Enterprise Watch
最新ニュース

日本HP、Xeon 5500番台を搭載したワークステーションの新ブランド

ブランド刷新とともに内部構造を大激変

新ラインアップ一覧
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4月6日、Xeon 5500/3500番台を搭載したワークステーション「HP Z800/Z600/Z400 Workstation」を発表した。Z800/Z600はカスタマイズ可能なCTO(注文仕様生産)モデルとして、Z400はBTO(固定仕様)モデルとして、4月13日から販売開始する。出荷は4月下旬以降を予定。

 HP Z Workstationシリーズは、「HP Workstation xwシリーズ」の後継となるワークステーションの新ブランド。Z800/Z600でXeon 5500番台を、Z400でXeon 3500番台を搭載したことで、優れたパフォーマンスと安定性を実現した。加えて、BMW Group DesignworksUSA(コンセプトデザインを主とするBMWの関連会社)との協業により、外装・内部構造含め、デザインが劇的に一新されているのが特長。両社は外装デザインのほか、内部の流体シミュレーションなどでも協力しており、日本HPにとってはワークステーションで社外とデザインを検討した初の試みとのこと。

 外装では、サイドパネルにヘアライン仕上げのアルミ製1枚板を採用し、質感にこだわったデザインとした。フロントパネルには筐体内部にフレッシュな風を送り込む大口径エアインテークと、USB 2.0やオーディオ入出力、IEEE 1394などのインターフェイスを備える。Z800/Z600の筐体上部には、ビルトインハンドルを装備し、安全な持ち運びと、簡単なラックマウントを可能にした(別売りのラックマウントキットが必要)。


Z400。3機種すべてで、アルミ製1枚板のサイドパネルを採用。スタイリッシュさを演出している Z800のビルトインハンドル

Z800のサイドパネルを開けたところ

Z800フロントパネル。大口径エアインテークを備える
 内部構造に関してZ800では、「電源ユニット」「CPU・メモリ」「HDD・拡張カード」の収納スペースを密閉性の高いカバーによって分断したモジュラーデザインを採用。この構造により、各パーツがほかのパーツから熱の影響を受けない、最適なエアフローが実現している。

 サイドパネルを開くと、とにかくカバーの数が多く、開いただけではCPUやメモリなどのコンポーネントが見えないほど。上部から「電源ユニット」「CPU・メモリ」「HDD・拡張カード」の3つのスペースに分断し、なおかつ、それぞれのスペースにおいてもコンポーネント間を仕切るなど、徹底してエアフローが計算されている。例えば、Z800にはCPUが2基搭載可能で、それぞれにCPU用のファンが取り付けられているのだが、片方の排熱がもう片方のCPUに当たらないよう、間仕切りされている。カバーは複雑な形状をしていて、熱を遮るとともに、遮った分、別経路から風を送る導線の役割も果たしている。

 さらに、Z800では各種ケーブル配線を極力マザーボードの背面に回すことで、風の流れを乱さないように、またパーツ交換時の手間を軽減できるようにしている。メンテナンス性ではこのほか、Z800/Z600で、電源ユニット・HDD・メモリファンを差し込むだけで簡単に装着できるダイレクトコネクトを採用。拡張カードや光学ドライブもドライバーなどの工具なしで着脱可能なシンプルな構造とした。

 各コンポーネントにおいては、新たに採用されたXeon 5500/3500番台が最大の特長だが、高効率化された電源ユニットも訴求ポイント。Z800では「80 PLUS SILVER」(電源効率88%)、Z600/Z400では「80 PLUS BRONZE」(電源効率85%)の認証を受けた大容量電源ユニットを搭載し、かつ、従来2W程度だった待機電力を1W以下に低減させる「HP WattSaverテクノロジー」を全モデルに採用している。これらの技術により、「デスクトップ型ワークステーションとしては業界初」(日本HP)となるEPEAT GOLD(米国電子製品環境アセスメントツール)の認定を取得したとのこと。


電源ユニットを取り外した様子 CPU・メモリのスペースにはエアフローを制御するカバーがかぶさっている メモリ用ファンを取り外しているところ

2基のCPUソケットに対して、それぞれにファンが搭載されている HDDを取り外している様子 HDDは、横から着脱可能なケースに入れて、そのままダイレクトコネクトが可能

各分野に最適なラインアップ

グラフィックカードの種類も広範にカバー

取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏
 各機種を個別に見るとZ800は、ハイエンドDDCや医療、オイル&ガスといった業界に最適なハイエンドモデルとなる。インテル5520チップセットを採用し、Xeon E5504/E5520/E5540/X5550/X5560/X5570/W5580を最大2基搭載できる。メモリスロット×12本、HDDベイ×5基を搭載し、2009年中に最大192GBメモリ、最大7.5TB HDDまでサポートする予定。拡張スロットは、PCI Express x16×2本、PCI Express x8×2本、PCI Express x4×2本、PCI×1本の計7本で、NVIDIA Quadro FX5800などの高性能グラフィックスカードを2枚使用したNVIDIA SLIにも対応する。価格は21万円から。

 Z600は、金融やミッドレンジCADに最適なミドルレンジモデル。インテル5520チップセットを採用し、Xeon E5504/E5520/E5540/X5550/X5560/X5570を最大2基搭載できる。6本のメモリスロットを搭載し、最大容量24GBをサポート。省スペース性に優れたスリムタワー型を採用しつつ、最大8画面のマルチディスプレイ環境に対応する。価格は17万6400円から。

 Z400は、ビデオ編集やエントリーCAD/CAEに最適なエントリーモデル。インテルX58 Expressチップセットを採用し、Xeon W3520/W3540/W3570いずれか1基を搭載したモデルが用意されている。メモリスロット×4本を搭載し、拡張スロットはPCI Express x16×2本、PCI Express x4×2本、PCI×2本の計6本。価格は16万5900円から。

 なお、登壇した取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏は、「ワークステーションは当社のコアビジネスの1つ。おかげさまで2008年度は4四半期連続で国内販売台数トップシェアを取れた。Compaq統合直後は15%ほどのシェアしかなく、トップと倍ほどの差があったのだが、ワークステーションへのユーザーのワクワク感を受け止めてやってきた結果、現在は32.6%を占めるまでになった。今回の不況は確かに厳しいが、厳しければ厳しいほど、復調したときの反動は大きいはず。その時に躍進するための製品として、今回、ブランド名も含めたワークステーションの一新を図った。得意な分野で一歩踏み出すつもりで、社内ではシェア50%を目指せなど、次のレベルに向けた意識も高まってきている。それを実現するツールとして今回の新製品は最適なものになったと自負している。私自身、非常に力が入った製品だ」と、新製品の狙いや意気込みに触れた。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-085.html

関連記事
  ・ Pentium Pro以来のサーバー革新-インテルがXeon 5500番台を発表(2009/04/06)


( 川島 弘之 )
2009/04/06 18:24

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.