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大規模データセンターのサーバー運用を自動化する「Opsware System」


 米Opswareは、データセンター向けのサーバー運用自動化ソフトウェア「Opsware System 4.5 日本語版」をリリースするとともに、9月より国内での本格的な事業展開を開始した。

 米Opswareは創業当時、「Loudcloud」の社名でホスティング事業を手がけていた。その運用ノウハウを元に開発したのがOpsware System。事業転換にあたってソフトウェア名称をそのまま社名にしている。


米Opsware プレジデント/CEO ベン・ホロウィッツ氏

サーバー運用を自動化するOpswareの各機能

ハード/ソフト資産と変更履歴を管理し、運用の自動化を実現している
 その際に事業の売却先となった米EDSはアメリカの大手ホスティング事業者で、現在Opsware最大の取引先となっている。6250万ドルでの事業売却以後も、ソフトウェアライセンスとして5200万ドル、その2年後にはさらに5000万ドルを販売しているという。現在EDSではOpswareを用い、154拠点にある6万5000台のサーバーをひとつの拠点から一元管理している。これにより管理作業時間の短縮と人員の削減により、大幅な運用コストの削減とともに、ミスを減らすことも可能となる。

 同社のOpsware Systemは、100%稼動保証を掲げるNTTコミュニケーションズ株式会社のホスティングサービス「AGILIT」のITインフラとして英語版製品が採用されているが、米Opsware プレジデント/CEOのベン・ホロウィッツ氏によれば「あくまで特殊な例」とのこと。同社と販売パートナー契約を結ぶ日本電気株式会社(以下、NEC)から、「国内の事業展開にあたっては、製品の日本語化を強く促された」という。今回は満を持して日本語版の提供を行う。現時点の販売パートナーはNECのみで、提供価格はオープンとなるが、管理対象サーバーの台数で変動するライセンス形態となっている。

 100%稼動保証は、LoudCloudの名でホスティング事業を手がけていた際、Opswareの原型となったソフトウェアを用いていたデータセンターにおけるサーバーのダウンタイムを調査したところ「他社に比べ極端に短かった」(ホロウィッツCEO)という。このため同社が事業を譲渡したEDSで、稼動停止に伴って保証金を支払う形のサービスが開始され、現在も続いている。

 とはいえ、サーバー障害を100%回避することは、原理的に不可能だ。ホロウィッツ氏もそれは認めており、「むしろ復旧のスピードが問題になる」とした。そして「救急車を呼んでも、99.999%しかやって来なかったら大変なことが起こる。むしろ15分以内に100%到着することが重要だ」との例を挙げながら、Opsware Systemの最大の利点として「もしサーバーが停止してしまっても、15分以内に復旧できる」ことを挙げた。AGILITでも100%の稼働保証を掲げてはいるが、15分までの稼働停止に対する保証額は大きくなく、その後も停止状態が続いた場合に、保証が大きくなっていく契約形態になっているという。

 Opsware Systemでは、こうしたダウンタイムの最小化と迅速な復旧を、サーバーハードウェアやOS・導入アプリケーションの構成・設定情報と変更履歴をリポジトリで管理し、設定や構成の変更に伴う不具合が発生した際にはそこからロールバックすることで実現している。このほか複数サーバーに対する設定変更、アプリケーションやパッチの展開、OS・ミドルウェアのプロビジョニング、利用状況など運用レポートの作成といった機能を備えている。管理対象のサーバーOSはSolaris、AIX、HP-UX、Windows、Linuxに対応している。



 新バージョンであるOpsware System 4.5は、英語版が6月19日にリリースされており、今回開発された日本語版はこれを元にしている。これまで遠隔拠点のサーバー管理機能は「Multimaster」で実現していたが、「ディザスタリカバリなどの用途に適している」大規模拠点向けの大がかりなもので、サーバーが数台のより小規模拠点向けの「Satelite」の機能が追加された。またパスワードポリシーの自動化、他システム・レポーティングとの統合など、APIにより顧客要件にあわせた独自のカスタマイズが可能な「Opsware Extention Builder」の機能も追加された。

 ホロウィッツ氏は、「データセンターの運用には難しい問題も多い。ホスティング事業を手がけた経験が、競合他社への優位点になっている」と今後の事業拡大に自信を見せた。



URL
  Opsware
  http://www.opsware-jp.com/
  Opsware System(NEC)
  http://www.sw.nec.co.jp/middle/WebSAM/products/opsware/
  関連記事:マーク・アンドリーセン氏が語る、"オートメーション"コンピューティング(INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/04/08/2726.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/09/22 11:11

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