会津大学と富士通が連携協力基本協定を締結、連携第1弾として「サービス・サイエンス」講座を開設


 公立大学法人会津大学と富士通株式会社は10日、東日本大震災からの中長期的な復興に向けた支援のため、連携協力基本協定を締結すると発表した。その具体的な活動として、ITを利活用したイノベーションを促進する人材の育成を目的に、「サービス・サイエンス」講座を開講する。講座は4月から3年間実施される。

 今回の協定締結は、会津大学が富士通などのIT関連企業と進めてきた、雇用創出を目的としたIT人材の育成や新たな産業創出、産業集積に向けた活動の一環。同大学では、地域経済社会の再構築と福島県を起点とした日本の産業活性化に貢献する目的で、2012年1月に「会津大学復興支援センター(仮称)」構想を発表しているが、今回はその事業として、富士通と会津大学双方の強みを生かし、人材育成、スマートコミュニティ構築を目指した実証研究の推進、クラウドセンター活用など、IT分野で連携を進めていくという。

 まずは、富士通が2012年度から3年間、「サービス・サイエンス」に関する教育講座を開設する。サービス・サイエンスとは、従来は、経験と勘で行われがちだったサービスを、既存の関連学問を用いて研究し、サービスの生産性を高めることによって、投資の評価を「見える化」しようとするもの。第1回となる4月11日には、会津大学が「総論」を講義し、次回の4月18日以降は、富士通が具体的な事例・ケースを取り入れながら、サービス分野におけるイノベーションを促進するための講義を実施するとしている。

 また、富士通が会津地域をモデルとして2010年度に実施した、経済産業省「スマートコミュニティ構想普及支援事業」における調査事業に対し、会津大学も本事業組織の「会津地域スマートコミュニティ委員会」に参画。両者で議論を重ねてきた。富士通では調査事業に引き続いて、会津地域でのスマートコミュニティ実現に向けた活動に着手しており、需要予測・発電予測の精度向上に向け、会津大学が取り組んでいる局所気象予測技術などの活用と成果反映を検討していく予定とのこと。

 さらに富士通では、会津大学が計画する「先端ITクラウドセンター(仮称)」に対し、富士通がこれまで培ってきたデータセンター構築の実績・技術を生かし、最大限協力するとした。

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(石井 一志)
2012/4/10 14:30