震災時に十分に機能した防災対策とは? 産労総研が企業の実態調査


 株式会社産労総合研究所(以下、産労総研)は30日、東日本大震災から3カ月後の各企業の「地震・防災対策と従業員支援などに関する実態調査」の調査結果を発表した。

 東日本大震災に伴う企業の状況や取り組みを調査したもの。震災3カ月後の6月に、約3000社に実施された。回答社数は188社。

 回答企業の被災状況(複数回答)を見ると、東日本大震災によって約8割の企業が何らかの被害を受けたと回答した。内訳は「事業所などへの直接的な被害」が43.1%、「取引先などの被災による影響」が39.9%、「計画停電などによる間接的な被害」が27.1%。

 震災後に被災事業所・従業員に対して実施した支援策(複数回答)としては、「救援物資を供給した」が57.4%、「社員有志による支援金を募った」が46.3%、「災害見舞金を支給した」が42.6%、「社内から応援チームを派遣した」が26.6%などが挙がった。

 震災以前の防災マニュアル・計画などの策定状況を見ると、63.3%が「策定していた」と回答。特に1000人以上の企業では91.4%が策定済みだった。一方で299人以下の企業では52.1%にとどまった。

 防災マニュアル・計画などに盛り込まれていた項目としては、「社内防災委員会等の組織の設置」「防災教育と防災訓練の実施」「非常時の社内連絡・広報体制の確立」がいずれも86.6%と高割合。以下、「非常時における従業員の安否確認体制の確立」が76.5%、「消火活動体制の確立」が64.7%、「非常食・飲料水の社内常備」が63.9%。

 これらの内、実際に東日本大震災時に十分に機能したのは、「社内防災委員会等の組織の設置」(35.3%)、「非常食・飲料水の社内常備」(30.3%)だった。

 一方、見直しが必要だとされた項目は、「非常時における従業員の安否確認体制の確立」(31.1%)、「防災教育と防災訓練の実施」(25.2%)、「非常時の社内連絡・広報体制の確立」(22.7%)、「従業員の帰宅・避難対策の確立」(22.7%)。

 いずれも実際の行動を伴うもので、「防災教育と防災訓練の実施」が2番目に挙がっているように、計画を生かすためには訓練など事前の経験が重要だということが示された。

 企業の社会貢献活動としては、「被災地への義援(捐)金の拠出」が80.3%、「社内での救援募金活動」が77.7%、「被災地への救援物資の提供」が56.4%だった。

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