特別企画

ownCloudで“Dropboxライク”な自社専用ストレージをつくろう!

“Dropboxのような”ストレージサーバーを自社に

 Dropboxに代表される同期型オンラインストレージは、便利なツールだ。PCで特定のフォルダにファイルを置くだけで、自分が使っているほかのPCに同じファイルが現れ、更新した時には双方向で反映される。ほかの人と共有することもでき、スマートフォンでアクセスすることも可能だ。

 ただし、こうしたクラウドサービス型のオンラインストレージに、重要なデータを置くことに不安を感じる企業もあるだろう。また、安易にストレージ容量を増やすと月額料金も増えてしまうため、使い続けていくとコスト増につながってしまったりする。

 そうした中で、ownCloudというソフトウェアに注目が集まってきた。ownCloudは、Dropboxのような同期型オンラインストレージを、自社のサーバーで立てられるオープンソースソフトウェアだ。

 自前のサーバーに設置できるため、容量は用意したストレージの分だけ使えるし、使い勝手の面でも商用サービスと遜色(そんしょく)はない。

 Webブラウザからのアップロードにも対応しているほか、WindowsやMac、Linuxに対応したPC用クライアントが公式に用意されているし、iOSとAndroidのクライアントアプリも、有償(いずれも約100円・税別)で提供されている。

 また、保存されたテキストファイルの編集や写真の表示、音楽のストリーミングに対応するほか、カレンダー(スケジューラ)などの機能もあり、プラグインで機能を追加することもできるという高機能ぶりだ。

 一方で、管理作業もWeb画面から行える。操作ログも取得できるし、LDAPやActive Directoryによるアカウント管理や、ファイルの暗号化にも対応しているなど、企業で使うための機能も備えている。

ownCloudのWeb画面
ownCloudで写真を一覧表示したところ
ownCloudのカレンダー(スケジューラ)機能
ownCloudで保存したテキストを編集。文字コードはUTF-8になる

サーバー管理を事業者に任せ、簡単にownCloudを使う

 ただのファイルサーバーではなく、ownCloudのようなオンラインストレージを使う理由としては、前述したように、離れた場所でもインターネット経由で同期できる点がある。ただしそのためには、ownCloudのサーバーをインターネットに公開する必要がある。

 インターネットに公開するサーバーを立てるとなると、OSやWebサーバー、PHPなどの各ソフトウェアについて、最新のセキュリティ情報を追いかけて対策し続けなくては危険だ。

 サーバーは管理を任せたい、インストール作業もできればやりたくない、ただしサービスではなく自社管理下のサーバーで運用したい。そのような場合は、ホスティングサービスやマネージドサーバーを利用して、ownCloud環境を構築することが考えられる。

 一例として、NTTスマートコネクトが提供するマネージドサーバーサービス「スマートコネクト マネージドサーバ」(以下、マネージドサーバ)では、「ownCloudインストーラ機能」を用意している。

 これは、管理画面から最低限の項目を設定するだけで、「マネージドサーバ」の仮想サーバーにownCloudをインストールできる機能だ。データは自社が契約したサーバー上に置かれるので、管理者が自ら管理できるし、面倒なベースのサーバー部分は事業者側が管理してくれるので、その分の手間を省くことが可能だ。

 なお、この機能は、あくまでownCloudのCommunity Edition(オープンソース版)をインストールする機能であり、ライセンスを購入する必要はないため、「マネージドサーバ」の利用者は無償で利用できる。

 事業者側からサポートが提供されるサービスではないので、インストール後のownCloud自体の管理は利用者が行う必要があるが、ownCloudのアップデート版がリリースされるとその通知が表示され、ownCloud上からアップデートできるので、それほど難しいことはないだろう。

ownCloudの更新通知。ここからアップデートする

インストールは1画面で完了

 実際に、「マネージドサーバ」の仮想サーバーへownCloudをインストールしてみた。ドメインの管理画面から「アプリインストーラ」をクリックすると、インストールできるWebアプリケーションが表示される。この中にある「ownCloudをインストールする」をクリックすると、ownCloudの設定画面となる。

 ここで最低限、インストール先のディレクトリ(ownCloudにアクセスするURLに使われる)を指定し、免責・注意事項に同意して「インストール」をクリックすると、ownCloudがインストールされる。

 あとは、インストール後に表示されるURLにアクセスし、ownCloudの最初のユーザー(管理者)のユーザー名とパスワードを設定すればいい。なお、ownCloudは最初から日本語化されている。

アプリインストーラからownCloudのインストールを開始する
必要な項目を設定してインストール
インストールが完了した
管理者のユーザー名とパスワードを設定する

 前述のように、ファイルのアップロードはWebブラウザへドラッグ&ドロップして行うこともできるが、常用するのであれば、専用クライアントの方が便利だろう。

 最初にログインした時にクライアントの案内が表示されるので、そこから自分の環境にあわせたクライアントをダウンロードすればいい。

 Windowsであれば、クライアントのインストーラをダウンロードして実行すると、セットアップウィザードが起動する。あとはだいたいウィザードまかせに進めば、インストールが完了する。

 セットアップウィザードが終了すると、ownCloudクライアントが起動して、接続ウィザードが表示されるので、接続先のownCloudのURL、ownCloudのユーザー名とパスワード、ローカルフォルダを指定すれば、同期が実行される。

セットアップウィザードからクライアントをインストールする
インストールが完了し、クライアントを起動する
クライアントが起動し、接続先を指定する
ownCloudのデータがローカルに同期された
ownCloudのクライアントは常駐する

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 Dropboxのような同期型オンラインストレージは便利だが、やはり自社の管理下に置きたい、しかし管理の手間はかけられない、という企業もあるだろう。

 そのような場合に、ownCloudをマネージドサーバー上に簡単にインストールして利用できる機能は便利だ。

 特に、Webサーバーやメールサーバーのために「マネージドサーバ」を利用している企業であれば、その延長で、費用をかけずにownCloudのサーバーを利用できるのはメリットだろう。

 もちろん、徹底的にコストを抑えるのであれば、自社のオンプレミス環境を利用してもいい。使い方を自由に選べるのが、ownCloudのいいところだ。

高橋 正和