NTTデータ、国立情報学研究所の研究者向けクラウドシステムを構築


 株式会社NTTデータは6日、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所の研究者向けクラウドシステムを構築したと発表した。オープンソースソフトウェア(OSS)、およびネットワーク仮想化技術であるOpenFlowを利用しており、同研究所は7月より運用を開始する。

 従来のクラウド環境では、リソースの利用効率向上を図るため、仮想化技術によって複数のユーザーを1台のマシンに収容してきたが、研究分野などでマシンを占有してその性能を100%引き出す用途には向いていなかった。そのため、クラウドから高性能なマシンを借り、既存環境とあわせてシームレスに利用したいといった要望があったという。

 そこで国立情報学研究所では、OSSのdodai-computeとdodai-deployを活用し、仮想化技術を使わず直接物理マシンを貸し出すと同時に、研究に必要なソフトウェアの自動インストールが可能な研究クラウドシステムを構築し、所内へ提供することにした。

 研究者は自分の端末からセルフサービスで、必要な時に必要な台数の物理マシンを研究クラウドシステムのマシンプールから借りることができるが、仮想マシンを払い出すのと異なり、物理マシン(ベアメタル)を丸ごと貸し出すため、仮想化によるオーバーヘッドがなく、マシンの性能をフルに発揮可能。さらに借り出したマシンには、OpenStac4やHadoopなどのクラウド基盤ソフトウェアを自動インストールする機能がついており、研究用の物理マシン構成を容易に作成できる。

 なおNTTデータではこの研究クラウドシステム構築にあたり、OpenFlow技術を利用。NTTデータが開発したOpenFlow制御ソフトウェアによってセキュアな閉域ネットワークを制御することにより、ネットワークの配線変更などを行うことなく、貸し出された物理マシンについても、動的なネットワーク構築を可能にした。また、貸し出された物理マシンは各研究室のネットワークに直接接続できることから、研究室の環境からシームレスに利用可能としている。

 今後は、NTTデータがすでに提供している「BizXaaS フルOSSクラウド構築ソリューション」の次世代版に、この研究クラウドシステムで利用した物理マシン管理機能やOpenFlow技術を適用し、2012年秋以降に一般提供する予定である。


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(石井 一志)
2012/6/6 11:51