デル、3U筐体に12ノードを集約できる超高密度サーバー「PowerEdge C5220」


 デル株式会社は24日、超高密度サーバー「Dell PowerEdge C5220マイクロサーバ」(以下、PowerEdge C5220)を発表した。独立したサーバーユニットを高密度に集積でき、1Uサーバーを使用する場合と比べて、4倍の密度を実現できるという。最小構成価格は111万4050円から。

 PowerEdge C5220は、3Uサイズのラック型シャーシに最大12台のサーバーノード(スレッド)を集積できる、高密度型サーバー。1つのノードは1ソケットのサーバーになっており、最大4コアのCPUを1基と、最大32GBメモリ、SAS/SATAのドライブを3.5型では2基まで、2.5型では4基まで搭載できる。電源はシャーシから供給されるが、ブレードサーバーと異なるのは、バックプレーン構造を用いていない点で、インターフェイスもすべて個々のサーバーユニットに搭載している。


PowerEdge C5220のラック型シャーシ(左)とサーバーノードPowerEdge C5220のサーバーノード。1つ1つが独立したサーバーだ
公共・法人マーケティング本部のサーバブランドマネージャ、布谷恒和氏

 この製品が主な対象とする市場は、数千台クラスのサーバーを運用するような、大規模のクラウド事業者。デルではもともと、数万台規模のサーバーを保有してサービスを提供する事業者に対して、フルカスタマイズされた、その顧客企業専用のサーバーをDCS部門が提供してきたが、「その少し下の、数千台クラスのサーバーを活用するニーズがあることもわかった」(公共・法人マーケティング本部のサーバブランドマネージャ、布谷恒和氏)のだという。

 この領域向けの製品をまた別に開発するのも1つのアプローチだが、デルではDCS部門で提供してきたサーバーの中でベストセラーとなったPowerEdge C5220を、この領域にも当てはめて提供することにしたと、布谷氏は説明する。

 こうした成り立ちのため、クラウド事業者におけるフロントサーバーに特化して製品化されているのが特徴。一見、ブレードサーバーに似ているように見えるが、前述のようにバックプレーン構造は採用されておらず、個々のサーバーノードは独立した構成となっている。また、1Uラック型のサーバーと比べて、ファンの数を1/6に抑えているほか、省電力のCPUを搭載することで、ノードあたりの消費電力を40%削減。設置スペースも前述の通り1/4に抑えることができる。

 布谷氏は、「通常のエンタープライズシステムでは、サーバーは統合の方向に向かっており、いわば足し算的な製品構成になるが、PowerEdge C5220が使われるようなハイパースケール分野では、必要なものだけを残して不要なものを取り払う、引き算の戦略になる。FCやDCBなどの機能は持たないし、冗長性についてもソフト側でコントロールするアプローチだ」と、ブレードサーバーなどとの違いを説明した。


DCS部門のカスタムサーバーをベースにしているため、製品化されたばかりではあるが、すでに3代目になるという1Uラック型サーバーと比べて、省スペース、省電力性に優れている

 なお、PowerEdge C5220では、12ノードモデル以外に8ノードのモデルも用意されている。12ノードモデルはTDPが最大65WまでのCPU(2コア/4コア)にしか対応できないのに対し、8ノードモデルでは最大95WまでのCPU(2コア/4コア)に対応。メザニンカードでハードウェアRAIDカードを増設できるといった、拡張性にも優れているとのことだ。

 さらにデルでは、ハードウェアとあわせて、ソフトウェア面でも顧客企業を支援していくという。コンピューティング&ネットワーキング統括本部 SE部 部長の馬場健太郎氏は、ハイパースケールのクラウドを実装するために、運用の自動化や、ライセンスフィーの節約のためにオープンソースソフト(OSS)を使うといった方策が必要になると説明する一方で、OSSによって基盤を構築できるような技術者が限られているという点を指摘。OSSのクラウド基盤ソフト「OpenStack」導入のためのインストーラーを提供することにより、顧客を支援するとした。

 このインストーラー「Crowbar」は、デルの技術者が開発したオープンソースソフトで、BIOS設定からOS、OpenStack、管理ツールまでを自動で導入できるという。またイメージでの配布ではなく、スクリプトによってモジュールを自由に組み合わせて導入できることから、顧客が自由に構成を変更できるとした。

 デルは、こうしたCrowbarの提供や、ハードウェアのリファレンス構成の提供、またCrowbarの他領域への適用拡大といった施策によって、今後もさまざまな支援を実施していく意向だ。


この分野でのデルの取り組みCrowbarの特徴
関連情報