ環境を構築可能。あとはメンテナンスのインターフェイスだけ変えてもらえば、統合マスタシステムを使って、Master Hubからそれぞれのシステムに配信できる」(山崎氏)のである。


ASTERIA MDM One Master Hubの画面イメージ

代表取締役社長の平野洋一郎氏
 具体的な手法としてはこのようになるが、これを実現するために、ASTERIA MDM Oneでは4つの製品・サービスを提供する。まずデータ連携を行うHubソフトウェア「ASTERIA MDM One Master Hub」を2008年2月にリリースし、「“つなぐエキスパート”としてのさまざまなノウハウを利用し、マスタ連携に特化した設計インターフェイスと機能を提供する」(山崎氏)という。またこの製品では、各マスタが社内でどう管理されているかを示すマスタ相関図の表示機能も備える。価格は400万円から。

 2つ目の「ASTERIA MDM One Data Quality Service」は、企業が保有する顧客情報などの標準化・統一化を実現するサービス。提供にあたっては、データクレンジングや名寄せで多く用いられているソフトウェア「Trillium Software System」を利用し、ワンショットのデータクレンジングサービスから、ライセンス販売、システム構築まで広く対応するという。価格は200万円からで、2008年2月中旬の提供を予定する。

 また「ASTERIA MDM One Generic Template Service」では、統合マスタ用テンプレートなどを含むコンセプトトレーニング、コンサルティング支援サービスを提供。さらに「ASTERIA MDM One Master Maintenance Interface」ソフトウェアにより、統合マスタ管理用のインターフェイスを提供する。この2つのサービス・製品は、2008年春の提供開始を予定するとのこと。

 なお代表取締役社長の平野洋一郎氏は、「ソフトウェアでパッケージ可能な部分を当社が提供することにより、より多くの顧客へ早く安く提供できる」としながらも、続けて「マスタデータは顧客の根幹であるデータ領域であり、パッケージを提供すれば済むというものではない。パートナーが持つコンサルティングやインテグレーションを加えて初めて、MDMが提供できる」と述べ、パートナーとの連携も広く進める考えを示している。



URL
  インフォテリア株式会社
  http://www.infoteria.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.infoteria.com/jp/news/press/pr071204_02.html


( 石井 一志 )
2007/12/04 15:51

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