ポーターズ、人材マッチングエンジンを搭載した人材ビジネス向けクラウドプラットフォーム


代表取締役の西森康二氏

 人材ビジネスのためのアプリケーション・プラットフォームを提供するポーターズ株式会社は29日、人材ビジネスを行う企業各社の事業活動に最適なシステム構築・活用を可能にするクラウドプラットフォームサービス「PORTERS HR-Business Cloud」を4月2日より提供開始すると発表した。

 同社では、2001年8月の設立以降、人材紹介企業向けの業務管理システム「プロ・エージェント」を中心にASP事業を展開しており、人材業界向けシステムとしては国内最大級の500社以上に同サービスを導入した実績をもつ。

 新サービスの発表にあたり、代表取締役の西森康二氏は、「厚生労働省の発表によると、420万件の求職件数に対して、求人件数は205万件であり、その中で就職が決まった件数は38万件にとどまっている。多くの人が求職しているのに、就職できていないのが実情」と人材ビジネス業界の問題点を指摘。

 「そこで、求職者の数が増えているにもかかわらず、それに対して成果が出し切れていない人材ビジネス企業の課題を解決するためには、より技術的に洗練されたソリューションが必要であると考え、約2年前から新サービスを開発してきた。求職者に対して、より多くの雇用機会を生み出すインフラとなるソリューションとして、今回の新サービスを提案していく」と、新サービス「PORTERS HR-Business Cloud」を提供する狙いを説明した。

 「PORTERS HR-Business Cloud」は、人材紹介、人材派遣、特定派遣、採用側の企業、大学のキャリアサービスなど、人材ビジネスにかかわるあらゆる企業・団体の事業活動を支援するためのクラウドプラットフォーム。顧客ごとに最適なシステム構築とアプリケーション活用を実現するアプリケーションプラットフォーム「HR Apps Platform」と、取引先やグループ企業などとのソーシャルビジネスネットワーキングを可能にするソーシャルプラットフォーム「Links」の2つのプラットフォームで構成される。

HR Apps Platformと3つのアプリ

 「HR Apps Platform」では、人材ビジネスのための顧客管理や営業管理機能をオールインワンで提供。独自のアルゴリズムにより、リアルタイムかつ高精度な人材マッチングを実現するマッチングエンジンを備えているのが大きな特徴で、求職者レジュメ、求人票などの添付ファイルに含まれるすべてのテキスト情報からキーワード検索を可能にした。また、特定の求職者に対して、その求職者の属性やプロフィールに含まれる要素をニーズとしてもつ求人を全レコードの中からリアルタイムに抽出して、自動的に知らせるレコメンデーションエンジンも搭載している。

 さらに、最先端のアーキテクチャを採用し、ドラッグ&ドロップによる柔軟なカスタマイズ性を実現。また、アプリケーション連携のためのAPIや、1000万を超える求職者データや添付ファイルを高速検索するためのデータ処理基盤であるデータストレージを備えており、これらの特徴を活用したアプリケーションとして「Enterprise Application」、「User Application」、「Third Party Application」の3つを展開するという。


「Enterprise Application」の画面イメージマッチング画面のイメージ

 「Enterprise Application」では、顧客・見込み客管理、求人オーダー管理、求職オーダー管理、マッチング、選考・成約見込み管理、売り上げ・業績管理、自動マッチング、アクティビティ(活動・To Do)管理、メール、カレンダー、レポートやグラフ作成などを標準機能として提供する。項目のカスタマイズやレイアウトの変更などは、ユーザー自身がドラッグ&ドロップで行うことが可能。また、カスタマイズした全項目も自由に組み合わせて人材マッチングを行うことができる。さらに、日本語、英語、中国語の3カ国語に対応しており、グローバルビジネスを展開する企業でも利用することが可能となっている。

 「User Application」は、顧客ごとに必要なアプリケーションを開発し、API連携を行うもの。開発は主にパートナー企業が行っていく。同社では、今後、開発パートナー制度を整備し、認定パートナーを拡充していく予定。

 「Third Party Application」は、「Enterprise Application」で標準提供される機能に加え、業務に役立つサードパーティによるアプリケーションを提供する。初年度は、求職者開拓サイト、勤怠管理、CTI、名刺入力など、10領域30アプリケーションを目標に拡充していく。

 新サービスを構成するもう一つのプラットフォーム「Links」は、企業向けソーシャルネットワークを構築するためのプラットフォーム。社内コミュニケーションだけでなく、顧客、アライアンスパートナーとのコミュニケーションを安全に行うことができる。これにより、顧客とのリレーションシップを強化し、人材ビジネスによる収益を最大化することが可能となる。

 「HR Apps Platform」は4月2日よりサービス提供を開始する予定で、「すでに2社への導入が決定しており、18社の企業と商談を進めている」(西森氏)という。「Links」は年内に提供を開始する予定。なお、システムは、国内2か所のデータセンターで、ネットワーク、サーバー、データベースを多重化しており、さらに国外データセンターへのバックアップによる災害時の事業継続性も確保している。

 新サービスの料金体系は、ユーザー10人までが月額1万2500円/人、11人以降は月額5000円/人。導入検討企業には、30日間の無料トライアルサービスも提供する。このほかのオプションとして、ファイル数は1万ファイルまで無料で、超過した場合、1万ファイルごとに月額2000円がかかる。また、API利用料は、15万アクセスまで3万円。超過料金は1万アクセスごとに2000円となる。

 同社では、新サービスについて、2015年までに国内1万ユーザー、売上高10億円を目標にしており、2020年には本格的な海外展開を進め、グローバルで10万ユーザー、売上高50億円を目指していく。

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(唐沢 正和)
2012/3/30 09:53