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エクストリコムの無線LANシステム製品構成
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エクストリコム 営業本部長の安藤博昭氏
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アクセスポイントの干渉をなくす同一チャネル設計
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エクストリコムジャパン株式会社(以下、エクストリコム)は6月5日、日本市場での無線LANビジネス本格化にともない、プレス向けに同社の事業説明会を開催した。説明会では、同社無線LANシステムの製品特徴や他社との差別化ポイントなどをアピールしたほか、日本市場で6~7月に出荷を予定しているIEEE 802.11n draft 2.0(以下、802.11n)準拠の新製品もあわせて紹介された。
Extricomは、イスラエルに本社を置き、音声、データ、映像および位置検出サービスを統合した高性能な企業向け無線LANソリューションを提供している。日本法人は、昨年5月に設立されたが、今回、802.11n向けの新製品投入にあわせて、日本市場でのビジネス展開を本格化する方針。
エクストリコム 営業本部長の安藤博昭氏は、現在の無線LANシステムの課題として、1)隣接アクセスポイント間の電波干渉、2)無線端末移動中の音切れ・データ遅延、3)アクセスポイントから離れた無線端末参加によるスループット低下、4)アクセスポイント-スイッチ間のセキュリティが保護されない、という4点を指摘。「当社の無線LANシステムは、他社にはない独自技術を採用することで、これらの課題をすべて解決できる。とくに、チャネルブランケット技術によって、全アクセスポイントを同一チャネルで運用し、あたかも一枚の布のようにエリアをカバーできるのは当社製品ならではの大きな特徴」と説明する。
同社の無線LANシステムは、無線LANアクセスポイント「UltraThin AP」と、それを収容する無線LANスイッチで構成されるが、従来の無線LANシステムとは異なり、アクセスポイントにはCPU、メモリおよび設定情報をもたず、パケットの処理は一切行わずにデータ転送を行う。そして、無線LANスイッチ側ですべての無線パケットをハンドリングする。このチャネルブランケット技術により、隣接アクセスポイント間の干渉をなくし、1つのチャネルですべてのアクセスポイントを運用することが可能となる。また、アップリンク・ダイバーシティにより、端末からの電波を常に複数のアクセスポイントで受信し、パケットごとに最適なアクセスポイントを選択することで、人や機器の動きにともなう電波環境の変化に影響されない、信頼性の高い無線LAN環境を構築できるという。
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アプリケーションごとに帯域を確保
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Extricom マーケティング担当副社長のデイビッド・コンファロニエリ氏
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さらに、同一アクセスポイントで複数チャネルを同時に運用することができ、それぞれのチャネルが完全に分離されているため、たとえば、ボイス、データ、ビデオといったアプリケーションや通信端末ごとに帯域を確保し、マルチレイヤ無線LANで異なるサービスを提供できる。セキュリティについては、アクセスポイントにアクセスログを残さず、無線LANスイッチで集中管理するとともに、WPA暗号化に準拠し、スイッチからアクセスポイント、クライアントPCまでをトータルでサポートする。
6~7月に出荷を予定している802.11n向け新製品としては、無線LANアクセスポイントが4チャネル対応「EXRP-40En」と3チャネル対応「EXRP-30n」の2製品、無線LANスイッチが「EXSW-1600」、さらにアンテナバー「EXAN-10」をラインアップする。あわせて、既存の無線LANスイッチ「EXSW-1200」「EXSW-2400」について、ソフトウェアアップデートで802.11nにサポートする。
Extricom マーケティング担当副社長のデイビッド・コンファロニエリ氏は、「高速な802.11nに対応した製品によって、企業内でも本格的に無線LANが展開できるようになる。その一方で、導入にあたっては、周波数計画や電力、既存の無線LANシステムとの混在など、作業工数やコスト増が大きな課題となっている。チャネルブランケット技術などを備えた当社の新製品であれば、ビジネスの進捗にあわせて、既存のネットワーク環境と共存しながら順次802.11nを導入することができる。複雑なセルプラニングも不要で、シンプルな802.11n対応無線LANの構築とメンテナンスを可能にする」と述べた。
新製品の価格は、EXRP-40Enが14万5000円から15万円、EXRP-30nが13万5000円程度、EXSW-1600が240万円程度となる見込み。
■ URL
エクストリコムジャパン株式会社
http://www.extricom.com/content/japanese/
( 唐沢 正和 )
2008/06/05 18:23
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