| 
 
株式会社日立製作所は2月28日、同社のサーバー仮想化戦略について記者説明会を開催し、サーバー仮想化機構「Virtage(バタージュ)」を国内で本格展開することを発表した。新製品として、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony(ブレードシンフォニー)」において、「Virtage」を標準搭載したサーバーモジュール「BS1000」を3月2日から販売開始する。あわせて、「Virtage」搭載BladeSymphonyを使った仮想化システムの導入を支援する「ソリューションサービス for Virtage」も提供開始する。| 
 |  | 情報・通信グループ副グループ長兼CTOの高橋直也執行役員常務 |  | 
 |  | サーバー仮想化機構「Virtage」の特徴 |  | 
 |  | ハードウェアによる高性能・高信頼な仮想化環境 |  
 今回発表した「Virtage」は、日立の独自技術を投入して開発したサーバー仮想化機構。サーバー仮想化導入においてユーザーから求められる「効率性」「運用性」「信頼性」という3つのポイントにフォーカスし、エンタープライズ向けにハードウェアによる高性能な仮想化基盤を提供する。
 
 情報・通信グループ副グループ長兼CTOの高橋直也執行役員常務は、同社のサーバー仮想化戦略について、「日立では、1980年代のメインフレーム時代から仮想化技術を蓄積してきた背景がある。2004年にはストレージの仮想化を実現する製品を発表し、多くの導入実績をあげている。そして今回、いよいよブレードサーバーの仮想化を実現する独自機構を開発し、本格展開を開始する。今後は、サーバー、ストレージ、ネットワークを含めたITプラットフォーム全体の仮想化を目指し、総合ITベンダーおよびサーバーベンダーの強みを生かして、ユーザーにさらに高い価値を提供していく」と述べている。
 
 また、「仮想化ソリューションを本格展開することで、統合サービスプラットフォームの事業拡大を図り、2008年度にはBladeSymphony関連事業で1000億円の売り上げを目指す。これは、2004年度から2006年度累計でのBladeSymphony関連事業の売上高見込みと同等の額となる。この目標達成に向け、今後3年間で100億円規模の投資を行い、仮想化に関する製品開発、マーケティング、パートナー開拓などを積極的に展開していく」(高橋執行役員常務)計画も明らかにした。
 
 
 
|   |   |  
| サーバー仮想化戦略ロードマップ | 仮想化関連事業の目標 |  「Virtage」の具体的な特徴としては、「効率性」では、仮想化アシスト機構によって、I/O仮想化のオーバーヘッドを低減し、物理サーバーと同等の性能を確保。効率の良いサーバー集約と省電力化を実現することで、サーバーコストを35%低減できるという。
 
 「運用性」では、業界初の機能として、OS(Linux、Windows)やドライバといった物理サーバー環境を改変することなく導入することが可能で、これによりシステム構築時の検証・運用コストを圧縮し、TCOについても30%の低減を図れるとしている。
 
 「信頼性」では、ハードウェアによる不正アクセス抑止機構によって、論理サーバーの独立性を確保する。障害に強く安定稼働するシステムを実現することで、ビジネス機会の損失を低減できるという。
 
 同社では、昨年11月に「Virtage」を北米で先行発表しているが、すでに基幹系業務やデータセンターなど20社以上へのシステム提案活動実績があるという。今回、こうした北米でのビジネス展開で蓄積したノウハウを生かし、国内での本格展開に着手する。
 
 
 
|   |   |  
| Virtageと物理サーバーの性能比較 | Virtageのビジネス展開 |  
 
「Virtage」搭載の第1弾製品として販売開始するサーバーモジュール「BS1000」は、デュアルコアItanium 2プロセッサを搭載し、仮想化環境における高効率なディスク共有機能のサポート、およびN+1コールドスタンバイ機能によるシステムの高信頼化を実現したモデル。高効率なディスク共有機能のサポートでは、ハードウェアによるファイバチャネルアダプタ共有方式を採用することで、論理サーバーにおける高効率なディスク共有機能を提供する。また、N+1コールドスタンバイ機能を、サーバー仮想化環境でも利用可能とすることで、万一、物理サーバーに障害が発生した場合でも、その物理サーバー上での論理サーバー構成を共通予備サーバーに自動的に引き継ぎ、サーバー仮想化環境において迅速に業務再開を実現する。価格は228万9000円からで、3月23日から提供を開始する。| 
 |  | 「BS1000」サーバーモジュール |  | 
 |  | Virtage専用ソリューションモデル/サービスによる導入支援 |  
 あわせて発表された「ソリューションサービス for Virtage」は、「Virtage」を搭載したBladeSymphonyによるサーバー仮想化環境を安心して導入・利用できるように、ユーザーニーズに応じた導入計画策定から、システム設計・構築、運用・保守までトータルにサポートするサービス。これにより、ハードからOS、ミドルウェアまで含め、最適な仮想化システムを容易に導入することが可能となる。価格は個別見積もり。
 
 
 
 ■ URL
 株式会社日立製作所
 http://www.hitachi.co.jp/
 ニュースリリース
 http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/02/0228.html
 
 
 
 
( 唐沢 正和 )
2007/02/28 15:44
 
  
 |