日立ソリューションズ、事業継続計画策定/管理システムを販売開始

自社導入ノウハウを生かしてBCM構築を支援


 株式会社日立ソリューションズは7月10日、米SungGard Availability Services社の事業継続計画策定/管理システム「LDRPS(エルディーアールピーエス)」を7月13日から販売開始することを発表した。あわせて、「LDRPS」を自社導入したノウハウとシステム構築力を生かし、企業・団体に対して事業継続マネジメント(BCM)の構築支援を提供していく。

日立ソリューションズ 執行役員 営業統括本部 副統括本部長の手島俊亮氏日立ソリューションズのBCPソリューション

 今回の発表にあたり、同社の展開するBCPソリューションの概要について、日立ソリューションズ 執行役員 営業統括本部 副統括本部長の手島俊亮氏が説明した。「昨年3月11日の東日本大震災の発生を機に、事業継続計画(BCP)への投資を検討する企業が増加し、当社顧客からもBCPのニーズが高まってきた。この動きに対応して、当社では昨年7月に5分類34商品によるBCPソリューションを立ち上げ、既存顧客の業務を中心に事業継続活動を支援してきた」という。「その中で、顧客へのBCPに関するヒアリングを行い、BCPソリューションの課題と対応策を分析。まず、ITシステムの継続性向上として、ディザスタリカバリソリューションを強化した。そして今回、事業継続活動の運用性を向上するため、BCPソリューションを拡充し、新たにBCMツール『LDRPS』をラインアップする」としている。

日立ソリューションズ ソリューション技術本部 ソリューション技術部 部長代理の上原勝也氏

 「LDRPS」を販売開始する背景について、日立ソリューションズ ソリューション技術本部 ソリューション技術部 部長代理の上原勝也氏は、「東日本大震災の被災地周辺の当社グループをヒアリングしたところ、重要システムだけを二重化しただけでは業務を遂行するのは難しく、関連する周辺リソースも含めた稼働を考える必要があることが浮き彫りになった。一方で、システムの関連性は複雑化する一方で、継続的な可視化を支援するITシステムが求められていた。こうした課題を解消するためには、業務と必要なリソースとの紐付けを支援するBPMソリューションが重要になると考え、『LDRPS』の取り扱いを決定した」と述べている。

 「LDRPS」は、アプリケーション、ハードウェア、業務プロセスの3種類のコア構成要素と、それらに紐づく関連リソースを管理することで、リソース間の関連性を明確にし、関係性マップとして可視化できるリソースベースのBCMツール。具体的には、事業継続のために早期復旧が必要な経営資源(リソース)を、アプリケーション、ハードウェア、業務プロセスの3要素に分け、これらに関連するその他のリソース(社屋、フロア、設備、チーム、従業員、マニュアルなど)とともに、情報システム上で管理できる環境を構築する。3要素の関連性は、関係性マップで視覚的にわかりやすく表示することができ、情報システム障害における影響範囲や復旧手順を明確にすることで、BCPの策定や見直しを容易に行うことが可能になるという。

日立ソリューションズ 社会システム事業部 社会事業推進部 課長の宋永敏氏リソースベースのBCMツール「LDRPS」の概要

 日立ソリューションズ 社会システム事業部 社会事業推進部 課長の宋永敏氏は、「リソースに着目した『リソースベース』のBCPは、脅威や危機ごとにBCPを策定する『シナリオベース』と比べて、想定外の事態にも対応しやすいBCPを策定することができるのが特徴。現在、多くの企業は、あらゆるリソース情報がさまざまな情報システム上で管理されており、各リソースの関連性を把握するのは困難な状況だが、情報システム部門に『LDRPS』を導入し、リソース情報を管理する既存システムと連携することで、リソース情報の関連性を可視化することができる。また、これにより、サーバー入替や障害対応などの日々の業務や、業務改善施策の検討などにおける施策の影響範囲や対応項目を参照することができるため、情報システム部門の業務効率化、精度向上を図ることもできる」と、「LDRPS」のメリットを強調した。

 同社では今後、「LDRPS」を自社導入したノウハウとシステム構築力を生かして、「LDRPS」の導入プロジェクトをトータルサポートしていく。また、「LDRPS」の国内総販売元である江守商事株式会社と連携し、企業・団体に対して事業継続マネジメント(BCM)の構築を積極的に支援していく考えだ。

 最後に宋氏は、「LDRPS」を中核としたBCMビジネスのロードマップについて、「今年上期に出力帳票の製品メニュー化、下期にはダッシュボード機能を追加する予定。そして、今年下期から来年上期にかけて、自社製品との連携を強化し、来年上期中にSaaSモデル化も検討していく」との計画を明らかにした。


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(唐沢 正和)
2012/7/11 06:00