キヤノンMJ、ITソリューションで厳しい状況が続く~上期売上高への震災影響は300億円


決算発表が行われた、キヤノンMJ本社

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は21日、2011年度上期(2011年1~6月)の連結業績を発表した。

 売上高が前年同期比12%減の2943億円、営業利益は同57%減の12億円、経常利益は同29%減の29億円、当期純利益は同43%増の19億円となった。

 キヤノンMJ 取締役常務執行役員の柴崎洋氏は、「東日本大震災の影響は、第1四半期の売上高で92億円。第2四半期では208億円の影響があった」とした。

 個別の事業分野では、ビジネスソリューションの売上高は、前年同期比7.0%減の1621億円、営業利益は前年並みの11億円。

 震災の影響による商品投入の遅れ、プリントボリュームの減少などがみられており、第2四半期の売上高に対する震災の影響は99億円とした。

 オフィスMFPでは、4~5月の落ち込みが激しく、第2四半期の販売台数は前年同期比33%減となった。震災による営業活動への支障と商品入荷の遅滞が影響したという。だが、プリントボリュームは、月を追うごとに回復基調にあるという。「エコに対する意識と必要とされる情報量のバランスのなかで、プリントボリュームが増加している傾向がみられる」(芦澤光二副社長)とした。

 上期におけるMFPの販売台数は前年同期比10%減、ページプリンターは2%増、LFPは14%増となった。

 ITソリューションの売上高は前年同期比11.6%減の629億円、営業損失は前年同期の24億円の赤字からは改善したものの、16億円の赤字となった。

 「売上高では工事進行基準などの影響を除くと、第2四半期では実質的に9億円の増収となっている。営業利益は、不採算案件の減少により、大幅な改善を遂げている」とした。
 そのうち、SIサービス事業に関しては、金融分野を対象に個別システム開発が堅調であるものの、組み込みサービスが減少。顧客のコストダウン要請が強く厳しい状況が続いているという。ソリューション事業では、セキュリティなどは堅調に推移したものの、ERP関連などが減少となった。基盤アウトソーシング事業はネットワークやストレージなどの基盤系商品、構築サービスが堅調に推移したことで、売上高は前年を上回った。ITプロダクト事業に関しては、ビジネスPCが厳しい市況環境において市場を上回る実績となったものの、収益計上基準や不採算商品の見直しなどにより、売上高は前年を下回った。

 上期の売上高は、SIサービス事業は前年同期比7%減、ソリューション事業は19%減、基盤アウトソーシング事業は5%増、ITプロダクト事業は21%減となった。

 また、連結子会社であるキヤノンITソリューションズの売上高は、前年同期から5億円減の182億円、営業損失は同5億円改善した1億円の赤字。製造、公共分野での売上高が減少したという。キヤノンソフトウェアは売上高が前年同期比1億円増の64億円、営業利益は同1億円増の3億円と、増収増益になった。CADおよびソリューション関連が好調だったという。

 「最も震災の影響を受けた」(柴崎常務執行役員)とするコンスーマイメージングの上期売上高は22.0%減の758億円、営業利益は28億円減の16億円。第2四半期における売上高への震災影響は106億円としている。

 消費者心理の冷え込みと、生産減少による商品供給不足が影響。デジタル一眼カメラは売上高が大幅に減少したものの、6月単月は対前年実績を上回ったという。一眼カメラの市場全体の出荷台数は年間165万台と見込んでいたが、150万台規模にとどまると予測を下方修正した。

 コンパクトデジカメは、台数および単価減少により、売上高は大幅に減少。デジタルビデオカメラは期初には前年実績を上回っていたが震災の影響で前年実績を下回ったという。
 家庭用プリンタでは、本体の低価格化の傾向により前年実績を下回ったが、第2四半期の出荷台数は前年同期比4%増となり、インクカートリッジも増加したという。

 産業機器は売上高が同11.0%増の74億円、営業利益は2億円減のゼロとなった。

 

通期見通しを上方修正、輸出の持ち直しなどを受け

 また、同社では、2011年度通期の業績見通しを修正した。

 東日本大震災の影響を加味し慎重に見ていたが、サプライチェーンの復旧による生産の回復、輸出の持ち直しなどの明るい材料があることから上方修正した。

 売上高は前回予想に比べて200億円増の6530億円、営業利益は同63億円増の63億円、経常利益は同69億円増の82億円、当期純利益は同55億円増の36億円とした。

 セグメント別では、ビジネスソリューションの売上高が前回予想から40億円増の3270億円、営業利益は14億円。ITソリューションの売上高は同25億円減の1280億円、営業損失が22億円の赤字。コンスーマイメージングの売上高は同22億円増の1920億円、営業利益は70億円、産業機器の売上高は同154億円増の322億円、営業利益は1億円とした。

 「第3四半期以降の商品供給の回復、広告宣伝活動の活性化などにより、下期は増収増益を見込む」(柴崎常務執行役員)としたほか、「他社に比べて震災影響を大きい。月を負うごとに状況は目まぐるしく変化しているが、震災以降も基本方針には変更がない。キヤノン製品の反転攻勢、コストダウンおよびスリム化、総合的な体質転換に取り組んでいく。落とし穴に落ちたが、市況は急激に戻っていくだろう。後半戦でなんとか取り戻そうと営業努力をしており、これまでの取り組みに対してより拍車をかけていく」(芦澤光二副社長)とした。

 販売促進費に関しては、上期に対して下期は150億円増を計画しており、コンスーマ分野では90億円増、ビジネスソリューションでは20億円増を見込むという。

 さらに、「SIサービスに関しては、来年にはデータセンターも完成する予定であり、クラウドビジネスによる事業拡大を見込む。それにあわせたスキルの向上にも取り組んでいく。来年下期からはSIサービスは拡大傾向となっていくだろう」(浅田和則副社長)などとした。

 なお、ビジネスソリューション分野では6月30日付けで日本オセが連結子会社化し、売上高で8億円のプラス要因になるとしている。

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(大河原 克行)
2011/7/22 12:02