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F5ジャパンがシャーシ型アプリスイッチを発売、16コアで36Gbps処理を実現


VIPRION

VIPRIONの内部構造イメージ

米F5 Networksのプロダクト・マネージャー、ネイサン・メイヤー氏
 F5ネットワークスジャパン株式会社(以下、F5ジャパン)は4月16日、アプリケーションスイッチの最上位製品「VIPRION」を国内で販売開始したと発表した。ボックス型の従来製品「BIG-IP」と異なり、シャーシ型筐体を採用することで、容易な拡張を実現できるのが特徴。価格は、筐体が699万円から、ブレード(モジュラーカード)が1979万円から。

 VIPRIONは、最大4枚のモジュラーカードを装着可能なアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)製品。1枚のモジュラーカードにデュアルコアOpteronを2基搭載しており、筐体全体では最大16コアを搭載できるが、同社が開発したCMP(クラスタ・マルチ・プロセッシング)技術と基盤OS「TMOS」などによって、これらを1つのCPUであるかのように見立てた高度な分散処理を行えるという。各CPUへの振り分け作業は、専用ASIC「Disaggregator」で対応する。

 同社では、既存の最上位製品「BIG-IP 8800」でCMPを導入しており、VIPRIONではこれを大規模に応用した形。米F5 Networksのプロダクト・マネージャー、ネイサン・メイヤー氏は、「SMP(対称型マルチプロセッシング)では、4コアまではうまくいくが、そこで頭打ちになる」と指摘。「CMPではコア同士のコミュニケーションを最小にすることで、高い性能を実現した。真のマルチコア対応といえる」と述べ、自社の優位性を主張した。また、各モジュラーを接続するスイッチファブリックとCPUの間を「High Speed Bridge」で結ぶことにより、さらなる高速処理を実現したという。

 運用面では、拡張したい時にモジュラーカードを追加で挿すだけの簡単拡張を実現した。メイヤー氏によれば、VIPRIONでは2分ほどで拡張が終了するとのこと。処理性能が足りなくなった時には、従来製品でも並列に設置して、ADCをさらにロードバランスする構成をとれば対応はできるが、「DNSや物理的な構成の変更、またADC自身の変更などが必要」(同氏)であり、簡単にはいかない。しかしVIPRIONはモジュラーカードを追加するだけで自動的に性能が拡張されるため、この差異は歴然という。

 こうした特徴を持つことから、F5ジャパンではVIPRIONの販売対象として、通信事業者やデータセンター、金融サイト、eビジネスサイト、超巨大企業といった、拡張性を重視するユーザーを挙げており、これらへ積極的に売り込んでいく考えだ。

 VIPRIONの主な最大処理性能は、モジュラーカード4枚の場合でレイヤ4コネクションが100万件/秒、レイヤ4/レイヤ7スループットが36Gbps、レイヤ7リクエストが320万件/秒、SSLトランザクションが20万件/秒、など。なおF5 Networksでは、モジュラーカードへのクアッドコアCPU搭載なども検討しており、さらなる性能向上も計画されているとのことだ。



URL
  F5ネットワークスジャパン株式会社
  http://www.f5networks.co.jp/

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( 石井 一志 )
2008/04/16 18:57

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