特別企画

AMD、サーバー向け新アーキテクチャCPU「EPYC」を発表

後藤弘茂氏による詳細レポート

32コアから8コアまでのEPYCの製品バリエーション

 EPYCは32コアから8コアまでのバリエーションで提供されている。シリーズを通して最大のポイントは、すべての製品に、8チャネルのDDR4 DRAMインターフェイス、128レーンのPCI Express gan3が提供されている点。膨大なメモリ帯域とメモリ容量、I/Oチャネルを提供する。

 メモリ帯域はシングルプロセッサ(1P)で最大171GB/sec、デュアルプロセッサ(2P)なら最大341GB/sec、メモリ容量は1Pで最大2TB、2Pなら最大4TBとなる。PCI Expressレーンは、1Pと2Pのどちらも128レーンだ。PCI ExpressはすべてCPUに直結している。

EPYCの1P/2P兼用製品のラインアップ
EPYCの1P専用製品のラインアップ
2ソケットのEPYC
シングルソケットのEPYC

 EPYCには1P/2P兼用と1P専用の2シリーズがある。モデルナンバーの最後に「P」がついているのが1P専用モデルだ。最上位のEPYC 7601は、32 CPUコアで、1CPUコアが2スレッドを並列実行できるSMT(Simultaneous Multithreading)をサポートしているため、64スレッド実行となる。動作周波数はベースが2.2GHzで、ブースト時の最高は3.2GHz、TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)は180Wだ。

Model#CoresThreadsBase Freq.(GHz)All Core Boost Freq.(GHz)Max. Boost Freq.(GHz)TDP(W)L3 Cache(MB)DDR ChannelsMax DDR Freq.(1DPC)1-Socket Theoretical Memory Bandwidth (GB/s)2-Socket Theoretical Memory Bandwidth (GB/s)PCIe2P/1P
760132642.22.73.21806482666171341x1282P/1P
7551326422.5531806482666171341x1282P/1P
7551P326422.5531806482666171x1281P
7501326422.63155/1706482400/2666154/171307/341x1282P/1P
745124482.32.93.21806482666171341x1282P/1P
7401244822.83155/1706482400/2666154/171307/341x1282P/1P
7401P244822.83155/1706482400/2666154/171x1281P
735116322.42.92.9155/1706482400/2666154/171307/341x1282P/1P
7351P16322.42.92.9155/1706482400/2666154/171x1281P
730116322.22.72.7155/1706482400/2666154/171307/341x1282P/1P
728116322.12.72.7155/1703282400/2666154/171307/341x1282P/1P
72518162.12.92.91203282400153.6307x1282P/1P

 CPUコア数のバリエーションは、32コア、24コア、16コア、8コアの4種類。すべてSMT対応でスレッド数は2倍となる。シリーズ通して重要な点は、大容量のL3キャッシュメモリがサポートされている点。8コアのEPYC 7251と16コアの最下位モデルのEPYC 7281は32MB L3だが、それ以外の製品は、CPUコア数に関係なく64MBのL3キャッシュがサポートされている。

 価格は挑戦的で8コアのEPYC 7251は475ドル。16コアは650ドルから、24コアは1850ドルから、32コアは3400ドルからとなっている。AMDは、Intelの現行Xeonに対して、同レベルの価格水準なら、最大で70%も高いパフォーマンスを提供できると主張する。

Model#Coresprice
2P7601/7551/750132$3400~
2P7451/740124$1850~
2P7351/7301/728116$650~
2P72518$475
1P7551P32$2100
1P7401P24$1750
1P7351P16$750
最適化されていないコンパイラでも2P時の整数演算性能で同価格レンジのIntel CPUを上回る
浮動小数点演算のベンチマーク
メモリ帯域ヘビーなベンチマーク
2ソケット製品の価格帯ごとのパフォーマンス比較

 またAMDは、Intel Xeon 2Pの顧客には、CPUコアではなく、メモリ帯域やI/O数が欲しいために2Pを選択している顧客が少なくないと指摘。そうした顧客に、EPYCの1Pソリューションを提供する。EPYC 1Pで、Xeon 2Pを上回るパフォーマンスを提供できるとする。

1ソケットでも128レーンのPCI ExpressをサポートするEPYC
Intelの2ソケットXeonに対してAMDは1ソケットのEPYCで対抗

 AMDの弱点は、CPU製品を取り巻くパートナーエコシステムの構築が弱いことにある。今回、AMDはそうしたイメージを払拭しようと、発表会ではパートナーとの連携のアピールに努めた。HPE(Hewlett Packard Enterprise)やDELL、Supermicroといったパートナーが壇上に登場。EPYCプラットフォームの製品を披露した。また、発表会場では、パートナーブースを設けて、製品展示も行った。

AMDの発表会で公開されたプラットフォームパートナーの顔ぶれ
HPEのAntonio Neri氏(Executive Vice President and General Manager)が登場して製品をアピール
EPYCではエコシステムを強調するAMD
OSベンダーとHypervisorベンダーのサポートを取り付ける