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データドメイン、重複排除ストレージの最上位製品「DD690」

1.4TB/時間の高速性と信頼性を両立

DD690

代表取締役の河野通明氏
 データドメイン株式会社は10月1日、ハイエンド向けのバックアップ/アーカイブアプライアンス「DD690」を発表した。同社製「Data Domainアプライアンスシリーズ」の最上位に位置付けられる製品で、重複排除技術により、大量のデータを効率的に保存できる点が特徴という。価格は最小構成で6000万円から。

 Data Domainアプライアンスは、バックアップ/アーカイブするデータを効率的に保存するための製品。重複排除技術により、物理容量の平均20倍のデータをストレージへ格納でき、「機器の数を減らせるので、スペースや消費電力も削減可能だ」(代表取締役の河野通明氏)という。こうした重複排除の技術は、現在ではさまざまなベンダーが提供を開始しているため、一見、あまり特徴がないように思えるが、河野氏は、米国では2003年からいち早く製品を提供してきた実績を強調。「導入の検討が始まった段階では一人勝ちの状況。今年になって競合を意識する製品が登場してきたものの、それらとの評価を顧客が行うの中でも、当社製品を選択いただくケースがほとんどだ」と述べる。

 その優位性の源は、同社が採用している重複排除の手法と、それを実現するためのアルゴリズムにある。重複排除は、データを細かなブロックとして切り出し、重複するブロックを1つにまとめることで、保存するデータ量の削減を実現している。どのベンダーでもこうした基本的な考え方は同じだが、Data Domainアプライアンスでは切り出すブロックを可変長にして重複部分がなるべく多くなるようにしているほか、米国で特許を取得している2つの独自技術を用い、インラインでコピーと重複排除、圧縮を同時に行って、高速処理を実現しているという。

 「当社のような技術を持たない競合ベンダーでは、速度を稼ぐのには、たくさんのディスクを並べるしかない。重複排除は、ストレージなどの資源を減らすことが目的なのに、これでは本末転倒だ」(テクニカル・ディレクターの首藤憲治氏)。

 また、Replicatorソフトウェア・オプションを利用すると、遠隔地とのデータレプリケーションを同時に行うことも可能。この際、重複排除と圧縮が施されたデータのみ遠隔地へ転送されるため、太い高価なWAN回線を用いる必要がなく、ディザスタリカバリにかかるコストを削減できるとのこと。こうした点が評価され、Data Domainアプライアンスを導入した顧客のうち、ワールドワイドでは6割、日本でも5割で同オプションが採用されているほどだという。


非常に安全なデータ保護環境を実現したという
 さらに河野氏は、「実は、もっとも評価されていること」として、データの信頼性が非常に高いを挙げた。Data Domainアプライアンスでは、ストレージへの書き込み時にデータをすべてその場でリードバックし、ベリファイしてから書き込みを終了させるほか、保存したデータを週に一度必ず読み直し、データの整合性を確かめる。また、リストア時にもチェックサムを確認。「どこの段階でもデータが壊れていないのを保証し、非常に安全なデータ保護環境を実現している」(首藤氏)というのである。

 ハードウェアも、NVRAM(不揮発性RAM)によって電源障害やソフトウェア障害から保護したり、二重にパリティを確保するRAID 6によってディスク障害を回避したり、といった工夫をこらし、信頼性には非常に気を配っているとした。

 新製品のDD690は、こうした特徴を持つアプライアンス製品群の最上位モデルで、スループットは、これまで最上位だった「DD580」と比べて75%以上向上させた1.4TB/時間を実現。Gigabit/10 Gigabit EthernetによるNFS/CIFS接続と、FC(ファイバチャネル)接続による仮想テープライブラリとしての利用が可能で、週次フルバックアップ+日時差分バックアップの場合、最大400~710TBに相当するデータを格納できるという。最小構成は、2Uのコントローラユニット1基と3Uのストレージユニット2基からなり、価格は6000万円から。データドメインでは、2009年度に100台の販売を見込んでいる。



URL
  データドメイン株式会社
  http://www.datadomain.com/jp/

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( 石井 一志 )
2008/10/02 08:59

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