日本HP、ハイブリッドクラウドを推進する「HP Converged Cloud」

新たにパブリックとマネージドクラウドを開始


代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏
HP Converged Cloudのポートフォリオ

 日本HPは13日、ハイブリッドクラウドの構築、運用、保守までをカバーしたソリューションポートフォリオ「HP Converged Cloud」を発表した。同社クラウドビジネスの強化に向けて、サーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフト、サービスの各部門を横断する「クラウド事業本部」も拡充する。

 クラウドの利点は「企業ITのスピード革新」「コスト最適化、資産の効率化」「グローバル展開の支援」などで、経営の機動力につながるものだと語る代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏。一方でクラウドの採用にあたっては、「セキュリティ」「システム移行」「監査・ガバナンス」、実運用にあたっては「ベンダーロックイン」「事業部ごとの独自採算・林立によるITガバナンスの低下」「システム・プロセス統合・連携が困難」といった課題があるとする。

 HP Converged Cloudでは、適切な選択(Choice)、信頼性(Confidence)、一貫性(Consistency)の3つの“C”でこれらの課題に対応する。

 具体的には、2年前から提供している「CloudSystem」によるプライベートクラウドに加えて、新たにマネージドクラウド「HP Enteprise Cloud Services」と、パブリッククラウド「HP Cloud Services」を提供する。これらさまざまなクラウドシステムに一貫したオープンアーキテクチャを提供するのが特長という。

オールインワンアプライアンス「CloudSystem」によるプライベートクラウドマネージドクラウドの概要

 マネージドクラウド「HP Enteprise Cloud Services(ECS)」では、さまざまなアプリケーションをマネージドサービスとして提供する。4月には新しい国内データセンターを開設し、世界中の複数のデータセンターと連動するサービスとする。日本から海外へ進出したユーザー企業は、どこからでも日本品質のサービスが受けられるのがメリット。世界各地域のコンプライアンスや監査要求にも対応するという。今後はインド、シンガポールにも拠点を拡大する方針。

 具体的なサービスとしては、基本サービス(IaaS)「ECS-Compute」を4月より提供するほか、「ECS-Messaging(メール:Microsoft Exchange)」「ECS-Collaboration(コラボレーションツール:Microsoft SharePoint)」「ECS-Unified Communication(ユニファイドメッセージング:Microsoft Lync)」「ECS-Continuity(ディザスタリカバリ)」などを今後拡充していく。導入支援コンサルティングサービスも展開する方針だ。

サービス拠点となる国内データセンターも新たに開設予定提供されるサービス。これ以外にも順次リリース予定
パブリッククラウドの概要

 一方のパブリッククラウド「HP Cloud Services」では、まずIaaS「HP Cloud Compute」、ストレージサービス「HP Cloud Object Storage」を提供。5月よりパブリックベータを開始する。IaaSではセルフサービス型のサービスとし、シンプルで直感的なインターフェイスからクレジットカードでの購入を可能にする。ストレージサービスでは、HTTP RESTベースとし、容量の拡張なども柔軟に行えるようにした。アカマイのCDNで遅延を克服しているのも特長だ。このほか最大の特長となるのは、いち早く業界標準の「OpenStack」を採用した点。これにより「ベンダーロックイン」を回避するとしている。

 今回の発表で、プライベート、パブリック、マネージドクラウドのすべてを提供できるようになった日本HP。「これら3つをグローバルに提供できるのは当社のみ」という点を優位性として市場へ訴求していく方針だ。

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