富士通、間接外気冷却のコンテナ型データセンターを開発~約3カ月でのデータセンター構築を実現


今回開発されたコンテナ型データセンター

 富士通株式会社は15日、間接外気冷却方式を採用したコンテナ型データセンターを開発したと発表した。データセンターに必要なICT機器、空調設備・電源といった物理インフラと、データセンター運用に利用するソフトをパッケージ化しており、約3カ月でデータセンターを構築できるという。提供は10月より開始される。

 今回開発されたデータセンターでは、吸気した自然外気によって内部を冷却し、ICT機器によって暖められた暖気を排出することで、間接的に内部を冷却する間接外気冷却方式を利用するため、冷水供給装置を設置する必要がなく、環境や場所を問わずに設置できるのが特徴。外気が直接コンテナ筐体内に入るわけではなく、内気とは分離されているので、湿度やほこり、虫の混入による機器への影響は避けられるほか、外気が高温な場合は空調と併用でき、外気の温度環境に応じた効率的な温度調整をサポートする。

 コンテナ筐体、空調ユニット、電源(受電盤)は分離されており、導入時の運搬性や保守性を確保。また、空調ユニットは1基単位での増強に対応するため、スモールスタートしながらもICT機器の需要に応じて段階的な増強が可能で、初期投資や運用費用の最適化を実現できるとのこと。なお、1コンテナ筐体内のラック8本にICT機器をフル搭載した場合でも、4基の空調ユニットで十分な冷却性能が得られるという。

 コンテナ内のラックは、業界標準の19インチラックに準拠した構造で、前後の扉やキャスターを省略して軽量化を達成した。さらに、ラック背面の左側に機器の電源ケーブル用のPDU(電源タップ)、右側に信号ケーブル用のホルダーを配置するなど、配線の最適化も実施され、狭いコンテナ内でも効率よく機器を搭載できるのみならず、高密度実装でも高い運用性、保守性を実現するとしている。

 運用管理については、富士通の運用管理ソフトを用いてコンテナ筐体内の専用ラック、空調、電源などのファシリティと、ICT機器の構成情報やステータスを管理可能。また、ドアセンサー、煙センサー、温湿度センサー、監視カメラの情報を収集し、レポートデータを出力する機能や、あらかじめ運用ポリシーを設定しておき、ポリシーに該当する事象が発生すると自動制御・自動運転を実行する機能も搭載する。

 富士通では、従来型データセンターの増強やリモートデータセンターの構築、一時的なICT需要増への対応、事業継続のためのバックアップサイト構築など、幅広い用途での活用を見込む。

 なおこの製品は、5月17日・18日の両日に東京国際フォーラムで開催される「富士通フォーラム2012」に出展されるほか、プロトタイプを同社の川崎工場に、5月下旬より展示するとのことだ。


間接外気冷却方式コンテナ内のイメージ
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(石井 一志)
2012/5/15 11:45