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急浮上した次期OS「Windows 7」−いま語られることの意味


 Windows Vistaのリリースから半年あまり。早くも次期バージョンがメディアをにぎわせている。次期クライアントWindowsの「Windows 7」が3年後に投入されるという。出所はMicrosoftの会議だが、一種の“リーク”だと見られている。Vista SP1の詳細さえ公表されていない今、なぜ次期OSなのか―。


 騒ぎに火を付けたのは7月20日付のCNETの記事だ。次期クライアントOSのWindows 7は2010年をめどに開発が進められており、個人向けと企業向けの両バージョン、32ビット版と64ビット版があり、「サブスクリプションモデル」も検討されているという。他メディアもこれに一斉に追随した。

 Windows 7は開発コード名で、製品になるときには別の名前が付けられる。この名称は、Windows製品のバージョン番号から取ったものとみられている。つまり「Windows 2000」のバージョン番号「5.0」、「Windows XP」の「5.1」、「Windows Vista」の「6.0」に続く「7.0」というわけである。

 Vistaの後継OSは、以前は「Vienna」と呼ばれていたが、Vistaの発売あたりから「Windows Seven」あるいは「Windows 7」という形でメディアにも登場しており、今回初めて出てきたものではない。

 ただ、MicrosoftはVistaの販売・普及に全力をあげるためとして、これまで次期Windowsへの言及を避けてきた。Vista一般発売後間もない2月13日、次期OSをめぐる取材攻勢に対して同社は「Windows次期版については、現在、開発作業が進んでいるということ以外に、公的な説明をするつもりはない」(Kevin Kutz・Windowsクライアント・グループ・ディレクター)とのコメントを発表して、クギを刺している。

 なのに突然次期OSである。7月19日に開かれた販売部隊向け会議「Microsoft Global Exchange」(MGX)で、Windows 7が飛び出したのだ。Microsoftは会議で行ったプレゼンテーションで、次期OS、Windows 7のリリースが2010年になると説明した。メディア向けではないが、当然、外部には伝わる。Microsoftウォッチャーには、これを意図的な“リーク”とみる向きも多い。


 ただし、Windows 7について新たに分かったことといえば、CNETが伝えた内容がほぼすべてで、情報は少ない。

 Gartnerは7月25日に発表したレポートで、この「情報が少ない」ことから2つが考えられるとした。すなわち、「現時点では、MicrosoftはWindows 7について、実際に内容が分かっていない」あるいは「どういう内容になるか表明したくない」である。

 あとあとの製品の話が漏れると現行製品が売れなくなるというのはソフトウェアの世界ではよく言われる。だが、Gartnerによると、このニュースで企業がVistaの導入計画を変更することはないという。多くの企業は2007年第4四半期から2008年第2四半期にVistaへの移行を開始し、3〜4年かけて新しいパソコンを導入する見込みだ。

 また、企業がもし、Vistaをとばして「7」を採用するとなると、周辺ドライバやアプリケーションが対応するために2011年半ば(リリースから1年から1年半ほど後)ごろまで待たねばならない。これでは、移行する前に、MicrosoftやソフトウェアベンダーのWindows XPサポートが終了してしまう。XPの「メインストリームサポート」は2009年4月14日までだ。


 Microsoft WatchのJoe Wilcox氏は、“リーク”の目的を、企業向けプログラム「Software Assurance」(SA)の顧客へのアピールだとみている。SAは、契約期間中、何度でも新しいOSに無償でアップグレードできるプログラムだ。企業にはコストを抑えられるメリットがある。そしてMicrosoftにとっては、確実に売り上げになるドル箱だ。

 ところが、Wilcox氏が引用したForrester Researchの調査によると、米国の企業で、SAの更新を見送るか、見送りを検討する動きが高まっているという。Forresterが調査した従業員3000人以上の企業の86%が2007年にSAの契約期間満了を迎えるが、このうち「更新しない」が26%、「未定」が31%にのぼったのだ。つまり、Microsoftは今年、6割近い企業ユーザーのSA契約を失う可能性があることになる。

 先のCNETの記事でも、今回の情報について、「将来、企業顧客、とりわけSAの顧客に対して、どう価値を提供し続けていくかを知らせ始めたもの」というMicrosoftの「代表者」の言葉を伝えている。Windows 7の情報で、SA顧客をつなぎとめたいという意図も見え隠れする。

 ただし、3年後というWindows 7の投入次期が本当にSA顧客の更新を促すことができるかは不透明だ。Windowsのリリースは、スケジュール通りにいかないという不名誉な“定評”もあるのである。



URL
  CNETの記事
  http://news.com.com/Next+version+of+Windows+Call+it+7/2100-1016_3-6197943.html
  Microsoftのコメント
  http://www.microsoft.com/Presspass/press/2007/feb07/02-13NextVerson.mspx
  ガートナーのレポート
  http://www.gartner.com/DisplayDocument?doc_cd=150624&ref=g_homelink
  Microsoft Watchのエントリー
  http://www.microsoft-watch.com/content/operating_systems/why_seven_and_not_sp1.html


( 行宮翔太=Infostand )
2007/07/30 09:15

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